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Travelogue - 旅はいつも大事なことを教えてくれる

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2022年11月にイタリアに行って感じたことを書いています。後から振り返れば「人生リセットの旅」になりました。2023年10月にアメリカに行ったことも少し。
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記事一覧

【US旅日記02】UBERドライバーのアメリカンドリーム

こんにちは、UMA(ゆま)です。寒くなってきましたね。きょうは、10 月に手製本の展示でアメリカに行ったときのことを少し書きます。よろしければおつきあいください。 帰りの飛行機は朝6時発。宿泊していたプロビデンスからT・F・グリーン空港までは約10キロ。近いとはいえ、一応2時間前にチェックインしようと思うと、4時前にはUBERを呼ばなくてはならない。 この旅のあいだ、UBERは本当に便利だった。事前に聞いて通りだが、アプリで簡単に呼べる。近くにいるドライバーが来てくれるの

【US旅日記01】ロードアイランドで、紙を作る人、紙を作品にする人の展示に参加しました

こんにちは、UMA(ゆま)です。10月19日から22日までロードアイランド州プロビデンスで開催されたNorth American Hand Papermakers の年次総会に参加しました。名前のとおり、紙を手で作る人たち、それを作品にする人たちの集まり。やはり紙が好きな人はどこにでもいるのですね! 以下のページに、参加アーティストの作品が掲載されているので、ぜひ見てみてください。作りたいものを実現するために紙を選ぶのではなく、紙ありきで、紙を活かすために考えられた作品はと

【イタリア旅日記12】旅の言葉:「みんな」ではなく「あなた」がハッピーであるように

2022年イタリアに旅して思ったことあれこれ 〈第12回〉  イタリア滞在中、トレヴィーゾで行われたトークイベントでは、これまで撮ってきた写真のことや手製写真集を作ることについて、たくさん話せて本当によかった。誰もが「面白かった」という満足げな顔をしてくれていた。"Complimenti!" (素晴らしい)というあたたかい言葉が今でも耳に残っている。  翌日、ミケーレが "Are you happy?" と聞く。だが、ここで「みんなが喜んでくれてよかった」と答えると、ミケ

【イタリア・ドイツ旅日記11】旅で出会った言葉「人生は一度きり」

2022年イタリアに旅して(最後にドイツに寄って)思ったことあれこれ 〈第11回〉  フランクフルトの市場「クラインマルクトハレ」の一角にお寿司屋さんがあった。お寿司屋さんでありながら、包丁、日本茶を売っていて、包丁研ぎも? シルバーヘアの店の主人は60代と思われる日本人。精悍という言葉がまさにぴったりの風貌。堂々とした雰囲気は、この地に根を下ろし、自信を持って生活している人のものだった。  午後遅い時間でお客さんも一組しかいなかったので、思い切って声をかけてみた。「この

【イタリア・ドイツ旅日記10】30年もたてばドイツも変わる、人も変わる

2022年イタリアに旅して(最後にドイツに寄って)思ったことあれこれ 〈第10回〉  30年くらい前、フランクフルトに住んでいた。そのころに知り合った日本人で、そのまた30年くらい前、子どものころにドイツにいて、再び仕事で赴任してきた人がいた。その人が「この国が変わらないことにはびっくりする。30年前と同じ商品が同じ棚に並んでいる」と笑っていた。   ドイツ人のそんな頑固さはよく知られているし、それは良い形で機能することが多い。だから、私も今回、やっぱりドイツだ、30年た

【イタリア・ドイツ旅日記09】フランクフルトで30年ぶりに恩人と再会する

2022年イタリアに旅して(最後にドイツに寄って)思ったことあれこれ 〈第9回〉  約30年ぶりに会うバウアーさんは、それなりに歳はとっていたけれど(今回あらためて尋ねると76歳)印象は変わらなかった。ただ、股関節の骨が擦れる症状をずっと抱えていて、それがまたひどくなってきたので、近いうちに5回目の手術をするとのことだった。  薬はのんでいるが、時々強く痛むらしく、家の中でもそろそろと歩く。外出はタクシーを使うしかない。食料品などの日常の買い物もままならないので、週に1度

【イタリア・ドイツ旅日記08】ドイツに寄る。会いたい人には、会える時に会いにいこう

2022年イタリアに旅して(最後にドイツに寄って)思ったことあれこれ 〈第8回〉  旅の終わりにドイツ、フランクフルトに寄った。かつて住んでいたことがある。それからもう30年近くが過ぎている。  目的の一つは、かつてお世話になった人に会うことだった。バウアーさんというその人は市民講座で知り合った。日本に興味を持っていたことから、声をかけてくれた。住んでいる場所が近いこともわかり、それ以来、日本語とドイツ語を教え合ったり、一緒に料理をしたりした。年齢としては私より20歳くら

【イタリア旅日記07】「ゲットー」という呼称はヴェネツィアで生まれた?

