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好きな曲は好き~風化する教室/きのこ帝国~

はじめに

今日は好きな曲について書いてみようと思います。
きのこ帝国の『風化する教室』です。


記憶は想い通りに風化するのか

この曲は印象的な言葉から始まります。

『記憶は想いどおり風化する
 窓際で嘘ばかりついていた』

この曲中では何度もこの『記憶は想い通り風化する』というフレーズが出てきます。
『風化』という言葉の定義は中学1年生の理科において、地学の単元で学びます。
「風化とは岩石が地表の条件下で変化していく過程のこと」です。
それでは、『記憶が風化する』ということはどのような意味でしょうか。

私は、中学生のころ、このように考えていました。
小さい頃に、ぬいぐるみを勝手に洗濯されたことが嫌だったように、“嫌”という思い出や、知的な友人が大好きだったりした“好き”という感情は、いつか忘れてしまう時が来るんだろうな、と考えていました。

もしかしたら、すべて覚えているつもりでも、いつかの私が嫌で嫌で仕方なくて、忘れたいと必死に“願わずとも”自然に忘れてしまった記憶があるのだろうか、と思いました。
このように考えたとき、私は少し怖くなりました。

忘れたくないことも忘れたいことも、私の中の記憶は私の願う方向に変化していってしまうのではないかと。
そうすると、私が今記憶している嫌な思い出も良い思い出も、私が思い通りに風化”させてしまった”記憶なのではないかと。
真実ではないのではないかと。

このころから、思い出をストリー仕立てに覚えて、忘れないように記憶しておく癖が始まったのかもしれません。


ここでは息ができるか、生きていけるか

『深海のね 魚たちは
 浅瀬ではね 死んでしまうの』

この歌詞は、私は「適しないところでは、生きていくことができない」という意味だと感じました。

それでは、私に適した場所とはどこでしょうか
この生まれた小さな町でしょうか。
少し遠くにある地方の都会(街)でしょうか。
それとも、見たことも聞いたこともないどこかでしょうか。

このように考えたとき、自分がいる場所に疑問を持つという思考に初めて至りました。
私はこの小さな町で、息をしているでしょうか。
今後も息をしていけそうでしょうか。

もっと、思いっきり息を吸って、自由に泳ぐことができる場所があるのでしょうか。
このように考えたとき、もっと“外”を知りたいと思うようになりました。
知らないと私は、私の最大級の泳ぎを知らないまま、私は“浅瀬で”死んでいくのかもしれない。それは怖い。と思いました。


あざ笑うのは誰か

『意思のない言葉の羅列
 あざ笑う声は遠く
 窓際で きみは息をしていた』

この歌詞における『きみ』は“私”だと思っていました。
今思うと少し気恥しいような気もしますが、そう思っていました。

私は中学校の先生が大嫌いでした。
田舎で生徒同士も先生同士も、学校同士の競争もほとんどなく、先生はぬるく日々を過ごしているように思っていました。
勉強を頑張りたい生徒を特に良く接してくれることもありませんでした。
体育の先生の権力が強く、運動至上主義でした。
先生同士のいじめも多分ありました。

私はこのころ先生がいう言葉も、私が学校で放つ言葉も『意思のない言葉の羅列』であると感じていました。
私たちの会話に本当の意思なんてない、それでも笑いあいながら表面上だけの関係が築かれていきます。

『あざ笑って』いたのはどちらでしょうか。
少なくとも、私はこの生活をやり過ごそうと教室で静かに息をしていました。

曲中で、『あざ笑う』という部分が強調されるように、2つの声が重なって歌われる点も印象に残っています。

今、どう思うか

でも、この記憶も、風化した記憶なのでしょうか。
この風化を受け入れながら生きていかないといけないのでしょうか。

作詞された佐藤さんの意思とは全く違う解釈かもしれませんが、今の私は、一方で、「記憶なんて風化するから大丈夫だよ」と励ましてくれているという解釈もできるな、とも考えています。
適当に、テキトーに、風化させていきましょう。

大事だと思ったらメモしとけばいいし、つらいと思ったらその場で目をつむってみましょう。
つらかったことを話すと楽になる、という言葉もありますが、つらかったことを一個話すなら、おいしいケーキの話を十個話したいです。

『想い通りに風化』させてみましょう。
そう自分に言い聞かせているときもあります。

さいごに

このような解釈は、作詞の佐藤さんのインタビュー等を全く見ることなく考えたことです。
そのため、全然作詞の意図と違うことを言っているかもしれません。
この曲を聴いた人は他にどのような事を感じるのでしょうか。
興味がありますね。
でも、中学生の頃の私の感情も大事にしてあげたいです。
だから、この曲が思い出深くて大好きです。

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