松村さん5

起業したい人必見 ファーストキャリア選びで大事な〇〇

働き方改革によって広がる副業市場。業界のリードオフマンとして走り続ける株式会社シューマツワーカー代表取締役社長の松村幸弥さんに、
「起業を目指す学生がとるべきファーストキャリア」
「副業が彩るキャリアとそのために必要なこと」について聞いてみた。

松村幸弥さん
1989年石川県金沢市で生まれ。横浜国立大学卒業後、2012年4月に新卒で株式会社ボルテージへ入社。2016年9月株式会社シューマツワーカー(当時の社名は社食コレクション)を設立し、2017年7月に週10時間からの副業求人サイト『シューマツワーカー』をリリース。2019年2月には副業登録者数7000人超えを記録。今副業業界で最も注目されるトップランナー。

働き方改革で副業急増中

松村さん本日はよろしくお願い致します。
まず、シューマツワーカーさんの事業について教えていただけますでしょうか。

はい、「シューマツワーカー」というサービスをやっています。働き方改革で副業OKにしている会社がすごく増えていて、そういった会社に勤める優秀なエンジニアさん、デザイナーさん、マーケターさん、人事の方が平日夜や土日で他の会社で副業するためにお仕事を紹介するようなサービスです。副業する人のお仕事探しのサポートはもちろん、副業を受け入れる企業の体制のコンサルなども行っています。フォローアップの充実度はうちが売りにしているポイントです。働き方改革で副業したい人はすごく増えたんですね。でもまだまだそういう人たちが副業できているかというとそうでもなくて、副業の仕事がまだそんなにないんですよ。副業をお願いする企業も少なくて、そこを僕らが増やしていって市場を作っていくっていうところです。

副業が少ないというのは、企業さんも本当は副業でもできるのに、その方法を知らないということも多いのでしょうか。

そうですね。副業社員を利用するという発想がないので、副業を活用したいと思っていてもどうすればいいかわからないという現状があります。なので多くの企業に提案しています。

松村さんが知る意外な副業ってありますか?

そうですね。結構固いですよ(笑)副業の人って週10~15時間くらいの仕事なので、そんなに重い仕事とか、緊急度の高い仕事は任せられないんですね。期限もなくて、やりたいけど後回しにしている仕事が副業には向いていますね。勤怠管理などの社内システムの修正、運用などですね。


学生時代はインターンなどはしていなかった


ここからは松村さんの経歴についてお伺いしていきたいです。松村さんはどのような学生時代を過ごされていたんですか

そうですね、起業家の方って学生時代からインターンとか起業されてる方が多いのですが、僕は全くそういうのしていませんでしたね。遊びまくってました(笑)今日を一番楽しくするにはどうしたらいいかなって考えていて、横浜で居酒屋のキャッチのバイトをやったりしてました。

そうなんですね(笑)西口ですか(笑)

モアーズの方です(笑)前職で営業してなかったんですが、今営業結構できてるのはそこでの経験が大きいですね(笑)

営業は起業には欠かせない要素なんですね。

そうですね。でも営業能力って起業に限らず全部の職種で大事ですよ。社内で企画書出すときとか、自分がやりたいことを通すには、プレゼン能力ってやっぱり大事で、上司に「やろう」と言わせるには営業に限らず営業力は必要なんですよ。単なるコミュニケーション能力とか、ウェイウェイ能力とかじゃなくて、相手がなにを欲しがっていて、自分の強みはなんなのかっていうところですね。

ファーストキャリアとしてボルテージさんを選ばれた理由を教えていただけますでしょうか?

就活始まって、そこで始めて就活の軸っていうのを考えました。東京が好きだったんですね。それで、クリエイティブなエンタメが好き。受けるのは絞っていて、広告かマスコミかITだけにしてましたね。ひげ剃りたくなかったんですよ(笑)自由な感じで、かたいところだと自分向いてないな、と。なので広告、マスコミ受けてたんですが、やっぱり人気なんですよね。落ちまくって、そんなときに内定もらったのがボルテージだったんです。なので、そんなに深く考えて入ったというわけではないんですね。人生60年から逆算してボルテージを選んだというわけではなくて。結構ポップに選びました。


起業風土がないと起業はむずかしい


起業するうえでボルテージさんを選んだのは良かったんですか?

いや、全然っすよ(笑)

そうなんですね(笑)今考えると、ファーストキャリアこうしたかったな、みたいなのってありますか?