2022年イタリアに旅して思ったことあれこれ 〈第7回〉  ヴェネツィアで今回初めて存在を知った場所がある。その日、最後に訪れた「ゲットー」だ。華やかな観光地とゲットーがなかなか頭の中で結びつかなかったが、ミケーレによると、ユダヤ人居住区が「ゲットー」と称されたのは、ここヴェネツィアが最初とのこと。  「ゲットー」という言葉はヴェネツィア語で「鋳造所」を意味する”Gèto" に由来するそうだ。1516年にヴェネツィア本島北西部の鋳造所跡にユダヤ人居住区が作られ、ヴェネツィ

【イタリア旅日記06】賑わいが戻ったヴェネツィアを訪ねる

2022年イタリアに旅して思ったことあれこれ 〈第6回〉  コロナ禍の規制から解放されたヴェネツィアは、かつてと同じように賑わっていた。この冬はヨーロッパも異常気象らしく、11月に入っても日中は10度を超える日が続いていた。陽光の下、誰もが明るい顔をしていて、足取りも軽やかだ。   私たち一行はミケーレ、マルコ、ブリッタの4人。マルコとブリッタは2015年にパリ、fotofeverで展示をした時に出会った。マルコは当時、リグーリアで大型観光船の船長をしながら海洋生物の写真

【イタリア旅日記05】パドヴァの老舗ホテルとサンドイッチ屋さんでの再会

2022年イタリアに旅して思ったことあれこれ 〈第5回〉   イタリアにいた間はパドヴァに滞在していた。宿泊していたのは旧市街にあるホテルで、13世紀に建てられた聖アントニオ大聖堂は目と鼻の先だった。   ホテルの歴史は1700年代にさかのぼり、ゲーテが宿泊したという記録もあるらしい。現在の名前と形態になったのは1950年だそうだ。147室あるらしいが、廊下や階段が入り組んでいて、私は滞在中もしょっちゅう迷っていた。  その理由の一つは、自分の部屋が廊下の先からさらに小

【イタリア旅日記04】北イタリアの「おうちごはん」

2022年イタリアに旅して思ったことあれこれ 〈第4回〉   あらためて言うのもなんだか照れるけれど、イタリアでは何を食べても美味しい。今回はミケーレの家で食べることも多かった。コロナ禍で「おうちごはん」が多くなったのはイタリアも同じらしい。自身の生活の変化もあって、ミケーレも自炊が多くなったと言っていた。しかし、イタリア人らしいと言うか、ミケーレらしいというか、美味しくないものは許せないらしく、料理に取り組む姿勢も真剣だ。ハム、パン、ワイン、チーズなどの定番食材もそれぞれ

【イタリア旅日記03】写真展&トークショー。直に話せるのはやっぱり楽しい

2022年イタリアに旅して思ったことあれこれ 〈第3回〉   参加した写真展 " over the edge - North South East West" が開催されたギャラリー "I. Battistella" は、観光地のヴェネツィアから45キロ離れたサン・ドナ・ディ・ピアーヴェにある。ピアーヴェ川沿いの自然豊かな文化都市といった趣の美しい街だ。  オープニングには100人以上集まってくれた。自分の言葉で(通訳はしてもらったけれど)作品のことを話せるのは、やはりう

【イタリア旅日記02】10年来の友に会う

2022年イタリアに旅して思ったことあれこれ 〈第2回〉   チューリッヒで10時間のトランジットを経て、ヴェネツィアのマルコ・ポーロ空港に到着したのは朝8時過ぎ。そんな時間にもかかわらず、ミケーレは迎えにきてくれた。ミケーレは10年来の写真家仲間だ。最初に会ったのは2012年、フランスのアルルで開かれた"festival europeén de la photo de nu"。その後、イタリアで2回、日本で2回、一緒に展示をした。最後は2015年のパリの"fotofeve

【イタリア旅日記01】「やらない理由」を数えない

2022年イタリアに旅して思ったことあれこれ 〈第1回〉  イタリアに行ったのは、写真展に参加するからという理由だったけれど、それは表向きのことだった。客観的にみて、出展者がわざわざ出向くような展示ではなかったのだ。イタリア国外から4人の写真家を選び、各々が10点展示するという趣旨のその写真展は、作家がデータを提供して主催者がプリント、サイズもフレームも統一するということで、展示そのものがカタログのようなものだった。当然というのか、ましてやというのか、交通費も宿泊費も出な