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つながり活動 〜街のガードマンとつながる〜

今日も挨拶回りを中心に仕事を進める1日。

車でいくつかの事業所を回る。

今の会社で働いて10年程になるので、

働く街の裏道などは、方向音痴の私でも十分に理解できる程になっている。

今日も裏道を通って、効率よく他事業所を回る。

ある裏道を通っている時、

遠目に制服を着たガードマンが1人で交通整理をしている姿が見えた。

割とガードマンの方は、高齢に見える。

裏道で細い道路のため、私は車のスピードを落としてゆっくり近づく。

すると高齢ガードマンは、私が運転する車に気付き、

私に「 止まれ 」の指示をジェスチャーで伝えてこれらる。

もちろん止まる。

そのまま、次の指示を待つ。

次の指示を待つ。


指示を待つ。


待つ。


・・・・・・・。


「 んっ? 」。


待っている間、違う考え事をしていたのもあって、

何のストレスもなく、しばらく待っていたのだが、

一向に指示がなく車を停めている時間が、

どんどん過ぎていく。


さすがに、徐々に違和感を感じてきた。

周りを見渡す。

特に歩行者は近くにおらず、見える歩行者は、

小さい姿でしか確認できず、間違いなく遠くを歩いている。


「 んっ? 」。


もう一度、周りを見渡す。

落ち着いて見てみると、

特に工事現場らしきゾーンも見当たらない。

小学校の地域の見守り隊のような旗も、特にお持ちではない。

でも、ガッツリ、上下のガードマン服を着ている。


「 んっ ? 」。


よくわからなくなってきた。


「 自分が気づいていない、何か危険なゾーンがあるのか? 」


もう少し待つことにした。

高齢ガードマンは、時々私の顔を見て、

「 すいませんね〜 」みたいな感じで、会釈をしてくれる。

私も高齢ガードマンから送られた会釈を受け止め、

会釈をお返しする。

もう一度待つ。


・・・・・・・・。


「 んっ? 」。


待つのは嫌いではない。

ただ、何で待っているのかは知りたい。


私はある行動に出た。

車の窓を開けて、

「 すいません、まだ通れないですかね〜? 」

と、高齢ガードマンに質問をしてみた。

すると、

高齢ガードマンが答えた。


「 あっ、どうぞ〜!! 」


・・・・・・・・・。


「 んっ ? 」。


「 いっ、行っていいんか〜いっ 」。


心の中でツッコんだが、

とにかく、

このチャンスを逃すといけないと思い、

思いきって車を走らせることにした。



次の事業所に着くまでの間、

さっきのガードマンについての出来事を考えずにはいられなかった。


「 あの高齢ガードマンは、一体何をガードしていたのだろうか? 」。



少しして、

ちょっと自分なりにある想像が浮かんでいた。

私が勝手に、

少し汚れが付いた雰囲気のあるガードマンの服を着ている人を見て、

私が勝手にガードマンの仕事をしている人だと思い込んでいただけで、

もしかしたら、

あれは本物のガードマンではないのではないかと。


まずこの出来事をおかしく思い、

車内で1人、大きな声で笑ってしまった。


でも、すぐに別のことを考えた。

あの高齢ガードマン(ここまできたら、そう呼ぼう)は、

理由はわからないが、

自分の思いがあって、

自前のガードマン服を着て、

交通整理をかって出てくれているのではないかと。

介護の仕事をしている私は、

すぐに病名などが頭をよぎってしまうのだが、

そんなことはどうでもいい。

あの高齢ガードマンは、

街を守ること、あのゾーンを守ることを、

自分の役割としておられるのではないだろうか。

もちろん、

意味もなく車を永遠に止められてしまうと困るのだが、

その部分だけ、何かうまい工夫があれば、

あの高齢ガードマンは自分の役割を全うでき、

街の通行人の安全を守ることに協力でき、

もしかしたら生き甲斐にもなる(なっている)のではないか。

道端に立っておられるので、

それなりに通行人と挨拶を交わすこともあるだろう。


あの、高齢ガードマンを見て、

私はインスパイアされ、

街の高齢者のことについて考えた。

「 だったら、公道の雑草を自主的に抜いてくれる人や、

  ゴミ拾いをしてくれる人も十分に自分の役割として

  評価される機会があってもいいのではないか  」

「 道端で井戸端会議をしている高齢者の人達も、

  街中にベンチがたくさんあれば、そこで座って

  すれ違う人との会話や、相談を受けたりする

  役割ができるのではないか      」

「 もっと高齢者のために、街の色んな役割を

  作ることができるのではないか    」

「 高齢者の生き甲斐作りに協力できるので

  はないか 」

「 お金をかけなくても、生き甲斐を持てば、

  外へ出て、イキイキと健康に暮らせる

  可能性もあるのではないか  」

どんどん思いが膨らんできた。



結構な時間、待たされたと思うのだが、


そのおかげで、


色んな思いが浮かんできた。


あの高齢ガートマンはもしかして、


日々貴重な時間を、私が車内でボーッと過ごして

しまうことを、ガードしてくれたのかもしれない。


こうなると、


あの高齢ガードマンには、


感謝の気持ちしか残らない。


私にとって、有難い存在になった。


「 街のガードマンとつながる 」。

高齢ガードマンさん。

車で過ぎ去っただけの私に、

笑いと刺激を与えてくれて、

本当にありがとう。


また、お会いした時は、

今度はこちらから会釈をしますね。







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