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嘘日記

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全部嘘で日記を書いています。 日記をまともに書いてこなかったので、体裁として日記になっていない部分が弱点です。 1000文字程度の短いストーリー集としてお楽しみ下さい。
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2023年7月の記事一覧

噓日記 7/31 エゴサーチ

噓日記 7/31 エゴサーチ

長かった7月にもとうとう別れを告げる日がやってきた。
それと同時に長い8月を受け入れなければならない心構えができないままにこの日を迎えたことに少し戦々恐々としている。
暑さにやられてどうにかなりそうな頭を振り回しながらまた一月、この夏を過ごさねばならない。
そんな辛い夏を振り切るためにも仕事が終わってエアコンの効いた室内でエゴサーチをする。
なんというか手慰みのようなものだ。
有名な検索エンジンで

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噓日記 7/15 アイスクリームシンドローム

噓日記 7/15 アイスクリームシンドローム

暑いったら暑い。
別にエアコンの効いた室内にいるので今日は暑さを感じるような時はついぞ無かったが、夏なので言っておく。
暑いったら暑い。
こんな日にはアイスクリームでも齧りながら、興味もないテレビを視聴するのが一番丁度いいのだ。
買い溜めていたアイスクリームを冷凍庫から取り出して、ガリガリと齧りながら日常を貪る。
夏だなぁという認識が生活を少し華やかに、そして生活に少しだけ季節感を与える。
夏とい

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噓日記 7/30 鰻とプレステ3

噓日記 7/30 鰻とプレステ3

今日は土用の丑の日なので鰻を食べた。
絶滅危惧種らしいが美味いからしょうがない。
恨むなら俺じゃなく、その美味すぎる身と最適な味付けを考えついた昔の日本人を恨んでおくれ。
言い訳のように来年の俺にもっと環境意識が芽生えることを願いつつ、鰻重を楽しんだ。
7000円。
いや、高すぎるだろうよ。
プレステ3のソフトくらいする。
確かに鰻は美味しい。
他と比較して上位互換が存在しないくらい高い地位を持つ

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噓日記 7/29 杭ズ番組 マタンゴ放逐戦争

噓日記 7/29 杭ズ番組 マタンゴ放逐戦争

クイズ番組がテレビで放送されているとついつい作業の手を止めて見入ってしまう。
クイズが好きなわけでもなく、好きなタレントが出ているわけでもない。
ただ何かしらの謎に正解したという実感が快楽を齎してくれるのだ。
私は、知っていることを何よりも喜ぶのかもしれない。
それもそのはず幼い頃、なんとなくといった風を装い眺めつつ、自分がわかる問題が流れたらすかさず鬼の首を取ったようにその正解をひけらかすという

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噓日記 7/28 カプセルホテルの空

噓日記 7/28 カプセルホテルの空

大人になると自分が何者で何処にいるのか不鮮明になる日が時折訪れる。
会社での立ち位置など自分が立つ小さな足場の存在は分かっても、その足場が社会という途方もなく大きな枠組みの中でどこに位置しているのか、何もかもが分からなくなってただただ不安だけに押しつぶされそうになる。
子どもの頃に抱いていた未来を夢見る気持ちだとか将来叶えたいビジョンだとかそんな希望に満ちた空想も、いざその枠組みに取り込まれてしま

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噓日記 7/27 思い違い

噓日記 7/27 思い違い

思い違いなんてことは誰しもが経験することだと思う。
自分の考えることが常に"正しい"に寄ったものだという小さなバイアスが俺たちの思い違いを加速させる。
もしくは。
俺たちの中の一種の拒否反応や防衛本能が催眠的に作用してそうさせるのかもしれない。
今日はそんな思い違いの話をしていこう。
俺がガキの頃、母親が入院する都合で父親1人では手に余るということもあってか田舎の祖父母の家に2週間ほど預けられたこ

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噓日記 7/26 謎へのアプローチ

噓日記 7/26 謎へのアプローチ

今更になって思うことだが、俺はいつだって名探偵になりたかった。
スマートに謎を解決してそっと現場を消える、そんな謎めいた大人の男という存在が憧れであり俺の思う格好よさの基準であった。
しかし、今の俺はどうだろうか。
普通に大学を出て、それからもう10年は経とうとしているが、名探偵の影さえ踏めていない。
なんなら探偵にもなっていない。
憧れと生活が紐付かないことを大人になる度に直視させられた結果が今

