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兎がほざく

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ショート•エッセイ、140字以内。毎日投稿、どこまで続く?
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2024年1月の記事一覧

兎がほざく1033

兎がほざく1033

ぼくはダイヤモンドをしげしげ見たことがありません。

発光しない透明無色の石。

金色夜叉のお宮の眼が眩むような魔力とは?

無声映画の弁士風に。

なんと、冷たくも硬き金剛石は、熱き愛の言葉にも増して雄弁に、永遠の幻をもって彼女のか弱き心を打ち砕いたのでありました。

兎がほざく1032

兎がほざく1032

文芸のあるジャンルでは韻や字数が定まっているように、またあるジャンルでは読んでもらうにふさわしい装幀が求められます。

何らかの形式は読者に伝えるための有力な装置です。

起源が歌や芝居だからでしょう。

このシリーズ、タイトルがかろうじて一片の衣装なのです。

兎がほざく1031

兎がほざく1031

俳優長谷川一夫のお墓が家から歩いて行けるところにあるのを知って出掛けました。

ほかの墓石と変わらない質素な佇まいが「ミーハー族」の語源になった二枚目にかえって似合います。

甘党だったとか。
バラ売りの最中を三つ買って供えました。

ちなみにミーとはみつ豆なんだって。

兎がほざく1030

兎がほざく1030

牛車。
そう、ぎっしゃの話です。

一度でいいから乗ってみたいです。

できればフォーマルな束帯でなくてカジュアルな狩衣で。

琵琶を手に。

しかも夜分に深草あたり、恋歌を一首考えながら。

ベアリングがないので相当揺れるらしいです。
車酔いのあくびは扇で隠して。

兎がほざく1029

兎がほざく1029

投稿を読むけれど自分からの発信を控える人は理由があるのです。

本を家に持ち込めない。
イベントに行けない。
お店に行けない。
音楽が聞けない。

からだやお金や家のいろんな事情。

だからいつも話題の聞き役なのです。

ぼくにも事情があるのでわかります。

兎がほざく1028

兎がほざく1028

半分の人。

ぼくは自分の半分をSNSでは隠しているから半人前です。

半人前なりに精一杯できることをしています。

そしてもう半分の方がいいよというところまでは書いています。

そう思っているのは自分だけで、みなさんにはもう半分だってよく見えているのかもしれません。

兎がほざく1027

兎がほざく1027

声の主の魅力は音楽とは切り離せないでしょう。

同じように文芸では筆者の魅力がオーラになると思います。

知名度は魅力の衣裳であっても魅力のすべてではありません。

たとえ著者名が伏せられていてもただよって来るような魅力です。

それなら魅力とは個性の別名です、きっと。

兎がほざく1026

兎がほざく1026

信じられるのはお金だけだという人は、信じられるものがあるだけまだよいのです。

ぼくはその人のお友だちにはなれそうにないけれど。

信じられるものがない人はつらいだろうと思います。

信じられるものを発明してでも生きる希望を見出せばいいなと、おせっかいながら思います。

時が好き 【詩】

時が好き 【詩】

ぼくは時が好きです

戻らなくてよいから
進めなくても進むから
誰だって逆らえないから
時が好きなのです

時はぼくにも流れているのです
もちろんあなたにも

つぎの春だって
もうすぐなのです

兎がほざく1025

兎がほざく1025

モーツァルトのK545は自分には苦しい時期の思い出とセットです。

今日も街のBGMで耳にしました。

「だったらぼくの曲、きらいになった?」

モーツァルトに訊かれた気がしました。

......ううん

「ああ、よかった!」

......苦しかったからその分さらにきれいだったんだよ!

兎がほざく1024

兎がほざく1024

言葉は呼吸のようなもので、消えてゆくのがふつうのことです。

文芸とはふしをつけた呼吸です。

独言に終わったり、何百万の人に読まれたり。

でも呼吸した本人からは消えていったのです。

呼吸ですからラクがいいのです。
そのうえで楽しければふしをつければいいのです。

兎がほざく1023

兎がほざく1023

住宅地を歩いていて細い道の信号に気づかず車にクラクションを鳴らされて、ショックを受けて帰りました。

クラクションは今まで何度も何度もあったことなのに。

これだけはわかりました。

いつも万一の覚悟があるつもりでしたが、こわいものはこわかったのです。

兎がほざく1022

兎がほざく1022

How do you do?

直訳すれば、あなたはどう振る舞うのか?ということでしょう。

どう振る舞う人物なのか興味がある、という表明。

相手をone of themでなく、人格であるyouとして扱うという宣言でもあります。

初めての相手への目線が日本語と違うなと思いました。

兎がほざく1021

兎がほざく1021

スポーツではいったん勝負が決まったあとはお互い次の試合で競い合う平等な関係に戻ります。

つまり試合ごとにリセットです。

自己責任に徹するのがフェア、そのうえで多少のハンディ。

スポーツと違って世の中ではリセットに必ずしもならないです。

だからハンディはもっとだいじです。。