はみだし国語の授業

教科書で扱われている古典作品について、授業の時間だけでは語り尽くせないところまで踏み込…

はみだし国語の授業

教科書で扱われている古典作品について、授業の時間だけでは語り尽くせないところまで踏み込んでお話しします。興味を持ってもらうことが主眼のため、学問的な厳密さに欠ける大雑把な説明も多いです。あしからず。

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蜻蛉日記の話④ 藤原兼家という男

義父、師輔の死/帝と藤原北家/菅原道真の怨霊/孝行息子の譲位/兼家の姉、安子/ナチュラルボーン権力者/兼家の挫折/章明親王との贈答/催馬楽『夏引』/二、三人どころの話じゃない/九条殿の女御殿の御方/有職故実/小野宮流と九条流/源高明と愛宮/村上天皇の崩御/冷泉天皇包囲網/朱雀天皇の忘形見/皇太弟問題/登子との交流/安和の変/蜻蛉日記の政治性/伊尹独走体制/次男兼通/最後の除目/寛和の変/藤原道綱/愛と命を賭けたロマンティック大冒険/ 【以下文字起こし】 さて、蜻蛉日記解説

    • 蜻蛉日記の話③町の小路の女

      私は気づいたぞ/疑はしほかに渡せる文見ればここや途絶えにならむとすらむ/三夜連続の不在/なげきつつひとり寝(ぬ)る夜のあくるまはいかに久しきものとかは知る/移ろいたる菊/げにやげに冬の夜ならぬ真木の戸もおそくあくるはわびしかりけり/時姫との贈答/そこにさへかるといふなる真菰草いかなる沢にねをとどむらむ/この女なに言ってるんだ/真菰草かるとはよどの沢なれやねをとどむてふ沢はそことか/四ヶ月後の再犯/吹く風につけてもとはむささがにの通いし道は空に絶ゆとも/色変わる心と見ればつけて

      • 蜻蛉日記の話②期待外れの最低プロポーズ

        ルール無用の求婚手続き/夢見る文学少女/しょーもない紙で字も汚くてとにかくめちゃくちゃみすぼらしかった/音にのみ聞けば悲しなほととぎすこと語らはむと思ふ心あり/歌を咎める/彼女があえて書かなかったこと/夕ぐれのながれくるまを待つほどに涙おほゐの川とこそなれ/技巧を尽くした後朝の文/一晩はいいけど二晩は許せない/もっと和歌で繋がりたい/父の離京/君をのみたのむたびなる心にはゆくすゑ遠く思ほゆるかな/われをのみたのむと言へばゆくすゑの松の契りも来てこそは見め/「末の松山」って何?

        • 蜻蛉日記の話①現存最古の女流日記

          命はとらずに苦しめたい/摂関家の貴公子、藤原兼家/受領階級、藤原倫寧の娘/藤原冬嗣の子孫たち/尊卑分脈/本朝第一美人三人内也/大鏡/きはめたる和歌の上手/男性貴族の先例としての日記/ためしにもせよかし/遺書を書くこと、人生を振り返ること/和歌の名手だからこそ至った境地/角川ソフィア文庫/川村裕子『平安女子の楽しい!生活』/新日本古典文学大系、新編日本古典文学全集、新潮日本古典集成/増田繁夫『蜻蛉日記作者 右大将道綱母』/長門千恵子『蜻蛉日記の表現と構造』 【以下文字起こし】

        蜻蛉日記の話④ 藤原兼家という男

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        • 蜻蛉日記解説
          6本
        • 『源氏物語』解説
          22本

        記事

          源氏物語の話21 日本紀の御局

          第二帖「帚木」⑨/小粋な平安男子ジョーク/吉祥天女/日本霊異記/ミス仏教/薬師寺吉祥天像/頭中将/博士の娘/我が両の途歌ふを聴け/にんにく臭い女/ささがにのふるまひしるき夕暮れにひるますぐせと言ふがあやなさ/蒜(ひる)/あふことの夜をし隔てぬ仲ならばひるまも何かまばゆからまし/例外的存在としての中宮定子/高階成忠/忘れじの行く末までは難ければ今日を限りの命ともがな/円融天皇/和泉式部/赤染衛門/出羽弁/伊勢大輔/左衛門の内侍/日本書紀講師の女房様/彰子と二人で秘密のレッスン/