めっちゃありますよ(笑)
DeNAさん行きたかった~(笑)それかもうちょっとベンチャーかスタートアップに行きたかったな~って(笑)
いや、もちろんボルテージでよかったこともあるんですけど。学んだことを起業に活かせたかっていうとそうでもないし、人脈もそんなに作れなかったですね。
起業家って、DeNA出身めっちゃ多いんですよ。僕が就活やっていた当時、DeNAさんとGREEさんが一番学生のなかで人気だったんですね。DeNAさんが優秀な学生には新卒でも1000万円出すって言って、学生はめっちゃ盛り上がったんですよ。そのなかで内定勝ち取った人達って、東大の起業サークルとか、超すごい人達ばっかりで。その後、みんな独立してるんですよ。で、なにが言いたいかっていうと、ひとりが独立すると、触発されてみんな起業するんですね。「あいつがいけたんなら俺もいけるっしょ」みたいな、起業の土壌がDeNAさんにはあったんです。そういう点で考えるとボルテージから起業したのは僕だけですね。


起業したいなら30人くらいのスタートアップに行くといい


ボルテージさんもベンチャーですよね。ベンチャーのなかでも起業家気質みたいなところがあるところとないところがあるんですね。

そうそう、そうです。起業風土があるところの方が始めやすいですね。知識やネットワークという点で。DeNAさんだと、DeNA出身の起業家のコミュニティみたいなのがあるんですね。起業してもそこから仕事もらえるっているのもあって、始めやすい土壌があるんだと思います。あとは仲間集めですね。そういう環境だと先輩が起業して誘われたりみたいのもあるんです。起業したい人にはメリットです。なので、ベンチャー、大手にしても起業家気質の組織がいいですよ。
でもほんとに起業したいなら30人くらいのスタートアップ行った方がいい。でも適当に選ぶんじゃなくて、しっかり考えなくちゃだめですよ。イケてるか、どうか。


起業当初苦労した組織の問題


イケてるっていうは、、、(笑)??

難しいんですけどね(笑)大人に聞くといいです。社会人のセカンドオピニオンをたくさん取り入れるといいです。「あの会社どうですか?」って。みんなが評価しているところは成長していくので。
でも中入ったらわかるんですけど、だいたいぐっちゃぐちゃなんですよ。誰も教えてくれないし、自分で頑張るしかないし、問題勃発しまくってるし。やべえじゃん組織として、会社ってこんなだったっけってなると思うんですよ。でも自分が起業したら起きるだろうことなので、事前にそういう状況に準備できるようになるんですよ。僕は最初それがなかったので起業したときは苦労しました。

ファーストキャリアでスタートアップのようなカオスな状況を経験しておかないと、後から起業したとききついんですかね。

いや、そんなこともないですよ。僕は起業準備期間が2年間あったので、そこで調整しました。

どうやって調整されたんですか?

ボルテージで働きながら、平日の夜とか、土日は起業の準備しながら、起業されてる方と会社経営で起こる課題などお伺いしていました。
もちろんボルテージを否定する訳ではないですよ(笑)学んだこともすごくたくさんありますし。


Webマーケターは0から1を創るクリエイティブが苦手


ボルテージさんではどんなことを学ばれたんですか。

0から1を生み出す資料を作るスキルがつきましたね。新卒から資料をたくさん作らされたので。一般的に営業は資料作成をあまりしない職種ではあるので、そこはボルテージだから身に着けたスキルですね。
あと、ディレクターをやっていたので、開発、デザイン、マーケティング、全部見てたんですよ。ゲームなので、クリエイティブの色が強いんです。なのでクリエイティブに常に触れていたことで、デザインを見るセンスが磨かれました。バナー広告、キャッチコピーなどの良い悪いの判断がつくようになりましたね。Web系のマーケッターって0から1を作り出すのが苦手なんですよ。今はマーケティングに対する効果が数字として取れるので、webマーケターは前に上手くいったやり方の組み合わせで広告出したりとか、A-Bテストっていう2つの広告を出してどっちが良いか比べるのを無限にやって、結果一番良い広告を選ぶっていう方法でマーケティングしているんですね。なのでボトムアップのマーケティングしかできないんですが、電通さんなどのがっつりクリエイティブしている人たちは、前例がないので、データがない0の状態からクリエイティブを作り出すことができるんです。ソフトバンクさんの犬のCMなんかは最たる例ですね。しかし、Web系だと今までないような発想ができなかったりするんです。でも僕の場合はITに居ながらクリエイティブ色が強いゲーム業界にいたので、0から1のクリエイティブを作る感覚は磨けました。
あとソーシャルゲームってすごいたくさん数字をとるんですよ。ユーザーが何人いて、そのうち何人が課金して、みたいな。KPIっていうんですが。毎日毎日ものすごい量の数字を見ていくうちに、数字を見る感覚は付きました。ビジネスモデルを見てKPIがパッと思い浮かぶみたいな感じです。数字に強くなるのは経営するうえでとても大事なスキルだと思います。
なので、僕は起業しやすい環境とかコネクション、起業における超具体的な知見、例えばメディアの作り方とかはファーストキャリアで学べなかったのですが、基礎スキルは学べましたね。


