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【海外生活】フィギュアスケート競技の世界で生きているからこそ伝えたい想い【カナダ】

第14回目は、バンクーバーでフィギュアスケート競技のコーチをしていらっしゃる関徳武さんにお話を伺いました。関さんは日本国内でフィギュア競技のコーチングに長年従事された後、バンクーバーへ移住しコーチングを通じて生徒さんが人として成長する手助けをしたいとの思いで活躍していらっしゃいます。そんな関さんの生き方や想いを少しおすそ分けしてもらった記事がこちらです。

さまざまなバックグラウンドやキャリアを持つ人々が集まる町、カナダ・バンクーバー。
そこで活躍する日本人の方々とこれまでのステップや将来への展望を語り合う「カナダ・バンクーバーの今を生きる日本人」。それではどうぞ!

プロフィール
12歳から札幌でフィギュアスケートを始め、18歳で仙台に移住してからはより厳しい練習を積み、 全日本シニア選手権には6回出場。現在はカナダでフィギュアスケートの指導を行っている。20年以上の指導経験があり、元日本代表のハイパフォーマンスチームコーチ。


バンクーバーのフィギュアスケート事情

写真はイメージです


——生徒さんとの練習を実際に見学させてくださり、ありがとうございます。みなさん一年を通して練習していらっしゃると思うのですが、シーズンは年に何回くらいあるのですか?

試合期は短いオフ期間を挟んで1、2回くらいです。選手によって違うんですけど6月、7月、8月と毎月のように試合があって、選抜で出ることもあれば自分で申し込んで参加する試合もありますね。

生徒の中にはオリンピックを目指している子もいれば国際試合に派遣されることを目指している子もいます。地区大会で何位になりたいという目標の子もいます。目標は自分のスケーティングが進歩していく中で少しずつ変わっていくと思います。ここまでできるようになったから次はこの試合を目指していきたいとか。生徒さんによってスケートに注ぐ力も違いますよね。

——プロになりたい生徒さんもいらっしゃるのですか?

フィギュアスケートの「プロ」というのはアイスショー等に出演して報酬をもらうスケーターのことで、オリンピックにいく選手はアマチュアになるんです。フィギュアの世界ではプロという括りは小さくて、みなさんがテレビでも見る「競技」に出ている人たちはアマチュアで国際大会を目指している方達ですね。

——もし自分がオリンピックを目指す場合、どのような道筋を通っていくものでしょうか?

まずカナダでオリンピックへの出場枠がいくつあるかなんですけど、大体1つか2つしか枠がなくカナダ選手権で1位、2位に入るというのが最低条件です。それ以外に国際試合である程度成績を残して、国際スケート連盟のポイントも獲得しないといけないですね。

——フィギュアスケートをやっている日本の高校生が母子留学でカナダにスケートを学びにくる場合、カナダの大会で1からキャリアを積まなくてはいけないですか?それとも日本大会での成績も引き継ぐことができるのでしょうか?

日本の成績は引き継がれるんですけど、おそらく日本からバンクーバーに来る子は日本の試合に出ることを想定しているので、試合の度に日本に帰ってそれが終わるとバンクーバーに戻りトレーニングするという感じですね。

——バンクーバーへトレーニングのためにいらっしゃる生徒さんは、例えば関先生であったり特定のコーチの指導を求めて渡加する生徒さんが多いですか?

何通りかあると思うんですけど、コーチの指導を受けに来る子もいますし、家族の意向でバンクーバーへの引っ越しが決まり、そのきっかけから現地で新たにコーチを探す子もいます。地域のスケートクラブには所属するコーチがたくさんいるので、その人に習うっていう子もいます。クラブに所属するコーチに習うと、こちらの地区大会に出る権利もあるし、日本で試合に出ようと思えば出られるし、両立できる感じです。

日本のフィギュアスケートは強い


——カナダってきっとフィギュアスケートの競技人口は多いですよね?

多いですね。

——ということは、それだけ大会出場などの競争率も高いのでしょうか?

