マガジンのカバー画像

帰ってきた夕刊UNI

199
夕刊UNI~有料note~に続く第二弾! 追記型有料エッセイマガジンです。表紙は、めめんともりさん作。
¥500
運営しているクリエイター

2015年4月の記事一覧

何をしても…。

『ただいま…。』 消え入りそうな声で帰宅したドカ弁。 なんかやらかしたな。 15年も毎日接していると帰宅した挨拶の第一声でピンとくるのだ。 『おかえりー。』 何かあれば黙ってることなど出来ないタチなのは百も承知なので、言い出すまでは何も聞かない。 このパターンの時に聞かされる話は、かなりの衝撃を受けることが経験から分かりすぎてしまうからなのである。 『ウチもうあかん…。』 そう言って一枚のプリントを差し出すドカ弁。 高校に入学してすぐに行われた課題テストの結

¥200

空白に書くということ。

本日は久方ぶりに楷書で漢詩などを書いた。 書道は半紙に筆を使って墨で書くのが一般的である。 下書きすることも消しゴムで消すことも出来ない一発勝負。 上手くいかない時は書き損じた半紙が山になる。 墨を含ませた筆をその空白に乗せる瞬間までに全体の仕上がりを予測し、イメージできなければ書は書けない。 今日書いた漢詩は長い詩で、四行に収めることをイメージして書いた。 上下左右を揃えつつ、中心の軸が直線にならなければ楷書の文字は美しく見えないのである。 半紙にはマス目がな

¥200

太った?

今日久々に会った人とかなり長い間立ち話した。 実を言うとあまり得意な人ではない。 しかしそこは大人。 声を掛けられればきちんと対応する柔軟性だけは失ってはいけないのだ。 久しぶり!と声をかけられ、振り返るとその人は満面の笑みである。 あれ?この人ちょっと太ったかな〜と感じたが黙っていた。 最近自分も太ったことを自覚していて、何とかせなあかんわ!ということで、野菜中心の食事にしなけりゃなと地元野菜のお店にやって来ていたわけなのだ。 その人のお子さんは二人とも大変優

¥200

重箱。

重箱にお弁当を入れるのが好きだ。 子どもの頃、母が作った重箱のお弁当を食べるのが大好きだった。 祖母や伯母も元気で、皆が花見や運動会に参加し、何度も一緒に食べた。 実家の重箱弁当は担当が決まっていて、ふんわり柔らかいだし巻きは伯母のせっちゃんが担当、美しい俵型のおむすびを握るのは伯母のさっちゃん。 祖母は煮しめを担当し、母は唐揚げや海老フライを揚げるのが決まりだった。 現在、重箱弁当を作るとき、こういったお手伝いをしてくれる人はいないので、全て自分一人でやるのである

¥200

優先順位。

『明日のお弁当何入れようかな〜。』 一日一回は脳の一部分がこの事を考えることに使われている気がする。 買い物する時から夕飯のメニューを考えつつ、お弁当にも使えるものを同時に頭の中でイメージしているのである。 あれ?いつの間に私はこんなにもオカンになったんだろうとふと思う時がある。 若い頃、自分の頭を占めていたことと言えば、今日の夜はどこに行こうか、誰と遊ぼうか、服は何を着ようか、靴はどれを履こうかといったことばかり。 とにかく遊びとお洒落と男の子のことしか考えること

¥200

簡単にできること。

簡単にできることってなんだろう。 簡単にできることってあまりないように思うが、自分が好きなこと、得意なことなら比較的スムーズにできることはありそうだ。 私の場合はそれが本業の仕事になった。 『芸は身を助ける』 などと昔の人は言うが、当てはまるようで当てはまらないような。 『一芸に秀でる』 という言葉もあるが、この一芸をどうやって自分のものにするか? 人より少しだけ多く、神様からその一芸に対する才能みたいなものを産まれながら与えて頂いていることもあるかもしれない。

¥200

さつま。

本日は鹿児島県人会の集まりである、関西鹿児島ファンデーに行ってきた。 大阪の京セラドームはものすごい人だかりで、あまりの熱気に圧倒された。 さつまの旨いもんが大集合!とばかりに至る所食べ物の屋台だらけである。 ドームの中にはレジャーシートを敷いて、さつま揚げなんかをつまみに焼酎を飲んでいるおじいちゃんがいっぱい。 赤い法被を着た世話役の方々は、皆さんむちゃくちゃ声がデカい。 『わんーは』 『おいはー』 『じゃっどんっ‼︎』 何が何やらであるが、お国訛りを前面に出し