スキルがビジネスに直結しないと起業は遠回り


でもDeNAさんがよかったなあ(笑)
あ、あと、セプテーニさんとか、サイバーエージェントさんとか広告の運用系の会社あるじゃないですか。あれって、すごく起業しやすいんですよ。やってる仕事と同じことで起業ができるからです。そこで学んだことをそのままビジネスに活かせるっていう。僕と真逆なんです。ボルテージで学んだことでそのまま起業ってできなかった。ゲームって一人では作れないし、ゲーム作るのはやっぱりめちゃくちゃお金がかかるし。ゲームで起業っていうのは良くないですね。そういうことを考えると広告運用系はひとりでできるので始めやすいです。それは広告運用に限らず、人材エージェントとかもそうです。起業を考えている学生は、身に着くスキルが直接独立につながるかを考えるといいんじゃないでしょうか。僕はやってきたことで起業することができなかったからこそ、外部資本を入れたっていうのもあります。自分でできれば、外部資本を入れずに始められますからね。最初から仕事ももらえるし。

漠然と起業したい。起業が目的みたいな学生も結構いますけど、そういう人にはそういう選択肢で企業選びするのは良いっていうことですね。

そうそう。すごくやりやすいと思います。


独立しやすいスキルには〇〇がある


昨日ごはん食べた人が30歳くらいの女性の方で、3社で採用人事をされてきた方で、最近フリーランスになったんですよ。それで、フリーランスになったら仕事がめちゃくちゃあるので、給料が3倍くらいになったんですね。年収1500万円くらいあるんですよ。

めちゃくちゃありますね。

そうそう。で、家で仕事をしているからほとんどストレスフリー。フリーランスなので、起業とはまた別なんですけど。なんで彼女がそうなれたかっていうと、ずっと採用の経験を積んできて、そのスキルってどの企業でも同じことやるから、すごく汎用性があるんですよ。やってきたことでそのまま起業できるスキルっていうのは、僕はファーストキャリアで身に着けておきたかったですね。それは別に大手でなくてもいいと思うんですよ。

採用でフリーランスになるというのは学生にはあまり思い浮かばないキャリアアップではありますね。

そうですね。採用とかは仕事ありますよ。例えば中途の採用で、ビズリーチさんとかWantedlyさんとか、起業側が候補者にめっちゃメール送るんですね。そういうところをやったりとか。あとは社内ミートアップみたいな、採用目的のイベントの企画運営とかの仕事はありますね。
それで、ここが重要なんですが、彼女の場合は3社経験していて、その間にしっかり人脈を作っていたんです。だから「独立しました」って言った瞬間に4,5社から仕事をもらえたんですね。独立してまだ8か月ですけど、そうやって仕事をもらえているんです。


フリーランスはつまらない


フリーランスはコンスタントに稼げるんですか?

いや、リスクはありますよ。結局、つまんないんですよ。フリーランスってつまんない。

え、そうなんですね。

新しいことやりたくなっちゃうんです。結局、会社がやっていることを切り出してフリーランスにお願いしているんです。だから、別に新しいことをやるわけじゃないんですよ、フリーランスって。だから稼げるんですけど、ひたすらスカウトメッセージを送るのとかってつまらないんですよ。

フリーランスになるとスキルが頭打ちにあうっていうのも聞くんですが、そういうことなんでしょうか。

いや、フリーランスの仕事ってお金になるつまらない仕事と自分のスキルになるけどお金にならない仕事があるんで、自分で組み合わせて両方受けたりとかするんです。それがパラレルキャリアとか、キャリア設計につながってくるんですけど。そういう風にやっていかないとお金はもらえるけどつまらない、みたいなことは多々ありますね。
あと、僕の友人でフリーランスのデザイナーになってめちゃくちゃ稼いでいる人がいたんですけど、会社にした瞬間にお金はなくなりますね。採用とかもろもろ大変になるし。でもそっちの方がやりがいがあって楽しいとはいってますね。

