竹内宇瑠栖

怪談を集めたり発表したりしています。他に投稿した小説(時代小説/非怪談)なども。もしよ…

竹内宇瑠栖

怪談を集めたり発表したりしています。他に投稿した小説(時代小説/非怪談)なども。もしよければあなたの不思議な体験をお聞かせください。主に週末に投稿します。6~9月は投稿が少なくなるかもしれません。ご理解を。

マガジン

  • 禍話リライト

    毎週土曜の夜23時からツイキャスで配信されている「禍話」から面白かったものを随時文字化します!

  • 一貫斎始末記

    幕末の近江、鉄砲鍛冶の村・国友に一貫斎という鍛冶師がいた。時代の流れにより、鉄砲は時代遅れのものに。そこで、一貫斎は鉄砲に代わるものがないか模索を始めるが……。

  • 怪談拾遺

    あちこちで聞き集めた怪談を、皆さんに親しみやすいよう紹介します。 手軽に怪談だけ読みたいという方は【 】から下を読んでいただければ。

  • ある詩人のイディオレクト―細川雄太郎異聞―

    童謡詩人細川雄太郎を主人公にした歴史小説です。

  • 白刃

    大老にまで上り詰めた彦根藩主・井伊直弼公が暗殺された。何とか敵討ちを。その手段は、脱藩し、水戸の屋敷の床下に潜み機をうかがうというものだった。

最近の記事

  • 固定された記事

はじめましてとこんにちわ

「不思議な話や、変わった体験はありませんか?」 あちこちで聞いてはみるのですが、ほとんどの人は、 「知りません」「ちょっと心当たりないですね」 という回答。背景にはいろいろあるでしょう。 最も多いのは、本当にパッと出てこないパターンです。 普通に暮らしていると、小さな不思議なことがあっても「偶然」や「気の迷い」で済ましてしまいますし、そうした出来事はあっという間に記憶のかなたへと消えてしまいます。 あるいは、「そんなことを信じている人だと見られたくない」「そうした

    • 【禍話リライト】きになるひとの話(仮)

       毎回、このリライトを書くときには、禍話wiki(下記)に上げられたタイトルを使わせていただくのだが、今回の話はタイトルが付けられていなかったので、仮タイトルだ。これは、もしや「リライトするな」というメッセージなのかとも思いつつ、正式タイトルが発表されたら、それに差し替えたいと思う。  さて、日常で不思議な事というの起こるものだが、それが複数重なると立派な怪談になる。あなたの周りにもないだろうか。 【きになるひとの話(仮)】  昨年(2023年)の話だという。  Aさんが

      • 【禍話リライト】掲示板の花飾り

         奇妙なバイトというのは、怪談や都市伝説の定番だが、この話のバイトは一見怪異とのつながりが見えにくい。払いが良いが、趣旨が見えにくいバイトは受ける前に少し考える必要があるかもしれない。 【掲示板の花飾り】  A子さんは、大学時代、掲示板に造花を飾りつけるバイトをしていたそうだ。何もない掲示板に花を貼るのだという。  どんな花かというと、特に決まりがなく、精巧な造花や折り紙で花を模したもの、100円ショップに売っているものなど花らしければ何でもいいのだそうだ。ただ、板を全体

        • 【禍話リライト】レシートビル

           時におかしなものを手に入れても、そのまま捨ててしまわないほうがいいかもしれない。適切な対応を求められることもある。  それが日常で使う傘にまつわる話なら、もはや他人事とは言えない。この話が参考になれば。 【レシートビル】  20代のAさんが数年前、仕事から自宅へ帰ってきた時に、電気代の引き落としがうまく行っていないことに気が付いた。ポストに請求が来ていたのだ。  折悪しく、ぽつぽつと雨が降り始めてきた時だったので、振込用紙が濡れないように、玄関にあった少しいい傘を持って

        • 固定された記事

        はじめましてとこんにちわ

        マガジン

        • 禍話リライト
          103本
        • 一貫斎始末記
          19本
        • 怪談拾遺
          43本
        • ある詩人のイディオレクト―細川雄太郎異聞―
          8本
        • 白刃
          4本
        • 炎城
          4本

