vivi

地方国立大学院生。 最近読んだ本の感想やまとめなどを発信していければと思います。

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正欲 - 感想

はじめに浅井リョウさんの作品「正欲」を鑑賞したので感想を記録します。 また、映画→小説の順で鑑賞したため、映画後に小説を読んだからこその気づきも共有できればと思います。 感想マイノリティの中にも、マジョリティとマイノリティが存在する。これが、小説を読んで一番印象に残った事実です。昨今取り上げられ、そして多様性という言葉で社会が受け入れようとしているのは少数の中の多数派に過ぎないということを思い知らされました。もちろん、これらの少数の中の多数派が生きやすい世の中にすることは大

    • 静岡市美術館 - 西洋絵画の400年

      東京富士美術館に収蔵されているルネサンスから近代美術までの西洋絵画が静岡市美術館にやってきたので行ってみた。 まず学びになったのは16-19世紀の西洋では、絵画のジャンルに序列がったことである。具体的には、歴史画 > 肖像画 > 風俗画 > 風景画の順で高尚とされていた。景色などありふれたものは軽視され、「誰を描くか」がかなり重要視されていた様子。神様や偉人を描いた作品が高く評価され、写実性と描く対象の精神性が反映されたエレガントな作品が多いのが特徴的である。この時代の作品

      • ブルーピリオド - アニメ感想

        好きだからこそ、満足できない自身の現状に嫌気がさし、楽しめなかったり、気が進まない時がある。 このアニメは、好きなものに本気で向き合う勇気を与えてくれる。夢中になれるものがあるけど挫折気味、そんな人にとって大きく背中を押してくれる作品だと感じた。 好きなことをやるって、いつでも楽しいって意味じゃない。 でも、最強になるために努力しようと思う

        • 広告業界志望者に役立つ本 (3選)

          25卒で広告代理店を受けていた際に面接等で役立った本を三つ紹介いたします。 1 「世界を変えたブランド広告」 著者:杉山恒太郎 ナイキやアップルの事例をはじめとして、たくさんの世界や日本で作られた秀逸な広告のキャッチコピーやクリエイティブが紹介されています。電通出身の著者によって、その広告が作られた社会背景や実装後の影響について客観的評価と主観的評価を交えた解説が記述されており、「良い広告の事例」をインプットできる良書です。 2 「2030年の広告ビジネス」 著者:横山

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        正欲 - 感想

          ルックバック - 感想

          映画版ルックバックを観たので感想を綴ります。 個人的に藤本タツキ先生のイラストがとても大好きなのですが、映像でも原作の雰囲気が忠実に再現されており、純粋に原作では表現しきれない音や色彩が追加されていて感動しました。作中のお気に入りシーンは、4年生の藤野が学年新聞で京本の絵と出会いったことをきっかけに、机に向かって猛練習するシーンなのですが、背景で季節が色鮮やかに巡っていく様子が綺麗すぎて眼福でした。 映画ならではの1番の気づきは、京本の喋りがめちゃ訛っていたところですね。

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          常識のない喫茶店 - 感想

          僕のマリさん著のエッセイ集「常識のない喫茶店」を読んだ。 内容としてはカフェバイトあるあるなのだけれど、従業員の本音が生々しく具体的に文書化されていて、ファミレスでバイトしてた自分には共感の嵐。 バイト中、お客さんの些細な行動が気に障る瞬間は多々あったが、こんなことでイラつくなんて、自分の心は汚れていると思ってきた。でもそんなことはなかったみたい。ページを捲るたびに、著者の体験に対する笑いと、自分の精神が肯定されている感覚が得られた。 全飲食バイト経験者に読んでもらいたい一作

          常識のない喫茶店 - 感想

          熱帯夜

          RIP SLYMEさんの「熱帯夜」をDTMでカバーしました。 初心者クオリティかもしれませんが聴いていただけますと幸いです。

          ブランクスペース - 感想

          (ネタバレ注意!) 熊倉献さん作の漫画「ブランクスペース」を読みました。 この作品は、主人公の女子高校生である狛江ショーコと、頭の中で組み立てた目に見えない実体を作り出せる特殊能力持ちの同級生片桐スイの学生生活を描いた日常系SF作品(?)です。 この手の超能力者が出てくる日常系作品は、主人公が超能力でなんでも解決してしまうギャグ漫画になりがちな印象ですが(超主観)、この作品はそうではありません。 作中ほぼ唯一の超能力者であるスイは、お昼ご飯は教室ではなく中庭で食べたり、図

          ブランクスペース - 感想

          サカナクションの歌詞が忘れられないの

          サカナクションの2019年に発表されたシングル「忘れられないの」の歌詞がとても好きなので共有させてください。 歌詞全体の中でも特に気に入っているのは冒頭の部分です。 どうですか?歌詞が美しすぎませんか!? この曲は、思い出の故郷を旅立った人物を一人称としたストーリーを歌っていると解釈しているのですが、 「春風で揺れる花、手を振る君に見えた」は きっと故郷は田舎で、主人公が野原で風に吹かれる花を見て、大切な人に見送られたと錯覚した状況を表現していると思います。 風に揺られた