競技人口は多いけど、レクリエーショナルでする方と本腰を入れて競技を中心にする方がいるのでその場合は競争率としては日本の方が高いかもしれません。
日本は世界でも今は1番、2番ぐらいに強いので。いつからかフィギュア大国になってます。

——日本がそこまで台頭してきたのはなぜなんでしょうね。

人口の多さとコーチングの質でしょうか。

——コーチは海外から誘致してくるんですか?

しないんじゃないですかね?スケート環境が整っていない日本であそこまで強い選手がたくさん出てくるってことはコーチも優れていると思うし、日本人の熱心さや勤勉な国民性も日本フィギュアの成長に繋がっているのかもしれないですね。

——関先生も元々選手でいらっしゃったとお聞きしました。選手からコーチになられる方も多いんですか?

そうですね。僕はスケートは中学校1年生から始めましたが、それでも遅い方ですよね。同い年の子達は3〜4歳くらいから習い始めた子が多かったので。20代で選手だった時に夏の間バーナビーに滞在して練習していました。

——そのときはなぜ練習地にカナダを選ばれたのですか?

良い選手がいたんですよね。その時はまだ日本もスケートの表現力があまり強くなく、どちらかというとジャンプなど技術的な部分の方が強かったんです。選手を辞める前にもうちょっと勉強したいなと思ってカナダに来ました。

——例えばバレエだとロシアが本場でバレエの専門学校があります。フィギュアスケートにはそういったプログラムはあるのでしょうか?

一応カナダのフィギュアスケートにもそういったシステムはあって、バレエなどオフアイスのトレーニングプログラムもあります。でもロシアのバレエほど学校も一緒に併設されて、っていうのはないですよね。

——日本からカナダのフィギュアプログラムに入ろうと思ったら誰でも入れるものなんですか?

入れるんじゃないですかね?よっぽど混んでいない限りは。

——日本のスケートってすでに国際大会でも強く、日本国内だけでも選手が育つ環境がありますが、それでもカナダに来る生徒さんっていうのはどんなモチベーションなんでしょうか?

やっぱり特定のコーチの指導を受けたいか、もっと良い生活環境でトレーニングしたいかですかね。例えば、日本のスケートリンクは混んでいますが、こちらだとリンクは空いているし氷も比較的綺麗なんです。また、こちらでは指導もチームで行うので、ジャンプを教えるコーチ、振り付けなど演技に力を入れるコーチなどそれぞれ得意分野があったりします。

チームにもよるんですけど、日本でも大きいクラブだと同じようなシステムを取り入れているところもありますが、まだ少ないですね。そうするとコーチの負担も大きいし、割ける時間が限られてくるので細かいところで見切れない部分も出てくると思います。

実はインタビューに先立って関先生が所属するクラブチームの練習風景を見学させてもらいました。おっしゃるように氷上には数人のコーチが複数いて、3〜4名ほどの生徒を順番に指導しているようでした。

——てっきり氷の上でライバルクラブ同士が互いを牽制しながらバチバチにやっているのかなと思っていました(笑)

あ、チームによってはそういうところもあるんですよ。でもここは違って和気藹々ですね。だから今日僕が見ていた子達を違う先生が見る日もありますし、その逆もあります。全員同じチームで働いているので、主に担当する生徒は大体決まってはいますが、「チーム」としてコーチみんなで協力して生徒達を育てていこうっていうシステムですね。

——カナダの大学生は大学でひたすら勉強をしている印象なんですが、日本のように大学でスケートを練習するっていうことはあまりないんでしょうか?

生徒によって違うと思いますが、こっちだと大学の勉強がものすごく大変らしくて。4年間みっちり、めちゃくちゃ勉強するんですよね。だから大学に行ってスケートを辞める子が多いです。あとは高校を卒業しても大学に入るのを何年か遅らせて競技に集中してからそのあとで大学に入る選択肢もあります。こっちだと何歳で大学に入学したかとか全然気にしないじゃないですか。

——ということは、大学に入る前には自分が競技を続けるのか決めている子が多いかもしれないですね。

そうですね。そこに至るまでにある程度結果が出ていて、まだ次を目指そうという状況になければ大学生活との両立はすごく難しいと思います。

——関先生は日本とカナダ両方でコーチ経験をお持ちですが、国によってスタイルの違いを感じますか?