          源氏物語の話21 日本紀の御局

          源氏物語の話20 消える女

          第二帖「帚木」⑧/都合のいい恋人としての女房/左馬頭の助言/折らば落ちぬべき萩の露、拾はば消えなむと見る玉笹の上の霰/中将の体験談/右大臣家の怒り/山がつの垣ほ荒るともをりをりにあはれはかけよ撫子の露/あな恋し今も見てしが山がつの垣穂に咲ける大和撫子/昔物語/藤原道綱母『蜻蛉日記』/養女が欲しい/源宰相兼忠の娘/おきそふる露に夜な夜な濡れこしは思ひの中にかわく袖かは/母たちの期待/昔物語のやうなれば皆泣きぬ/消える女と手放される娘/咲きまじる色はいづれと分かねどもなほ常夏にし

          源氏物語の話20 消える女

          源氏物語の話19 指を噛む女

          第二帖「帚木」⑦/指物/墨書き/嫉妬深い女/指を噛む/手を折りてあひみしことを数ふればこれ一つやは君がうきふし/うきふしを心ひとつに数へ来てこや君が手を別るべきをり/いといたく思ひ嘆きて、はかなくなり侍り/竜田姫/織姫/たはぶれにくゝなむ、おぼえ侍りし/ありぬやとこころみがてらあひみねばたはぶれにくきまでぞ恋しき/浮気な女/月、菊、紅葉、笛、琴/ザ・平安貴族の恋愛/琴のねも月もえならぬ宿ながらつれなき人をひきやとめける/木枯らしに吹きあはすめる笛のねをひきとどむべき言の葉ぞな

          源氏物語の話19 指を噛む女

          源氏物語の話18 愛の駆け引きとしての出家

          第二帖「帚木」⑥/もう性格以外どうでもいい/愛の駆け引きとしての出家/尼削ぎ/葵の上の兄としての中将/光源氏の狸寝入り/蜻蛉日記/藤原道綱母/女房じゃない女性の文学/藤原兼家/最初の妻、時姫/道綱の元服/これで最後かもしれない/愛されたいと望み続けること/受領の娘/出家未遂事件/若い二人の思い出/疲れ果てて泣き出す道綱/藤原道隆の来訪/あまがえる/きはめたる和歌の上手/息子のラブレター母親が書く/和歌を作れるということ 【以下文字起こし】 源氏物語解説の第18回です。帚木

          源氏物語の話18 愛の駆け引きとしての出家

          源氏物語の話17 一夫一妻多妾制

          第二帖「帚木」⑤/平安時代の婚姻制度ってどうなってたの問題/高群逸枝『招婿婚の研究』/一夫多妻妾制/妾(しょう)/一夫一妻多妾制/三つの論点/工藤重矩/フィクションから制度を読み取る危うさ/家の内のあるじ/左馬頭の衝撃発言/葵の上って光源氏の正妻なのか問題/モテる女性の手練手管/過度の「もののあはれ」は邪魔/伊勢物語「筒井筒」/幼く素直な妻と、無愛想だけど有能な妻 【以下文字起こし】 源氏物語解説の第17回です。帚木の解説としては5回目になります。もういい加減、「雨夜の品

          源氏物語の話17 一夫一妻多妾制

          源氏物語の話16 「女にて見る」問題

          第二帖「帚木」④/中将の不本意/新日本古典文学大系/新大系・旧大系/新潮日本古典集成/新編日本古典文学全集/古註/思いがけない出会いが良い/藤式部丞の姉妹/光源氏の見解/束帯・衣冠・直衣/女にて見奉らまほし 【以下文字起こし】 源氏物語解説の第16回です。帚木の解説としては4回目になります。 前回は、光源氏と中将の女性談義に、左馬頭と藤式部丞も加わって、受領の家の娘はなかなかバカにできないぞ、みたいな話をしていたんでしたね。 ここで一つ補足しておきたいんですが、第15

