簡単にできること。
簡単にできることってなんだろう。
簡単にできることってあまりないように思うが、自分が好きなこと、得意なことなら比較的スムーズにできることはありそうだ。
私の場合はそれが本業の仕事になった。
『芸は身を助ける』
などと昔の人は言うが、当てはまるようで当てはまらないような。
『一芸に秀でる』
という言葉もあるが、この一芸をどうやって自分のものにするか?
人より少しだけ多く、神様からその一芸に対する才能みたいなものを産まれながら与えて頂いていることもあるかもしれない。
しかしそれを自分の仕事にし、人からお金を支払って貰えるまでになるには、何と言っても長い時間と努力みたいなものが必要なわけだ。
努力みたいなものと書いたのは、アーティストと言われる人たちは、人から見れば努力や苦労をしていると感じるかもしれないことをあまり気にせず、ひたすら自分の作品を書いたり描いたり撮ったり作ったりしているのだろうと思うからである。
だからといって
『得意でしょ?簡単でしょ?ちゃちゃっと書いてよ!』
などと言われたりするのはちょっと違う気がする。
プロと言われる人たちは、神様から人より少しだけ多く一芸の才能を頂いたことにより、その一芸と生涯向き合っていくリスクも背負い込む。
現在の状況に至るまで、膨大な時間と費用をかけて、ついでにリスクも発生するわけなのだ。
その一芸で仕事していく中で、自分よりも優れた人はたくさんいる。
しかし、自分は自分、人は人なのだ。
お金を頂いて依頼してくださる方には、
『こうした方がより良くなりますよ。』という、相手に対して自分の中で培われた知識と腕と経験をもとに仕事をするわけで、それに対する報酬を頂くことが有難いし、だからこそ自分の作品や仕事に責任を持てるのではないかと思っている。
『簡単にちゃちゃっと書いてよ。』
そんなわけで、簡単にちゃちゃっと出来る仕事はないのである。
ちなみに。
書道家は墨と紙と筆があれば自分を表現出来るが、墨、紙、筆を作ってくださる職人さんがいなければ、その一芸をなす術もない。
職人さんが知識と腕と経験をもとに仕事してくださるおかげで私は書けるわけだから、道具や和紙を作る職人さんに対する報酬を支払うことは当たり前なのである。
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