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ぎょらん - 感想

町田そのこさんの著書「ぎょらん」を読みました。

ざっくり内容は、
死者が、死ぬ間際に残す、最後の願望が込められた赤い球 (ぎょらん) を巡り、あらゆる人物が大切な人の死と向き合うエピソードが綴られています。すべてのエピソードには、朱鷺という、ぎょらんの正体を追いかけている男性が関与しており、エピソードを追うごとに、ぎょらんの正体が明らかになっていきます。

読み切った率直な感想としては、べたですが、生きている間の繋がりを大事にしなければと感じました。そう強く感じたきっかけは下記の文章。

どうしようもない死を前にした時、人は立ちつくして、死者とまた繋がれないかと苦悩する。死者とのつながりや記憶で救われることも、もちろんある。けれど、絶望の沼の中まで寄り添ってくれて、引き揚げて再び立ち上がれせてくれるのはいつだって同じ世界にいる人なんだ。

著書 449ページ

死者の気持ちをどれだけ推し量ろうとしても、正解を知ることなんて不可能。死者にとっても、それを見守る自分にとっても、後悔のない最期を迎えるには、生きている (同じ世界に共存している) 間の対話が必要不可欠で、これを欠いてしまうと一生自身の思い込みに悩まされることもある。死に際の相手、そして、自分が後悔の渦に呑まれないためにも、思いを伝え切ることが大事だなと思いました。また、人って想像以上に突然に、あっさり死んでしまう。だからこそ、日常での一つ一つのコミュニケーションをもっと大事にしようと思いました。

総括としては上記の感想になります。しかし、書籍全体を通してではなく、個々のエピソードにも、濃ゆい感動が含まれており、本当はエピソード単位で語るべき作品な気もします。

個人的に一番好きだったエピソードは「あおい落葉」です。中学時代の友人の死を起点とした話なのですが、人物間の入り組んだ思いが紐解かれていき、読了した際、めちゃめちゃ泣ける話です。

気になってくれた方はぜひ!

読んでくださりありがとうございました。

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