        記事

          【禍話リライト】スリッパを履け

           常に怪異の傍で暮らす人たちは、それなりの術を心得ている。  これは、そんな一端が垣間見える話。 【スリッパを履け】  小学校時代、誰しもクラスに一人は裕福な友人がいたのではなかろうか。大きな家に住み、広い玄関には獣皮の敷物がひかれている。そんな家だ。  現在50歳近い吉田さんが小学校の頃というから、昭和も終わり頃の話。当時栃木県に住んでいた彼の級友にも御多分に漏れず金持ちの友人がいた。名前はAくんとしよう。  Aくんの家がどのくらい金持ちかというと、ブラウン管のかなり大

          【禍話リライト】スリッパを履け

          【禍話リライト】トイレの作業員さん

           「好奇心は猫を殺す」というが、いらぬ好奇心が禍を招くことは枚挙にいとまがない。  これはそんな話。 【トイレの作業員さん】  Aさんは関西の小学校に通っていた。これはその時の話だという。  今ではすっかり見た目も変わってしまったが、小学校5年生の当時はグラウンドの横、変な場所にプレハブのようなトイレがあったのだそうだ。しかも、すべて和式便器だったので、誰も使っていなかった。  そこに、お化けが出るという噂が立った。  小学校に出るお化けの定番といえば、花子さんか太郎くん

          【禍話リライト】トイレの作業員さん

          【禍話リライト】甘味さん譚「くぼみ扉」

           ここは行かないほうがいい、直感でもそう思うなら従った方がいい。九死に一生を得るという言葉があるが、これは霊的な事にも言えるのだそうだ。  これは、人気の禍話レギュラー甘味さんの話。 【甘味さん譚「くぼみ扉」】  廃墟で泊まって、甘味を食べることで知られる禍話レギュラー甘味さんは、ある山奥の民家を見つけた。  家は意外にしっかりとした造りで、ポツンと立っている一軒家だった。事前情報はなく、偶然に見つけた形だ。二階に上がると、いくつか部屋があった。  一つ目の廊下に面した部

          【禍話リライト】甘味さん譚「くぼみ扉」

          【禍話リライト】桃色の栞

           怪異が何かのメッセージだとしても、それがこちら(人間)側に解るかどうかは別の話だ。  これは、そんな短い話。 【桃色の栞】  現在40代のAさんは、「意味が解らないほうが怖いこともある」と言う。    Aさんは、父親の仕事の都合で家族で2階建ての一軒家に引っ越した。高校生の頃のことだというから、今から25年ほども前の話だ。  家族というのは両親とAさん、それとそれほど年が離れていない妹だった。  ある晩、Aさんは夜中にトイレに起きた。  2階のトイレに入る。  一般的

          【禍話リライト】桃色の栞

          【禍話リライト】幽体離脱のあと/覚えていた風景

           本編でかぁなっきさんも言っていたが、幽体離脱はかなりメジャーな怪談のテーマだ。その手の本に1編は入っているといっていい。ただ、バリエーションはそれほど豊富ではない。  これは、そんな幽体離脱の変則バージョン2話。 【幽体離脱のあと】  かぁなっきさんが過去に話を聞く中で、こんな問いかけをされた。 「これは友人に聞いた幽体離脱かな? という話なんですが」  『かな』と言うのが分からない。幽体離脱なら、結構はっきりとわかるだろう。  Aさんが学生の頃、林間学校の晩に怪談大

          【禍話リライト】幽体離脱のあと/覚えていた風景

          【禍話リライト】続・夢のおばあさん

           ということで、かぁなっきさんが下記を聞いたときに、「怒ってないけどキレそうな老婆の言」という様子が今いちピンと来ていなかったそうなのだが、それを実感し『話そう』と思った夢について。 【続・夢のおばあさん】  今年(2024年)のある夜、かぁなっきさんは夢を見た。  大学生時代に住んでいたアパート(K荘)には、珍しく内扉があったそうだ。  そのK荘に、小学校時代の友人と、中学校時代の友人が訪ねてきた。二人とも現在は行方不明なのだそうだが、それは夢の中なので気づかない。  