¥200

サポートする。

このたびドカ弁が水泳部のマネージャーになった。 小、中学生と通算6年、ひたすらバスケットボールを追いかけたドカ弁。 中学生の部活では様々なトラブルがあり、バスケ道に悔いなしとは言えないまま、高校生になったらどうしようかと悶々としていたようであるが、新しくクラスメートになった水泳部の男の子2人から、 『水泳部のマネージャーになってもらえないか?』 と誘われていたそうだ。 ドカ弁は運動神経はいいが、水泳だけは本当にダメなのだ。カナヅチに近い。 『ウチ泳げへんねん。水泳は無

¥200

落とし穴。

JKになって約10日目。 新しい友達もたくさん出来たドカ弁。 クラスの子とのコミュニケーションを図るためLINEにも参加しているようだ。 LINEのトップページに自己紹介を入れている子もいるようで、趣味の合う感じの子たちと親しくなっていくスピードは早い。 そんな矢先、ドカ弁がぼやきだした。 『ないわー!なんやこの子!』 『どうしたん?』 ないわー!の理由を尋ねてみた。 『この子のこれ見て!』 差し出すiPhoneの画面を見てみると、ズラズラと自分の好き、嫌い

¥200

コンクリートのくつあと。

小学2年生の頃、『コンクリートのくつあと』という詩を授業で習い、詩を朗読したことがある。 なぜそんな大昔のことを覚えているかというと、若くて可愛い担任の先生に手放しで褒めてもらった思い出があるからである。 『unimamちゃん、すごい上手!感情が込められてて素晴らしいよ!』 先生はそう言って拍手してくれ、クラスのみんなも拍手してくれたのだ。 しかし、この嬉しい記憶に一点のシミのような横やりを入れてきた奴がいた。 Sくんは頭の良い生意気な奴で、授業中いつもニヤニヤしな

¥200

引いたとしても。

2年に渡りPTA副会長なるものをやっていた。 仲間にも恵まれ、ストレスを溜めることもなく、来月の総会でいよいよ引退を迎える。 そして本日、新年度の役員決めのクジ引きに立ち会ったのである。 役員は平等にクジで決めることになっている。 各クラスの様子を見ながら廊下で待機し、何かトラブルがあれば走っていくのが副会長の仕事なのである。 そろそろ終わりかなと思い始めた午後4時半。顔色が悪い先生が小走りにやって来た。 『unimamさん!大変です!免除申請した保護者の方が免除

¥200

嵐を呼ぶ女。

旅行やイベントには来ないで欲しい人。 雨女レベルではない。 嵐を呼ぶ女と呼ばれる人間がいる。 我が妹である。 晴れ渡る空の下、海水浴に行こうじゃないか!などと張り切って出かける途中、いきなり雨雲が立ち込め、突風が吹いてくるのだから恐ろしい。 到着した頃には白波が立ち、海が荒れている。 とりあえずと海の家で買ったおでんや焼きそばをパラソルの下に置いた途端、食べ物は強風で吹っ飛び、拡声器を持った海の家のおっちゃんが大声で叫びだした。 『本日は遊泳禁止にします‼︎海に

¥200

コンピューターばあちゃん。

春休み最後の日。 ドカ弁とちゃっかりが夫の実家に遊びに行ってきた。 『親がいつまでも付いて来るなんて過保護過ぎる!ドカ弁とちゃっかりだけで遊びに来なさい。』 お義母さんからそう言われたスナフキンと私。 まあ、それならばと姉妹2人でおばあちゃんの家に遊びに向かったのである。 実を言えば、ドカ弁もちゃっかりもこのスナフキンママが非常に苦手なのだ。 『一言多い』人なのだ。 しかし、入学祝いを取りに来なさいと言われたからには自分で行かなければと重い腰を上げて2人して出か

¥200

能ある鷹は爪を隠す。

昨日は無事初登校を終えたドカ弁。 帰宅後、中学の頃お世話になったK爺に無事に高校入学したことを報告しに出かけていったのである。 このK爺とは元体育教師で自身も高校バスケで結果を残したという方で、そこを買われて我がチームに招いた方であった。 独りよがりなプレー、派手なだけのドライブを嫌い、皆が気持ちを一つにして縦に縦にとパスを繋ぐ速攻プレーを好むコーチであった。 「ドカ弁!おまえの持ち味は足や!とにかく一番先にゴール下に走れ!」 練習、試合中と体育館にはK爺の怒声が鳴

¥200