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静かなる学問的情熱を尋ねて
閉塞するような小さな自己を離れ、広い世界の真理を知的に探究する。そのようなものとして学問への憧れが確かにあった。静かに、しかし情熱的に知への追及を止めない学問の世界を描いた、森博嗣「キシマ先生の静かな生活」(『まどろみ消去』、講談社文庫)にもだいぶ影響されている。そして約十年前、学問的に仏教を学ぶことを選択した。
学問的に仏教を学んでいくと、自己を離れて、単なる知的欲求に止まることを戒める数
現在に“生まれる”往生思想について
「親鸞仏教センター研究員と学ぶ公開講座2022」報告記事
※12月講座「往生とは何か」
中村担当「現在に“生まれる”往生思想について」
本講座では、「往生」を現生の事実として考究する西山派祖・證空(1177-1247)の往生思想を中心に検討を進めた。特に證空にとっての「(凡夫の)往生」とは、「(弥陀の)成仏」と密接な連関があり、「成仏」と「往生」は同時であるとされる。弥陀が成仏した時に、すで
第2回「現代と親鸞」公開シンポジウム(2020/10/24)【開催趣旨】
第2回「現代と親鸞」公開シンポジウム(2020/10/24)【開催趣旨】
テーマ:生まれることを肯定/否定できるのか?──反出生主義をめぐる問い
生まれてこなければよかった──人生に煩悶するとき、ふとそんな言葉がよぎる。ほんとうに生まれない方がよかったのかもしれないのだ。世に「反出生主義」とも呼ばれる思想である。
ただ仏教学の立場として、こうした問いを「ただの愚痴であって、意味がない」(佐
[ブックレビュー]森博嗣『歌の終わりは海 Song End Sea』
【ブックレビュー】森博嗣『歌の終わりは海 Song End Sea』(講談社ノベルス、2021)
もう傷は癒えているはず。
それなのに、まだそこが痛いと思い込んでいて、触れずにいる。(『歌の終わりは海 Song End Sea』第三章「人生の終わり」より)
『歌の終わりは海 Song End Sea』は、森博嗣が放ってきたそれまでの各シリーズからの延長線上にあり、既刊のシリーズではおなじみの小
【雑記】鬼火が燃えるか?
論文執筆をしていると違う系統の文章が書きたくなる。論文は8割くらい書けたのでこの辺で発散しとこ。
沼ソング。で一世を風靡している大沼晶保が、「さくらひなたロッチの伸びしろラジオ」(NHKラジオ第1、2021/10/18放送)で詠んだ一首がこれである。
マッチ箱 火がついたとて 鬼火が燃えるか? 命は強い 弱いは気持ち
当番組の共演者で歌人・作家の錦見映理子がTwitterで、「大沼さん
『親鸞仏教センター通信』第77号_あとがき
本号編集時に、コロナ禍における2度目の緊急事態宣言が発出された。外にも出歩かない日々の中、一つの楽しみ、3年ぶりの楽しみが発売された。5才のよつばの日常を描く漫画、あずまきよひこ『よつばと!』(電撃コミックス)15巻である。日付変更と同時に電子版を買おうとした。そうだった。電子版はない…と3年ぶりに思い出し、朝一で“リアル本屋”で購入。宝石箱をひっくり返したような日常は相変わらずキラキラしていて
もっとみる上杉慧岳ー「近現代の真宗をめぐる人々」第4回
上杉慧岳(1892〜1972)
リレーコラム「近現代の真宗をめぐる人々」第4回(『親鸞仏教センター通信』第68号〔2019年3月〕より)
伝統的な真宗学を頭ごなしに否定するのはそれ自体が一つの思考の枠組みに囚われていると思うが、ただ伝統的な真宗学が強固な思考の枠組みを提供し、それが安易に継承されていったのもまた否定し得ない事実であろう。近代において従来の枠組みを飛び越え、再度、祖師の言葉と向き
[ブックレビュー]宇佐美りん『推し、燃ゆ』
【ブックレビュー】宇佐美りん『推し、燃ゆ』(河出書房新社、2020)
その目を見るとき、あたしは、何かを睨みつけることを思い出す。自分自身の奥底から正とも負ともつかない莫大なエネルギーが噴き上がるのを感じ、生きるということを思い出す。(宇佐美りん『推し、燃ゆ』より)
書評ごとにニュアンスが難しいと書かれる「推し」。宇佐美りん自身は、「まず、「推す」というのは、芸能的な活動をする人をファンが応