          【禍話リライト】続・夢のおばあさん

          【禍話リライト】夢のおばあさん

           単なる夢の話は面白くない(話が多い)が、現実にリンクするとなると別だ。それが、伝染するとなると怖さはいや増す。  これは、そんな話。 【夢のおばあさん】  かぁなっきさんが大学3年の時に聞いた話だというから、今から20年近く前の話。友人で別の大学に通うAさんが、こんな話を聞かせてくれた。  Aさんがある日夢現で寝ていた。その日は、持病の頭痛がひどく、たまたま授業もバイトもなかったこともあって、少し多めに飲んだ薬が裏目に出ていたのだという。  何度か変な時間に起きて、す

          【禍話リライト】夢のおばあさん

          【禍話リライト】乗ってきた人と音

           マンションで特に怪談の舞台になることが多いのがエレベーターだ。あるはずのない階へ向かったり、異界へとつながったりと話のパターンは豊富である。  これは、ある出来事がきっかけでエレベーターに乗ることが怖くなってしまった人の話。 【乗ってきた人と音】  現在30代後半のサラリーマンのAさんは、一人では絶対にエレベーターに乗らない。現在は、乗らなくなったきっかけとなった場所からは離れた場所で暮らしているが、日本全国で大きな建物に入っているエレベーターは大体似たり寄ったりだ。だ

          【禍話リライト】乗ってきた人と音

          【禍話リライト】暗がりの筒

           それは本当に変な人なのか、それとも怪異現象なのか分からない時がある。それを体験したのが自分一人だったり、深夜だったりしたらなおさらだ。  今回のウェルカム怪談は、そんな怪人に関する話。 【暗がりの筒】  九州に住むAさんという女性が高校生の時、電車の駅からの帰り道に商店街を通っていた。今から10年ほど前の話だ。  周りの田舎道(車通りの多い真っ暗な道)よりも明かりがあって安心という側面もあったし、帰る方向が一緒の友達と、夜の商店街を歩きながらいろんな話をするのが楽しかっ

          【禍話リライト】暗がりの筒

          【禍話リライト】枕元の眼鏡/甘味さん譚「ほら、ぴったり」

           眼鏡に関する怪談は珍しい方ではないかと思う。  器具としては、700年以上にわたって使われており、顔の一部として認識されているのに(あるいはしているからこそか)、数は少ないのではないだろうか。  今回の禍話では眼鏡にまつわる短い話が二つあったので、それぞれを。 【枕元の眼鏡】  現在40代前半のAさんが佐賀へ出張へ出かけたときの話。Aさんは妻子がいるようなごく普通のサラリーマンだ。  その晩、取引先から予想外の熱烈な歓待を受け、2次会まで高い酒を並べられ、深酒をしてしま

          【禍話リライト】枕元の眼鏡/甘味さん譚「ほら、ぴったり」

          【禍話リライト】彼氏と誰か

           虫の知らせにまつわる話は多い。しかし、虫の知らせの多くは、受け取った時に、それが何を示しているのか、どういう意味なのかは分からないことがある。  これはある女性に訪れた、彼氏にまつわる徴の話。 【彼氏と誰か】  現在30代半ばのA子さんは、大学時代からずっと付き合っている彼氏がいたという。卒業して、互いに就職し、毎週末に会うような関係の中で、何となく「この人と結婚するんだろうな」と思っていたのだそうだ。  職場も職種も、全然違ったが、互いの家を行き来していて家族ぐるみの

          【禍話リライト】彼氏と誰か

          【禍話リライト】おそろい 2

           引き続き、人形にまつわる「おそろい」の話。  よければ「1」もどうぞ。 【おそろい 2】  Aさんの高校時代の知り合いに、フィギュアが大好きな友人のBがいた。ときどき彼の家に遊びに行ったときに見せてもらっていたのだという。  その中の特にお気に入りの一体は、Aさんたちの高校の制服の色にカラーリングされていた。   ある日、Bくんの部屋を母親が掃除していた時、棚から落としてしまって左手のある指が欠損してしまった。もちろん、愛着のあるフィギュアなので、買い直すなどというこ

          【禍話リライト】おそろい 2