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嘘日記 7/25 ちかこか様

嘘日記 7/25 ちかこか様

私の住む村には、ちかこか様という正体不明の何かが居着いていると言われています。
大体の子どもが中学校を卒業するまでに出会い、質問をされ、それに答えると二度と目にすることはなく、いつの間にかその姿形さえ忘れ去ってしまうという一種の妖怪のようなものです。
私たちはちかこか様に出会い、質問をされたという事実だけを持ち帰り、大人になっていきます。
大人になった時、ちかこか様と出会ったなぁという淡い思い出が

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噓日記 7/24 防水について

俺は趣味で腕時計を集めている。
高級時計を愛でるという感じでもなく、安いものは100円から高くても100万円くらいのまぁそこそこの趣味だ。
数十本をケースに並べて、ニヤニヤとしながら毎日の始まりにその日のファッションに合わせた一本をチョイスしてその日の自分をインストールする。
職種的にそこまで服装に厳しくないのもあって、俺は日毎に自分というペルソナを自分で決めて、なりたい自分や見せたい自分を設定す

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噓日記 7/23 ネット通販大攻略死

噓日記 7/23 ネット通販大攻略死

ネット通販のポイントアップに踊らされながら日々を過ごしている。
ポイントが得だからと欲しくもない商品を買い漁る様子は殆ど病的だが、そこに娯楽性を見出しているのだから多少の浪費は目を瞑ろう。
ECモールに出店された店舗を買い周り、段階的にポイント倍率が上がっていくというイベントが開催されると、まず倍率が上がりきる9店舗をピックアップする。
ポイント倍率が上がる最低額を9つ、実際に欲しい商品は10店舗

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噓日記 7/22 偏見を見つめる

噓日記 7/22 偏見を見つめる

私は平等な人間でありたい。
しかし、どうしても抱えてしまう偏見がいくつかある。
それを書き記し、自らを見つめ直していく。

・野球部
最後の夏の大会後に行った祭りで自分の私服が死ぬほどダサいことを知る。
ピタピタのパンツに変な鮮やかなシャツとスニーカーを合わせる魑魅魍魎となる。
基本的にグローブの色の規定くらいしか色に触れることがないため、発色の良いものしか認識できない。
原色と蛍光色に誘蛾灯のよ

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噓日記 7/21 ジンクスと人生

噓日記 7/21 ジンクスと人生

俺にはガキの頃から信じているジンクスがある。
それは単純明快にして馬鹿らしいものなのだが、マンホールを踏まなければ幸せになれる、といったものだ。
誰に聞いたか分からないくらい昔から、しかしそれを聞いて以来明確にマンホールを避けて歩いている。
同い年の人間が踏んできたマンホールを100とすると、恐らく俺は10も踏んでいない。
それくらい昔から俺はマンホールを踏むことを避けてきた。
そういうジンクスを

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噓日記 7/20 童心を取り戻す作業

噓日記 7/20 童心を取り戻す作業

大人になるたびに何かを諦めることに慣れてしまう。
子どもの頃に悔しくて泣いていたことだって、今はグッと飲み込んで表面上だけ笑って見せられる。
それを強さというのか、それとも弱さというのか、私には分からない。
ただ、自分の思うままに笑い、自分の思うままに泣けたあの時の私は今よりもずっと何かを諦めなかった。
何かに挑み続ける気概とそれをやり抜く負けん気があった。
それらが今の私には足りていない。
諦め

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噓日記 7/19 渋沢栄一が敬った男「伊藤博文」のビジネスで使える格言

噓日記 7/19 渋沢栄一が敬った男「伊藤博文」のビジネスで使える格言

んなもんねーよ!!!!!!!
何でもビジネスに使うならバカタレ(笑)
タレバカ(笑)
ガキデカ(泣)
この世の万物をビジネスに転用しようとすな!
ということで昨今のビジネス偏重の風潮に一石を投じるどころか、でっけぇでっけぇカタパルトで殺生石をぶち込んでやりたい俺がいます。
けど本当は惚れた女の前じゃ優しくなれない俺もいます。
さて、本題ですがビジネス書を読んでる奴、彼ら、言葉は悪いけどアレです。

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