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          映画ドラえもん のび太の地球交響楽 - 感想

          2024年春公開の映画「ドラえもん のび太の地球交響楽」を見ました。劇場でドラえもんを見たのは、2006年のピー助ぶりです! 要約学校の音楽会に向けて皆でリコーダーの練習をしていると、音楽が動力となっている惑星ムシーカの住民チャペックに、お前らヴィルトゥオーゾ(音楽の達人、プロ超えの音楽家)やん!私の惑星、君たちの音楽で救ってくんない?と言われて、ムシーカで音楽を演奏し、惑星を復活させていくお話。 また、のび太がリコーダーが苦手で、音楽の授業をサボるために、書いたらその通り

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          ぎょらん - 感想

          町田そのこさんの著書「ぎょらん」を読みました。 ざっくり内容は、 死者が、死ぬ間際に残す、最後の願望が込められた赤い球 (ぎょらん) を巡り、あらゆる人物が大切な人の死と向き合うエピソードが綴られています。すべてのエピソードには、朱鷺という、ぎょらんの正体を追いかけている男性が関与しており、エピソードを追うごとに、ぎょらんの正体が明らかになっていきます。 読み切った率直な感想としては、べたですが、生きている間の繋がりを大事にしなければと感じました。そう強く感じたきっかけは

          ぎょらん - 感想

          映画 「ミステリという勿れ」 感想

          今更ながら、映画「ミステリという勿れ」を観てきました。 夕方に行ったのですが、公開後2ヶ月経っていることもあり(?)、なんと私だけでスクリーン貸切状態でした。1300円で映画館一部屋を独り占めという優越感にひたりながら、リラックスして観れる映画は最高でした! ここから感想です。 普段ミステリー系は観ないのですが、本作は、段階的に謎が解き明かされていくため初心者でもわかりやすく、自身でも考察しながら楽しんでみることができました。 謎解きがかなり丁寧に進んでいくので、視聴者

          映画 「ミステリという勿れ」 感想

          イブ・サンローラン展 - 時を超えるスタイル

          国立新美術館で開催されているイヴ・サンローラン展に行ってきました。 これといってファッションに詳しいわけではないけれど、サンローランの洗練された華美すぎない女性服が好きです。平面的でなく、立体的に計算され尽くしたシルエットにうっとりします。 サンローランは黒を基調とした服のイメージが強かったけれど、展示では、世界各国から着想を得た色鮮やかな服も多数展開されていて印象的でした。 また、ディズニーのヴィランズが着てそうなダークで奇抜な服もたくさんあり、中でも雄鶏の黒くて艶のあ

          イブ・サンローラン展 - 時を超えるスタイル

          キリエのうた - 映画感想

          アイナ・ジ・エンド主演の音楽映画「キリエのうた」を見てきました。 率直な感想は、「壮絶ながら心地の良い時間だった」です。 本作品では、主人公のキリエやその周囲の人々に降りかかった理不尽と幸運、そしてキリエのアーティストとしての成長が描かれています。 主人公のキリエは、震災によって幼くして家族を亡くしてしまいました。また、大好きなお姉ちゃんを亡くしたショックから、歌を歌う時以外満足に声が出せない体になってしまいました。 しかし、その後、キリエは深い友人となるイッコを中心と

          キリエのうた - 映画感想

          かがみの孤城-感想 (研究室学生にもおすすめ)

          今更ながら、辻村深月さんの人気著書「かがみの孤城」を読んだので感想をまとめます。 はじめに この作品は、様々な理由で、とある日本の中学校に通うことができない7人の学生たちの友情や成長を題材としています。しかし、大学院生である私には、この物語内に散りばめられた学生を勇気づけるメッセージは、学校にうまく馴染めない中高生だけでなく、研究室に篭り、研究に生活を支配されているような大学生にも刺さる内容だと感じました。 内容 著書の内容をざっくりまとめると、とある日本の中学校に不

          かがみの孤城-感想 (研究室学生にもおすすめ)

          とあるカップル

          午後10時、私は東京での就職活動の用事を済ませ、最寄駅から自宅に帰るため、バスターミナルにいた。バスターミナルはこんな時間には珍しく、多くの中高生と思われる若者で賑わっていた。服装から察するにどうやら近所で祭りがあったらしい。 私は自宅の方向に向かうバス停に並んだ。案の定、その列は祭り帰りの学生で行列ができていた。スマホの充電もほとんどなく、本も持ち合わせていなかった私は最後尾で、昔を懐かしみながらも、周囲の騒音による苛立ちに耐えるようにただひたすらにぼーっとしていた。

          とあるカップル