もちろん一概には言えないですが、日本は技術的に強いです。若いのにしっかりジャンプを飛べたりするので。こちらだと魅せ方だったり感情的な部分、ラインの作り方、特に小さな生徒さんだと比較的優れているかなと思います。

あと、日本は一般の営業時間に滑るクラブが多いと思うんですけど、こっちはそれがなくて全部貸し切りですね。そこは大きな違いですね。

——カナダは室内ウインタースポーツが盛んで、スケート、ホッケー、カーリングなどリンクの取り合いにならないのか不思議でした。

取り合いになりますけど、そもそもリンクの数がとてつもなく多いですからね。日本だとフルで2面あるリンクって滅多にないんですけど、4面や7面あるリンクがたくさんあります。東京だと数えるくらいしかリンクがないからそこに競技者が密集してしまうので。

競技のジレンマと関さんが生徒に伝えたいこと

写真提供@関さん

——カナダにいらっしゃる際、トロントとバンクーバーで迷われませんでしたか?

迷わなかったかなぁ。トロントにも選手を連れて行ったことがありますが、バンクーバーの方が日本から近くて行き来がしやすい。日本からトロントは13時間で、バンクーバーだと8時間ちょっとですし。ほんの少しの違いかもしれませんが、その5時間がとてつもなく長く、負担がすごく大きく感じました。あとバンクーバーは比較的に寒くない、街がすごく綺麗でいい所で人も優しい。あとアジア文化も多いから食べるものに困らないですから。総合してバンクーバーは良い街だと思います。

——バンクーバーはお好きですか?

大好きです。人も街もゆったりしていて緑や自然が多いですよね。人にもおすすめできますね。日本の生活で得られないような充実感や心にゆとりができるっていうのが大きいかもしれないですね。

——東京からバンクーバーへいらっしゃった時、物足りなさは感じませんでしたか?

東京だと急かされるように生きていたので、朝起きてゆっくりとコーヒーを飲む時間があるとか、こうやって日向ぼっこする時間があるとか前はなかったですから。仕事に生きていたのが、やっと今は自分の人生を生きているなという感じがしました。好きなスケートにも関われて楽しいですね。

——バンクーバーへいらっしゃって生き方が変わったとのことですが、コーチとしての心構えにも変化はありましたか?

日本にいるときはそうじゃなかったんですけど、今はどうやったらスケートに関わる次世代の子達が良い社会を作っていけるかを考えています。
スポーツの経験を活かし良い社会を作っていけるように育って欲しいなと思います。自信や周りからのプレッシャーが強い子達にはプレッシャーをかけずに気持ちの面をケアするように心がけていて、良くないのは「スケートができない=自分はだめなんだ」とか、「人と比べて自分が劣っている」とか。

やっぱり自分は自分で、自分の中での競技をやって欲しいなって僕はいつも思うんですよね。そうしたら大きくなって大きな壁に直面した時にも乗り越える強さになったり、他の人をうまく助けてあげられるような大人になるんじゃないかなって思うので。

——それはご自身が競技をされていた時に抱えていらっしゃった葛藤でしょうか?

どちらかというと競技をやめてコーチになってから考えるようになりましたね。僕は結構厳しく指導していたんですが、ある時に自分のやり方が合っているのかなって疑問に思ったんです。結果は出ていましたけど、やっぱりその子の将来に良い影響がない声の掛け方だったりとか指導の仕方だったかなって。

——それに気がつかれたきっかけというのは・・・

日本にいるときは自分が正しいと思うやり方で指導していたので、周りや生徒の表情が見えていなかったのかなと思います。それがカナダに来て、少し自分に時間ができて考える余裕を持てるようになったんですね。自分がこの仕事を通して何をやりたいのかなって考えた時に、生徒さんがスケートを通じて良いものを学べれば良いけど、スケートで圧迫されて蔑ろにされて心が荒んでいくのではなく、自分で目標を見つけることであったり周りを敬うっていうことを学んでくれたら、それが僕にできる社会貢献なのかなと思います。

バンクーバーでのトレーニングを検討するのであれば


——率直な質問ですが、どうやったら関先生にお会いできるんですか?