フリーランスと起業というのは全く別物なんですね。

微妙に違いますね。フリーランスから起業というものにつながることはありますけど。やっぱり違いますね。全然違う。


キャリア設計で考えないといけないこと


ありがとうございます。少し話が変わるんですが、未来の働き方はどのようになっていくのでしょうか。

これまでの終身雇用が当たり前じゃなくなってきて、ひとつの組織に属しているっている常識が変わってくると思いますし、そのような社会のために僕たちも事業をやっています。そうなったときになにが起きるかというと、個人を評価する軸がどの会社に属しているかではなく、どのようなスキルをもっているかに移ってきます。まだまだ就活生を見ていると、「あの会社に就職した先輩超かっこいい」みたいなのがあると思うんですけど、その世界観が徐々に変わってくると思いますね。僕が就活していたときより今の方が変わっているけど、でもまだまだそういう価値観は残っていますよね。それよりも、さっき言ったように30歳で1500万円稼げるくらいのスキルを持っているっていう方が重要。そんな大したことではないんですよ。でもそういう状態であるっていう方が評価されてきます。どの会社に属しているかではなく、どんな能力を有しているかっていう方が評価されていくようなりますね。総合商社のサラリーマンよりも優秀なエンジニアの方がモテるみたいな(笑)

究極っすねそれは(笑)

「住友商事さんと合コンよ」よりも「今日優秀なエンジニアと合コンよ」みたいな。で女子たちも「そっちの方がいいー」みたいな(笑)

それ目指したいっすね。今まで学校でオタクと呼ばれて肩身の狭い思いをしてきた人たちの下克上見たいな(笑)


副業で成功するひとの共通点 「〇〇ができてる」


副業っていうとめちゃくちゃスキルが高いと感じて距離を置いてしまう人がいるのも事実ですよね。

そうですね、まさしくそうで、スキルがないと副業は難しいというのが現状ではありますね。副業がしたいというだけではできないんです。活躍している人っていうのは自分のスキルをちゃんとわかって言語化できています。エンジニアが副業向いているのはそれが分かりやすいからなんですよ。「この技術が使えます。この言語できます。」っていうのが分かるんです。一方、総合商社のサラリーマンに「あなたのスキルは?」って聞いても言語化できない人は多いですね。別に商社嫌いじゃないですよ(笑)でも副業したいって言っても、言語化できていないとそれにあう仕事も紹介できないんですよ。なので、スキルあるっていうのをもっとちゃんと考えて欲しくて。スーパー活躍してるメーカーの社員でも副業できないかもしれませんし、逆に数年やったエンジニアの方が副業できるっていうこともあります。どういうスキルがあるからこういう副業ができるって言語化できるという意味での優秀さは必要ですね。

今やっている仕事、スキルを言語化するように働くっていう意識を持つだけでもだいぶ変わってきますよね。

そうですね。そこが最初の話ですが、セプテーニさんやサイバーエージェントさんとかに行くと、身に着けたスキルが言語化できるようなキャリア作りができるので、そのまま起業するなり、副業するなりっていう選択肢ができるんです。
就活生もあの会社に行ったらあの能力が身に付くからいいよね、みたいな風になってくると思います。

最後に、「やりたいことないんだよな」とか、就活の軸で迷っている就活生にメッセージお願いします。

ざっくり起業したいなと思っているならベンチャーに飛び込むのもありだし、スキルが言語化できる職種の会社に飛び込むっていうのもありだと思います。ベンチャーに飛び込む理由はさっき言ったように、周りが起業しやすい環境で横のつながりができるということ、起業したら直面するだろう課題を事前に経験できる、言語化できるスキルが身に付くっていうところですね。こういうものが学べるのであれば無名のところでも問題ないとおもいますね。ベンチャーにもあたりはずれがあるので、色んな人のセカンドオピニオンを大事にしながら選んだ方がいいです。最初の会社はやっぱり大事なので。

起業がしたいわけではない学生に対してですが、今後、属している会社ではなく身に着けているスキルで評価される時代がくるので、そうした時代に転職できるようなスキルを身に着けれるように会社選びをしたらいいんじゃないですかね。一生ひとつの会社にいるというのはほぼないので。で、新卒で大手に入るのは難しいんですが、中途で入るのは結構ラクなんですよ。じゃあどうやったら中途でラクに入れるかっていうと、一社目でどれだけスキルを積めるかってなってくるわけです。なので、大きい会社に入らないといけないっていう価値観に縛られなくてもいいと思います。
ただ、東京の会社にいた方がいいですね。転職や起業もそうですけど、なにかやるってなったら人、情報など、チャンスがあるのは地方よりも東京です。

松村さん、お時間ありがとうございました。

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