嵐を呼ぶ女。

旅行やイベントには来ないで欲しい人。

雨女レベルではない。

嵐を呼ぶ女と呼ばれる人間がいる。

我が妹である。

晴れ渡る空の下、海水浴に行こうじゃないか!などと張り切って出かける途中、いきなり雨雲が立ち込め、突風が吹いてくるのだから恐ろしい。

到着した頃には白波が立ち、海が荒れている。

とりあえずと海の家で買ったおでんや焼きそばをパラソルの下に置いた途端、食べ物は強風で吹っ飛び、拡声器を持った海の家のおっちゃんが大声で叫びだした。

『本日は遊泳禁止にします‼︎海には入らないで‼︎』

北海道、沖縄、グアム。

とにかく国内外問わず嵐を呼び寄せ、私たちは何度涙を飲んで旅を断念したことだろう。

彼女と一緒に車に乗り、彼女を家まで送り届け、その姿が見えなくなった途端、土砂降りの雨風がピタリと止み、眩しい光と虹まで見えた日には、本当に驚き、これは妹の体質なのか特殊能力なのかと悩んでしまった。

そんな妹家族が先日東京に旅行すると言いだした。

ディズニーランドに行き、スカイツリーを楽しみ、雷門も見てくるのだと絶好調である。

『お姉ちゃん!いよいよ来週からなんだけど、なんかまたお天気悪いみたいなんよな〜。』

わかったことやんか!
そう返事をしながらハッとした。

その初日は、私たち家族がUSJに遊びに行く日じゃないか‼︎

天気予報は雨となっていて、思わずため息が出てしまった。

しかし、妹家族は東京、私たち家族は大阪なのだから、今回は難を逃れることができるのではないかと祈った私。

結果、大阪は快晴で気持ち良く1日を過ごすことが出来たのである。

『やっぱヤツが居ないと大丈夫やったな!』

スナフキンと頷き合い、ホッと胸を撫で下ろしたのである。

3日後、電話が鳴り響いた。

『ちょっとお姉ちゃん‼︎USJえらい天気やったらしいやん!』

『そうや!めっちゃお天気良くて最高やったわ‼︎』

そう返事をする私に向かってこう言うのだ

『私らは最悪‼︎ディズニーランドは雨でパレード中止、予約済みのスカイツリーは強風でエレベーターがストップ、雷門は強風で凍死しそうやったわ!』

やっぱりな。

嵐を呼ぶ女は容赦無い生き物なのだ。

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