          源氏物語の話16 「女にて見る」問題

          紫式部の父親の話

          藤原為時の話/中納言兼輔の孫/菅原文時/菅原道真の孫の弟子の娘/師貞親王の副侍読/蔵人/受領就任への王手/陣定/巡任/花山天皇の退位/紫式部の少女時代、突然の父無職/散位/位録/一度きりの晩婚/返り咲く為時/今昔物語/古事談/十訓抄/除目/申文もてありく/歌徳説話/淡路守から越前守へ/大江匡衡/出世しすぎず人生全うした道真/赤染衛門の夫/なんとかしてやりたいやつリスト/三蹟が一人にして一条朝の能吏、藤原行成/『権記』/藤原実方/職場の同僚のズボン無理矢理脱がせて捨てる/蔵人頭

          紫式部の父親の話

          源氏物語の話15 平安中期の階級意識

          第二帖「帚木」③/「きざみ」と「しな」/雨夜の品定め/高貴すぎて知らない世界/零落と成り上がり/上達部(かんだちめ)/位階/貴族=五位以上/三位(さんみ)/殿上の間/昇殿/参議/公卿/左馬頭と藤式部丞/左馬寮右馬寮/式部省/藤原為時/四位の中将、五位の左馬頭、六位の式部丞/どっちも中流/受領(ずりょう)/国司/守(かみ)、介(すけ)、掾(じょう)/遙任(ようにん)/公地公民/人頭税/制度破綻/人頭税から地税へ/受領=徴税請負人/受領=代表的中流階級/受領は儲かる/英才教育と玉

          源氏物語の話15 平安中期の階級意識

          源氏物語の話14 雨夜の品定め

          第二帖「帚木」②/五月雨と物忌/宮腹の中将/義兄であり親友でありライバル/男同士の女性談義/かたかどもなき人はあらんや/上流中流下流/吉村研一「源氏物語において『ほほゑむ』の果たした役割 『ゑむ』と『ほほゑむ』の違い」/ほほゑむ人としての光源氏 【以下文字起こし】 源氏物語解説の第14回です。箒木の帖の解説としては二回目になります。 今回から、有名な「雨夜の品定め」のシーンについて話すんですが、これがねー、思った以上に面白くて、考えることが色々あったので、一回では終わり

          源氏物語の話14 雨夜の品定め

          源氏物語の話13 既存の物語を超えて

          第二帖「帚木」/現実の歴史の延長線上/「語り手」の問題/最強無敵のプレイボーイ交野の少将/兵衛府、衛門府、近衛府/貴公子といえば近衛の中将/伊勢物語初段「初冠」/春日野の若紫の摺衣しのぶの乱れかぎり知られず/陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れそめにしわれならなくに/既存の物語を超えて 【以下文字起こし】 さて、伊勢物語の解説を何度か挟みまして、今回からは再び、源氏物語の解説に戻ろうと思います。 忘れてしまった人も多いかと思うのでおさらいしておきますが、源氏物語っていうのは

          源氏物語の話13 既存の物語を超えて

          伊勢物語と斎宮の話

          もう一人のヒロイン、恬子内親王/狩の使/伊勢の斎宮/来る女/君や来しわれや行きけむ思ほえず夢かうつつか寝てか醒めてか/かきくらす心の闇に迷ひにき夢うつつとは今宵定めよ/血の涙/かち人の渡れど濡れぬえにしあれば/また逢の関はこえなむ/惟喬親王の妹/中宮定子、業平の末裔説 【以下文字起こし】 さて、前回は、伊勢物語の中に100個以上あるお話のうち、藤原高子という女性に関連するエピソードだけをピックアップして紹介しました。一番メジャーですし、魅力や面白さも伝わりやすいと思ったの

          伊勢物語と斎宮の話

          伊勢物語と藤原高子の話

          伊勢物語=歌物語/ひじき藻の話/思ひあらば葎の宿に寝もしなむひしきものには袖をしつつも/駆け落ちしてもいい/古今和歌集と伊勢物語/二条の后=藤原高子/清和天皇の后、陽成天皇の母/人知れぬわが通ひ路の関守は宵々ごとにうちも寝ななむ/高子の叔母、藤原順子/和歌のミラクルパワー、歌徳/平城天皇の孫/薬子の変/業平の父、阿保親王/業平兄弟の臣籍降下/承和の変/嵯峨天皇から淳和天皇への譲位/橘嘉智子/嵯峨天皇の息子、仁明天皇/藤原北家の台頭/藤原良房の妹、順子/藤原一族の皇子/伴健岑と

          伊勢物語と藤原高子の話