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帰ってきた夕刊UNI

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夕刊UNI~有料note~に続く第二弾! 追記型有料エッセイマガジンです。表紙は、めめんともりさん作。
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記事一覧

石の上にも。

noteでエッセイを書き始めて一年半以上が過ぎた。 「夕刊UNI」などとふざけたタイトルのマガジンを作ってみたところ、読んでくださる方々が現れた。 始めは投げ銭などをいただきながら値段をつけてノートを販売していたが、読者が増えたのを弾みに、有料マガジン「夕刊UNI」の販売を始めたのだった。 100ノート分で500円。 一記事5円の計算である。 「素人のくせに!」という反感を買うことを承知で挑戦してみたが、自分の予想を裏切り、マガジンを購入してくださる方、応援という形で

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何でもできるようになるということは。

年末は大掃除やお正月の準備をする。 結婚して18回目のお正月を目前に控えてふと感じたことがある。 いつもどおりにする、できるということは平穏無事であるということなのだということをありがたく思うようになったのは昨年末辺りからである。 考えてみればドカ弁は16歳、ちゃっかりも12歳になり、わが家には手のかかる子どもがいつの間にかいなくなっている。 お酒と正月花を買いにスナフキンと2人で出かけたのであるが、車の中でしみじみそんな話をしたのも初めてのことであった。 子どもた

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FaceTime。

ちゃっかりがFaceTimeにハマっている。 私のiPadを使って、転校してしまった仲良しのお友達と毎日長話をしているのである。 ブツブツ話す声が部屋から聞こえてくるので部屋に入ってみると、今見ているテレビの内容について話して盛り上がっていたりするのだ。 ひと昔前は、電話は顔の見えない相手と話す機械であった。 お尻を掻いて寝っ転がって話していても相手にはその様子はわからなかった。 FaceTimeは相手の顔を見ながら話すからそういうわけにもいかないのだろうが、遠く離

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冬の楽しみ。

冬はお鍋の季節。白菜は甘いし、牡蠣も旨い。牡蠣だけでいいくらいなのに、ちゃっかりは牡蠣が苦手でしゃぶしゃぶを要求するので、牡蠣としゃぶしゃぶのハーフ&ハーフ鍋である。 牡蠣といえば、思いだす人がいる。 以前働いていた職場のY部長である。 「uniくん、今日ご飯食べに行かへんか。Kさんも一緒にどうや。」 「いいですよ。何食べさせてくれるんですか?」 「あのな、新鮮な魚介類が旨い店があるんや。ほんでそこのマスターがな、マッチに似た男前なんや!」 新鮮な魚介類は嬉しいが

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優しさの連鎖。

終業式はクリスマスイブだった。 冬休み前にもれなく届くのはサンタからではなく、ドカ弁、ちゃっかりの学校からの通知表である。 ドカ弁は高校生なので、事務的な成績通知票のみで先生からの所見などはないが、ちゃっかりの通知表には、きめ細やかな所見が書かれていた。 ペアの一年生と話をするときに、腰を下ろしてその子の目線に合わせてあげるなど優しい一面が見られました。漢字テストでは、たくさんの満点を取ることができました。 そうなのか。ちゃっかりも6年生として小さな1年生に対してその

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C調男子とサスペンスおたく。

私の父はお調子者である。 軽い、テキトー、愛想良しであるから、やたらと人付き合いが広い。お洒落好きなので見た目からは60代に見られるが、現実は70代後半の後期高齢者である。 フットワークがやたら軽く、自転車で一駅先まで軽々と出掛けていく。 そうはいってもやはり耳は遠くなってきているし、目も悪いから遠出は心配だと母がこぼす。 私からも父に近場で遊ぶよう言ってもらえないかと頼まれたのだ。 「お父さん、あんまり遠くに出かけるの寒い季節やし心臓にもよくないんちゃう?近場で遊んだ

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雅印をいただく。

昨日の稽古のとき、師匠が私の所にやってきて言った。 「お年玉や。使いや。」 ゴトンという音を響かせて机に置かれた封筒を開けてみると。 師匠自らが篆刻した味わい深い雅印が2つ入っていた。 1㌢足らずの正方形の小さな雅印はかな文字用に、2㌢くらいの正方形の雅印は半紙、条幅用に使うものである。 私が使っている雅印は職人さんが機械彫りしたものであったが、縁取りが真っ直ぐ綺麗に揃った印である。 それを見た師匠が 「味がないなぁ。ワシが時間ある時に預かって縁を削って壊したるわ

