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【飲食戦略を考える】Buy one Get one Free ! 1つ買うと、もう1つ無料のカラクリ

外食のキャンペーンで定番となってきたキャペーンがある。

「1つ買うと、もう1つ無料!」です。海外だと「Buy one Get one Free !」

どうしてこのようなキャンペーンが増えてきたのか、どのような戦略を考えて実施しているのか、簡単にまとめてみようと思います。

■海外で「Buy one Get one Free !」が実施されるワケ

2011/2012年の少し前のアドタイの記事ですが、このように書かれている。

プライス・プロテクションについて
なぜ、この様な売り方(「Buy one Get one Free!」)をするのか?まずは、米国の流通小売業で働く人たち(バイヤーや売場スタッフ)に実際に聞いてみました。ひとつの理由は、商品を値下げして販売しようとすると、それ以前にその商品を値下げ前の値段で購入していたお客さんに損害を与えてしまうことから、値引きの変わりに「同じ商品をそのまま提供する」ことで、お客さんとの公平(フェア)な関係を保つと言うこと。いわゆる「プライス・プロテクション」と呼ばれるものです。
大量に仕入れる商品
もうひとつは、お店側が同じ商品の在庫を多く持ちたくないと言うことから。在庫管理に関するコスト削減です。ならば、販売促進の施策として購入の特典として買い物客に商品を提供しようとする考え方です。「ひとつ買ったら、もうひとつ持っていってい下さいね。」商品の大量仕入れが当たり前の米国の小売の事情があります。
割引額の計算
そして3つめは、買物をするお客さんやお店の店員さんには失礼ながら「割引の際の計算が得意ではないから」と言う理由から。確かに30%引きや40%引き等は計算が面倒です。

上記記事より、海外でのキャンペーンは上記の3つの要素があるため実施されていることが多いようだ。

■日本で、どんな外食大手がキャンペーンしてる?

「1枚買うと、もう1枚無料!」「1杯買うと、もう1杯無料!」「1個買うと、もう1個無料!」「1つ頼むともう1つ無料!」など、外食各社キャンペーンが行われている。

やはり、日本で1番初めに仕掛けた?印象があるのは、ドミノ・ピザ

最近キャンペーンがよく取り上げられている、丸亀製麺

来月11月5日〜8日がキャンペーン期間です。お得ですよ。
ニュースサイトでもよく取り上げられていますね。

マクドナルドでも2013年に近いキャンペーンを実施。無料券配布バージョン。

サブウェイ、ちょっと違いますが2個目100円バージョンで、似たキャンペーン実施。今週の11月1日(金)14時以降開催とリリースが。でも、期間がいつまでやるのかリリースに見当たらない不親切感・・・。広報頑張れ。

Uber eat も少し前までキャンペーンをやっていた。TVスポットもたくさん露出して、消費税増税・軽減税率のタイミングに合わせて大量投下していた。


■外食大手チェーンの戦略・狙いは?

「1つ買うと、もう1つ無料」は、消費者からすると「半額」「50%オフ」と同じじゃんと思うかもしれない。

わかりやすいし「半額キャンペーン」をやってよと思うかもしれない。

それは、実際に正しい感覚で、消費者側からすると、どちらもほぼ同じ!

だから、めちゃくちゃお得に変わりはありません!

でも、飲食店側からすると
「1つ買うと、もう1つ無料」と「半額」は、かなり数字が変わります。


皆さんも考えたことあるかもしれませんが、改めて簡単にみてみましょう。

店舗の細かいコストは考えず、客数、客単価、売上、原価、利益、のみで簡単な収支を見てみます。キャンペーンではどちらでも客数が2倍となる仮説条件として、1日の収支は下記のようになります。

【通常営業の場合】
客数:200名 / 売価:500円 
売上=100,000円
フード原価(仮30%/150円)=30,000円
利益(売上 - フード原価)=70,000円
A:【1つ買うと、もう1つ無料】
仮説条件:①客数が2倍となる  ②売価同じ、原価800個分
客数:400名 / 売価:500円
売上=200,000円
フード原価(仮30%/150円)=120,000円 
利益(売上 - フード原価)=80,000円
B:【半額キャンペーン】
仮説条件:①客数が2倍となる ②売価が半額、原価400個分
客数:400名 / 売価:250円(※半額のため)
売上=100,000円
フード原価(仮30%/150円)=60,000円
利益(売上 - フード原価)=40,000円

「A:【1つ買うと、もう1つ無料】」「B:【半額キャンペーン】」の飲食店側の違いがわかりますね。

通常営業の場合と比べて
A:売上2倍、利益UP  >  B:売上同じ、利益DOWN

お客様の感じるお得感はほぼ同じ!

もう、簡単にわかりますね。どちらのキャンペーンが飲食店側からしたら実施したいと思うのか。

お店はお客様にお得に食べてもらい、また来店してほしい、でも安売り競争ではなく、売上も利益も出さなくてはいけない。薄利多売のなか少しでも利益出そうと取り組む。大手企業であれば、食材原価を宣伝予算と考えると広告費に使うより、お客様満足度が上がるのでいい。

初めに話した通り、消費者側の印象でいうと、
どちらも同じくらいの「お得感のあるキャンペーン」となっています!

「1つ買うと、もう1つ無料」キャンペーンが増えてきたカラクリが、これでわかったと思います。



※  ただ! ※

このようなお得なキャンペーンを実施する裏側には、飲食店の様々なコスト削減の努力があるから、コスパ商品が提供できているんです。チェーン店も個人店も、喜んでもらうために日々努力しています。

お客側の我々もありがとう、ごちそうさま、と感謝しながら食べたいところです。それが、ファーストフードだったとしても。

皆様からのサポートは、新たな企画アイデアをアップデートし、新たな価値を提供する取り組みに活用させて頂きます。