僕はクラブに入ってきた子達を指導するので、自分で直接生徒を取ることはあまりないですね。よくあるのは日本のコーチから直接僕のところに連絡が来ることはあります。

——BCのクラブチームに入るための要件はありますか?バンクーバー近郊に住んでいないといけないとか。

住んでいなくてもホームステイで2週間だけ来る生徒さんもいますよ。日本から夏休みの間だけ来て練習して、バンクーバーの雰囲気も感じつつカナダのスケートも学ぶっていう。
留学センター経由で来る生徒さんもいれば、日本のコーチに行っておいでといわれて直接連絡が来ることもあります。

——子供たちがスケートが好きっていうことがまず1番大切で、親御さんたちはどんなふうに子供をサポートできるでしょうか。

なんか他愛もない「今日どうだった?」とか、子供が落ち込んでいる時に上手に声を掛けてあげて欲しいですね。ハイレベルでスポーツをやろうと思えば金銭的なサポートももちろん必要です。あとはメンタルや食事の管理ですかね。

——こちらだと競技をされている生徒さんの栄養学やコーチングはどうされているんですか?

要望があればクラブでも専属コーチを探す手配はしますけど、個々人で雇っている方が多いんじゃないですかね?選抜に出るような子達だと、強化合宿に行ったときにそういうコースがあったりとか。生徒の親御さん同士、横のつながりであのコーチが良いとかっていう話もあるだろうし、そうでなくてもインターネットで調べられる時代なので。

——言語の壁はありますか?

あるでしょうね。身振り手振りだけでは限界がありますし、やっぱり時間とお金がもったいないです。日常英語と競技や指導に使われる英語って全然違うのかなと思っていたんですけど、やっぱり技術的な話をすることもあるけどそれ以外は日常的な会話やコミュニケーションなので日常会話と専門用語どちらも大事ですよね。

バンクーバーでスケートする良い点として、異文化交流ができるとか英語が学べるっていうのは今後強みになってくると思うし、何よりプログラムがしっかりしていて一般滑走で滑らないとか良い環境下で練習できるっていうのも強みですね。僕も日本でコーチをやっていた時に日本から生徒を連れてこっちで練習していたこともありましたが、日本では作れない良い環境がこっちにはありますよね。

競技経験者として、コーチとして、そして人として生徒さんに伝えたいこと


筆者撮影

——人生を楽しむコツは何でしょうか?

なんでしょうね。(笑)「受け入れること」ですかね。周りに振り回されず、物事を受け入れて自分らしく生きれたら楽しいんじゃないかなと思います。選手にもよく言うんですけど、試合で出た結果を受け入れること、受け入れるって言うのは辛い部分もあるかもしれないけど、そこを受け入れられたら次に進めるし、受け入れられない時って他人のせいにしたりどこかに責任を探そうとするから。

——コーチでいらっしゃるためにも関先生ご自身が自己管理をしっかりされているんですか?

それですね、ここ何年か特に力を入れているんですよ!(笑)1番良い状態で仕事に来て、1番良い状態で子供と接したいから、機嫌を朝に整えて栄養のあるものを食べて元気な体でリンクに来るっていうのを心がけてます。

朝は瞑想をしたり、栄養をとって気分を高めるんです。最近それってすごく大事だなと思って。人間なので機嫌が悪い日とかあるじゃないですか。その状態だと、絶対良いレッスンにならないし生徒の良いポイントも見えない、伝え方も悪くなっちゃうからその状態を作らないようにして。いろんなことを試してみて今のルーティンに落ち着きました。寝れるだけ寝て朝スッキリして「よし!仕事行こう!」って家を出るんです。伝わりますからね子供に。

僕は子供と接するときは自分が上の立場と思わない様にしています。やっぱりみんな大切な人ですからね。大切に対等に、を心がけています。

——昔の関先生からは大きく変わられたんですね

過去の経験があっての今だからですね(笑)僕のスタイルとして、叱咤する事があるとすれば生徒の努力が親のサポートよりも下回る場合には本人に「それは失礼だよ」って言います。親がこれだけサポートしてくれていて、本人がその態度でスケートに携わるって言うのは良いことじゃないよって言う話はしますね。練習前に自分でウォーミングアップをして、そういうのを毎日コツコツやるのは強みになりますからね。

——生徒さんには目標を決めた方が良いよって伝えていらっしゃるんですか?

