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噓日記 7/29 杭ズ番組 マタンゴ放逐戦争

クイズ番組がテレビで放送されているとついつい作業の手を止めて見入ってしまう。
クイズが好きなわけでもなく、好きなタレントが出ているわけでもない。
ただ何かしらの謎に正解したという実感が快楽を齎してくれるのだ。
私は、知っていることを何よりも喜ぶのかもしれない。
それもそのはず幼い頃、なんとなくといった風を装い眺めつつ、自分がわかる問題が流れたらすかさず鬼の首を取ったようにその正解をひけらかすという嫌なガキであった。
ただ、私が思うにこの所作こそが正しくクイズ番組の楽しみ方なのではないだろうか。
しかし、最近のクイズ番組を視聴していると当時と問題の傾向や前述の楽しみ方などが変わってきていることに気付いた。
最近のクイズ番組は難易度が極端に分かれていることが多い。
難しいものは難関大のクイズ研究会が解けるようなレベル、易しいものは一般常識以下のサルでも解けるレベル。
昔のテレビ番組でよく見た五分五分の難易度というものは少なくなってきているような気がする。
食卓を囲んで父親と長女は分かって、母親と次女はわからない、なんてシチュエーションはもはや絶滅危惧種なのかもしれない。
0か、1かのどちらかなのだ。
では最近のクイズ番組はどう楽しめばいいのか。
それも私は徐々に分かってきた。
高難易度のものについては出てくるクイズ研究会の吹けば飛ぶようなヒョロガリたちをタレントとして応援するという方法だ。
ヒョロガリたちは大抵電波の狂ったラジオよろしく甲高い小さな声で正解を呟くので見ていて珍獣観察をしているようで面白い。
そのくせ頭がいいので頭ばかりが肥大して体とのバランスが乖離しており、ついでに光届かぬ暗室でクイズ研究なんかしているものだからビタミンDも生成されず、骨の細いカリッカリの体が遠目に見ると殆どエノキみたいなものなので、彼らを見ると鍋を食べている気分になる。
食卓に 彩添える クイズかな
川柳だって飛び出す。
簡単なものについては家族の中に化け物が居ないかのテストに使える。
人間、暮らしているといつの間にか家族に混じりがちなのが、マタンゴ(お化けキノコ)。
そいつらに対して知能テストを行なって見分けるのに活用できる。
簡単な問題も正解できないなんて、という大義名分が得られるのでもし勘違いでも罪悪感が湧きにくい。
銀の杭で、穿つ。
それでいい。
生活に 紛れ居座る キノコかな
川柳だって飛び出す。
以上が最近のクイズ番組の楽しみ方だ。
ちなみに二つ目の楽しみ方で正解率が高いマタンゴはもしかしたらエノキ(クイズ研究会)の可能性があるので注意。
その場合も同じ。
銀の杭で、穿つ。
それでいい。

どりゃあ!