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ちゃっかりの奇跡。

「ただいまー‼︎」 「おかえり〜!」 ちゃっかりが帰宅した。今日はまた勢いがいいなぁ。 ただいまの声はその日の気分を全て物語るから面白い。 ご機嫌さんなただいま。 不機嫌さんなただいま。 落ち込んでただいま。 涙でただいま。 ただいまの種類は多種多様である。 今日のただいまは絶好調なただいま。 ドカ弁はわりとそんなことがあるが、ちゃっかりにしては珍しい。 「どうしたん?今日は元気いいなぁ!」 「ママ、あのね、奇跡がおきたの‼︎」 「奇跡?また大層やね

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子どもの頃は。

クリスマスやお正月を前に世間は賑わいを見せているが、大人になった自分には心踊る季節ではない。 サンタを待つ身でもなく、母が作ってくれるご馳走を食べて呑んだくれて寝ていればいい正月を過ごせるわけでもない。 私が住む町も高齢者が増え、かつて子どもたちと走り回っていたおじさんやおばさんたちも歳をとり、小さなおじいちゃん、おばあちゃんになった姿をよく見かける。 人間の一生を想うなんていうとちょっと大袈裟だけれど、冬の寒い夕暮れにはちょっとセンチメンタルな気分になる。 人は生ま

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「オモロないな。」

先日の稽古でかな文字を書いた。 師匠のもとに持っていき、添削をお願いした時のこと。差し出したかな文字を見た瞬間、師匠が言ったのだ。 「オモロないな。」 グサッとくる一撃である。 かな文字はゆらゆら柔らかく、漢字は大きく、ひらがなは小さく書くのが基本であるが、それを忠実に守って書いたものでは面白くないと言われたわけである。 「かな文字はな、字なんかそんな綺麗じゃなくてええんや。字が潰れてもいいしな。一番大事なんは余白をどう取るかってことや。もっと遊ばんかい!」 必殺

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やつしのやせ我慢。

「めっちゃ寒い!uniさん、背中に貼るカイロ貼って!あと今日体育館で集会あるからさぁ、足用カイロあったっけ?」 朝から防寒準備に余念のない長女ドカ弁。ババシャツを愛するJKである。 カイロカイロ!と言いながら髪の毛は静電気で逆立っているが気にしていない。 対してわが家のJSちゃっかりは「やつし」である。 「やつし」とは、洒落者のこと。 服の色の組み合わせやコーディネートに異様にこだわる毎日である。 今朝はこの冬1番の冷え込みと言われているだけあり、吐く息が白くなるほ

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カナダのお得意さま。

クリスマスシーズンにはカスタムオーダーのご依頼が多く、バタバタしているが大変有り難いことである。 お客様の中で特にクリスマスだからというわけでもなく、コンスタントにご依頼していただく方がいる。 その方はカナダ人のカメラマンである。 感謝するのはこちらの方なのに、作品を納品した後、必ず「素晴らしいね。今回も素敵な作品をありがとう!」といった内容のメッセージをくださるのだ。そしてあまり時をあけずに次のご依頼をしてくださるのだから本当に有り難い。 きっかけは彼女のご主人が通

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YESと言いかねます!

ちゃっかりの誕生日を明日に控え、今日はお刺身やらバースデーケーキの予約をしに行ってきたのだ。 鯛のお刺身は、通常ならば一尾で1500円くらいで尾頭付きの盛り付けにしてくれるのであるが、正月の睨み鯛用に冷凍確保しているのか、「尾頭付きはできませんし、値段は3000円を超えます。」と言われてしまった。 「倍以上の値段で尾頭なしですか?そしたら他の刺身を混ぜたものをお願いします。」 「ママ!鯛のお刺身高いねっ!」 「ほんま高いなぁ!」 ちゃっかりと驚きながら、ケーキの予約

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12月は忙しい。

12月になると何かとバタバタする。 毎年なんだか気ぜわしく落ちつかなくなるのは何故だろう。 大きな原因の一つは、次女ちゃっかりの誕生日があること。 「誕生日プレゼントは現金ではなく品物でお願い!」と毎年同じことを言ってくるのだ。 お正月になればお年玉を貰えるから、現金より欲しい物を買ってくださいというわけなのである。 サンタはパパだったことが判明した数年前からは、クリスマスに気を遣う必要がなくなっただけでもまだ助かった。 サンタを信じていた頃までは、12月生まれの子の

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