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白っぽい視野の中に
草の生えた道があり
知らない樹木が立っていた

母は和服を着て
道にひとり佇んでいる
すると向こうから
何年も前に死んだ父が歩いて来た
 
ぱりっとした背広を着た
青年の頃の父だった
母は懐かしそうに父に近づくと
ふたことみこと話しかけた
 
父はたいそう照れながら
何か言葉を返している
父の背広の袖に触れるたびに
母は若くなってゆく
 
やがて父は母の手を取り
後ろ姿の若い二人は
まだ私の生まれていない
夢の奥へ消えて行った
 
葬儀を終えて二日目の朝
やわらかな窓越しの光で目覚めた
明日は仕事に戻る
 
 
 




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