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心がほんのり涙するとき (oto-no-mae 音の前)

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スタートラインに立てるまで、ちょっぴり涙した出来事を綴りたい。 ちゃんと傷つきたい、今に向き合っておきたい。 振り返ったときにそれらが糧になるように。自分の音になるように。
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#心がほんのり涙するとき

たからもの

たからもの

お気に入りの音楽をかけて街を歩く。

あたりはもうすっかり暗くて冷たい空気が手にしみる。

もう師走だからかな
ひとりでいると一年を思い出す。

一年だけではない。
一緒になって過去のことが次から次へと走馬灯のように蘇る。

後悔という感情は無いものの
悲しみや虚無感などのネガティブな感情と
ぬくもりや生きる歓びというポジティブな感情が
ぽつり、またぽつりと浮かび上がってくる。

まるで冬の夜空を

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運命というものがあるのなら

運命というものがあるのなら

冷たい雨がぽつりぽつりと波紋を描き
彩り豊かな紅葉が白い空のキャンバスに世界を描いていた

3度で上から降りてくるそのピアノの音たちはまるで紅葉が舞うかのようで

キラキラとした高音のトリルや連符は
落ちた紅葉が丘や道に川をつくるようで

芯のあるゆったりとしたベースやユニゾンは
歴史を感じさせる大木の息吹のようで

切ないようなでも懐かしい曲調は
秋の景色にひっそりと佇む古い洋館のようで

まる

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奥底にあるもの

あなたのおかげで好きなものの大事さがわかりました。

あなたのおかげで譲れない想いがあることがわかりました。

あなたのおかげで幸せが何であるかわかりました。

あなたのおかげで愛するということがどんなことなのかわかりました。

あなたのおかげでこの世でいちばん大切なものがうまれました。

あなたのおかげで生きる意味を知ることができました。

あなたのおかげで わたし が誰なのか知ることができまし

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子どもの背中を見て たくましい と
今まで何度思っただろう

今日も凛とした佇まいに
時の重なりを感じた

ここまで生きてこられたこと
今こうしていられること

ありがとうで溢れる

季節はまた巡り
新しい冬の入口

今日から一歩
わたしも 前へ
#心がほんのり涙するとき

凍る心

事実や境遇に対して
心を切り離し
淡々と言葉を紡いでいく。

そこにあるのは 無 になろうとする意思。
もしくは第三者の目線。

言葉に引っ張られないように鎧を纏って
向けられた牙に傷つかないように
守っている。

持ち合わせている冷静で冷酷な自分を呼び起こして
放たれた矢をその場で凍りつかせるくらいに
流していく。
頑張らなくとも感じないようにできる。

*

心に届く言葉はあまりにも心地が良か

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訪れた先で出逢ったピアノ
道ゆく人が気ままに鳴らす

私も一曲だけ…♫*・゜゚♪♫・*

膝上に息子を抱き
足元には虹色がきらり

思いがけないHalloweenのギフト🍬
#心がほんのり涙するとき #軌跡と奇跡

優しい気持ちで目覚めた朝は

優しい気持ちで目覚めた朝は

いつもの道。
変わりのない道。

車の通り沿いは小鳥のさえずりを響かせていて

無数の光粒が川面で音楽を奏でていた

チリン♪
天から舞い降りてきた紅色の落ち葉が自転車のベルを鳴らした

「気分が良くてよかったね」
どこまでも続く空に架ける想いのお返事だったみたいで

いつもの道。
変わりのない道。

生まれ変わったような透き通った道。
#心がほんのり涙するとき

高望みしていただけ
未来なんて訪れるわけない

独りよがりな思いは
一体誰を幸せにするだろうね?

こういう時にこそ自分がわかる
嫌な部分も大事にしているものも

今度は間違えたくない
声に音に
苦手でも
交わして生きたい
#心がほんのり涙するとき

道

いつまで?

目指したい場所があるのに

ちっとも前に進んでいないみたいで

先が見通せなくて

自分の位置がわからなくなって

気持ち悪くて

でも

それでも

生きていかなくちゃ

ひとつずつ

一歩ずつ

*
物事が終わり始まったとして

こんなふうに
悔しくて
悲しくなって
画面すらよく見えなくて
打ち間違いばかりして
鼻ばかりすすって
オレンジ色の街と
秋桜色の絨毯と
薄くて今にも消え

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出逢いに全て意味があるのなら、

何故
わたしは
あなたに巡りあったのですか。
#心がほんのり涙するとき #仕合わせ

迷走音

ピアノを弾いた
久しぶりに

刺々しい音が響いた
音が縮こまっててよく鳴らない
指もまわらない
全然だめ

フォルテ

強く当たる
ごめんねピアノ

音がキンキンする

鳴らして鳴らして力を抜く

ああ少しばかり鳴ってきた
ピアノがほんのり身体に馴染む

『みずたまのワルツ』

心を のせない のらない
ただ音だけがすぎていく

誠実な音ではなくて
さっぱりと
何も感じない



そんな音が続く

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心地良さってなんだろう

“心地良い方へ進みたい”

ずっとそう思ってた。
でもイマイチそれがどんな方向なのかがよくわからなかった。

自分が笑っているイメージはあるけれど
具体的にどうしたらそうなるのか
わかっているようでわかりたくないようで
曖昧になっていた。

ピアノを弾けるとか
子どもが笑っているとか
居場所があるとか

考えればそれに当てはまる気はしたけれど
どれも腑におちる感じではなかった。

そしてやっとそれ

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“誇り”という名の気流に乗って

“誇り”という名の気流に乗って

2020.9.9

幸せ と呼べるものを探して
世の中を感じられることに感謝して
たくさんの人に愛をもらっていた日々

でも
ずっと
ずっと檻の中にいるみたいだった

いつわたしは
この鳥籠から飛び立っていけるんだろうって
バタバタと外の世界に憧れた
でもその扉を開く勇気が無い
そんなイメージばかり

事あるごとにその鳥と自分を重ねては
飛ぶ瞬間を想像した

両の脚を抱えたあの夜
欠けた月の光を見

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