読書感想文『世界で一番やさしい会議の教科書』榊巻亮著
『世界で一番やさしい会議の教科書』榊巻亮とは
2015年発売。
3万時間。企業に勤めるあなたが一生涯で会議に費やす時間です。
これほどの膨大な時間を費やしているにもかかわらず、効率的でまともな会議はなかなかないのが実情です。
――『世界で一番やさしい会議の教科書』
表紙に「入社2年目の女の子がグダグダ会議を変える!」とも書かれており、主人公の女の子が、現役コンサルタントの父からのアドバイスを受けて、グダグダ会議を変えていくという小説風のハウツー本。
『会議を促進する、会議を容易にする』という「会議のファシリテーション」を学ぶことができる。
姉妹版として『世界で一番やさしい 資料作りの教科書』というのもあるらしい。
この本を読んだ理由
確か、note上で誰かが紹介しており、ちょうど自分もチームの定例会議を変えたいと思っていたので、図書館から借りてきた。
そしたら別の方も紹介していたので、けっこう広く読まれているのだろう。
「やさしい」などというタイトルだが、非常に読み応えはある。
ココに刺さった
会議で資料の読み上げ禁止
会議で一番無駄な時間は、「資料を読み上げる」時間だ。誰かが音読するより、個々に黙読する方がはるかに早い。資料が用意されているなら、事前に読んでもらうか、その場でざっと目を通してもらえばいい。そのために資料を作っているはずなのだが、なぜか会議中に読み上げようとする。経験上、特に報告系の定例会議でよく起こる。
資料をざっと黙読して、相談しなければいけないポイント、議論したいポイントだけ話せばいいはずだ。これだけで会議時間は三分の一になることもある。
――『世界で一番やさしい会議の教科書』
資料の読み上げが無駄なことは日本全国のサラリーマンが薄々気づいているが、一向に無くならないのは、
* 自分のターンとして一定時間喋らないといけないという暗黙のルールがあるから
* なんか喋らないと手持ち無沙汰になるし、なんか喋っとけばやってる感あるから
* そもそもの会議というものが、みんなで議論するよりも個々人の報告に重きが置かれているから
といった理由が考えられる。
「みんな平等に」とか「議論が苦手」という日本人の特性みたいのも垣間見え、結果として「資料の読み上げ」でやってる感を出してるんだなと思った。
つまりは「資料の読み上げ」自体が会議の目的になってしまってるケースが多いことが想像できる。
そして「資料の読み上げ」後、「次もがんばります」と言って締めるのが発言の終了条件のようになっている会社が多いと思う。
この構造を変えるには、本にも描かれているように「会議の終了条件」「発表の終了条件」を明確にするだけで良いように思った。
実践してみよう。
この本を読み終えて
あとがき
(略)
どんなに書物を読んでも、ノウハウを知っても、変化しなければ意味がない。
どんなに良いノウハウでも、それをどう始めるか、どうやって定着させるかイメージできなければ宝の持ち腐れになってしまう。だからこの本では「始め方」にこだわり、「文脈」にこだわり、そして「ホンモノ」にこだわった。
――『世界で一番やさしい会議の教科書』
ビジネス書あるあるかもしれないが、読み終えただけで「賢くなった」と満足してしまうパターンが往々にある。
でもこの本に書かれている内容は、どれもとっつきやすそう。
そもそも物語の設定的にも「入社2年目」の若手が改善に着手していったように、ちょっとしかきっかけて誰でもできそうなことがまとめられているのが良い。
一方で、管理者側にも「こういった会議の進行に変えよう」という見直しの参考になりそう。
あと重要なのはファシリテーターとしての議長(モデレーターって言った方が今っぽいかな)の力量だよな。
普段の議長は別のマネージャーがやってるのだが、彼もこの本を読めばかなり理想に近づけると思う。
強引にでも読むように促してみようかな。
それだけの価値はある一冊だと思う。
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