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噓日記 7/23 ネット通販大攻略死

ネット通販のポイントアップに踊らされながら日々を過ごしている。
ポイントが得だからと欲しくもない商品を買い漁る様子は殆ど病的だが、そこに娯楽性を見出しているのだから多少の浪費は目を瞑ろう。
ECモールに出店された店舗を買い周り、段階的にポイント倍率が上がっていくというイベントが開催されると、まず倍率が上がりきる9店舗をピックアップする。
ポイント倍率が上がる最低額を9つ、実際に欲しい商品は10店舗目から狙うのだ。
そのポイントアップへの筋道を計画している時間だけが私に日常という温度感を齎してくれる。
最低額の商品はそのイベントに合わせて多数の出品があるのだが正直に言ってしまうと大した商品はない。
よくよく考えると割高な食品や、効果があるのかさえ危うい他国製の電化製品などがそれにあたる。
それらを上手く回避し、どうにか日常に組み込める程度の消え物やそれに準ずる商品たちをリスティングしていく。
平時から最低額の商品の中で光るものをお気に入りリストに整理しておくことがこのイベントの必勝法なのかもしれない。
いざイベントが始まるとタイムセールだなんだと消費者を惑わせる文言が現れ始めるが、そこで意思を強く待ちただひたすらに最低額の商品を先に消化できるかどうかで最終的なポイント量に大きく差がついてくるのだ。
いらん粉末スープ、いらんタオル、いらん粉末スープ2などを次々と購入する。
この時、正気に戻ると全てをやめてしまいたくなるので絶対に正気に戻らないようにウイスキーをストレートで何杯か飲んでおくと勇気が貰える。
その勇気こそが決済画面を突き進む推進力となる。
推進力で突き進んで慣性のままに9店舗を巡る。
数日後に段ボールが多数配送されてくることにテンションを下げてはならない。
そして、どうにか9店舗を巡り終えた後、そこからはもう楽園である。
高価な商品のページを閲覧し、付与されるポイントの概算を見てほくそ笑む。
その頃にはもうポイント倍率は10倍を超える。
10万の商品を購入すると、1万のポイントがバックされる。
事前に使った約9000円が1発でチャラになる。
しかし、10万円で欲しいものなど特にないので迷い続ける。
この時間が至福なのだ。
取らぬ狸の、なんて言葉があるがこれはもはや確実に手に入るポイントを計算する時間。
利しかない。
ウイスキーをしこたま飲んでいるので判断力はまるでない。
私はこの攻略法を使い、68万円の庭に置く2メートル強のゴリラの像を買った。
通販はしないほうがいい。

どりゃあ!