正解がないことはなるべく明確には言わないようにしています。ただ、自分的には目標があるから我慢できることってあると思うので、「目標がある方がコツコツ練習するときに向き合いやすいと思うよ」って言い方をしますね。

——すごく伝え方に気をつけていらっしゃいますね。

そうですね。伝わらなかったら何を言っても意味がないし、間違った風に伝わっても良くないですから。ただ目標がないのに我慢を強いられたら罰ゲームだし、なんのために我慢しているのかもわからなくなってくると思うんです。僕もコーチとしていろんな生徒さんと関わっていく中で気がついたことなので。いまだに日々どうやったら伝わるかなって考えています。たぶん、自分がこれで良いやと思ったら進歩しないと思うのと、今教えている生徒やその次の世代の子達に良い影響がある指導がしたいという思いがありますね。

——今日本でフィギュアスケートを頑張っている生徒さん達にメッセージをお願いします

俗にいう「運動神経が良い」や「恵まれた体格」というのも才能って言えると思うんですが、忍耐力をちゃんと培える人だったり目標を持って努力できるというのも長期的にみたら必要になってくると思うんです。忍耐力や努力するっていう部分が育たないと、どんなに良いものを持っていても磨きがかからないですから。今はまだ体の動きが良くなかったとしても、好きでコツコツと長く続けられると最後には大成することもあります。

何よりのびのびと楽しくやって欲しいですね。競技なのでたまにきついですけど、何かに一生懸命打ち込む楽しさを見つけて欲しいです。ただ苦しいだけの競技じゃなくて、元は自分が好きなことをやっているわけだからそれをどんどん広げていくように向き合えたら、最後は気持ちよく終われるんじゃないかなと思うんです。競技をやっているとそれが全てになっちゃうんですが、スケートがあなたの全てを証明するものではないと僕は思います。小さなスケートリンクの中であそこだけが自分の全てに見えちゃうけど、リンクの外にも世界はありますから。競技の結果だけに振り回されず、自分らしさを失わないでほしいです。

競技といっても自分をしっかり見つめて戦ってくれたらそれで良いんです。自分のベスト以上にできることはないし、できることをやらないで仮に試合で他の子より上に行ってもそれで満足はしないと思うんですよね。競技だから点数も出るし順位も出るから人と比べたくなるんですよ。でもそうじゃないんだよって。自分がやることを全力でやれば自分の行けるところまではいけるからって伝えたいですね。

編集後記

私はこの日初めてフィギュアスケートのレッスンを間近で見学させていただきました。会場に入ると20〜30人の中学生から高校生くらいの生徒達がウォーミングアップをしながら練習開始を待っているようでした。1人のコーチが生徒4〜5人を順番に指導していらっしゃるようで、スケーティングを練習している子もいればスピンやジャンプを練習している子もいてそれぞれ練習メニューが違うようでした。

関先生がコーチングをされているのも見学させていただいたんですが、とても印象的だったのが、レッスンの区切りごとにリンクの外周を生徒と並走しながらお話しされている姿でした。インタビューの中で生徒との距離感を「大切に対等に」と表現されていましたが、その言葉が体現されているなと感じた瞬間でもありました。先生のレッスンを長年受けていらっしゃる生徒さんにもお話を伺うことができ、彼女は先生のコーチングを6年くらい受けていて先生がクラブを移籍する時には一緒についてきたそうです。「良い先生で私とのレッスンでは特に姿勢とスピードにフォーカスして指導してくれている」とのことでした。所属が変わっても一緒にくる生徒さんがいらっしゃるということが、関先生の信頼関係の作り方の一端を表しているなとも思います。ただ、関先生はご自身も本当にフィギュアスケートがお好きで生徒たちを楽しく上手に滑らせてあげたいという気持ちがとても強い方なので、指導に関して「甘い」という意味ではないと思います。生徒たちがもっと楽しく滑るために技術を上げる、ということが指導の根底にあるのかなとお話の中で感じました。

末筆ではありますが、この度インタビューを快諾してくださった関さん、本当にありがとうございました。

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