おかき

読書は、どこにでもどんな時代にも連れて行ってくれる、何にでもなれて色々な体験をさせてく…

おかき

読書は、どこにでもどんな時代にも連れて行ってくれる、何にでもなれて色々な体験をさせてくれる最高のレジャーです。 読書感想文を徒然に綴っていきます。

最近の記事

『星の王子様/著者:サン・テグジュペリ/訳者:河野万里子』を読んで

7月7日七夕の日、久しぶりに読み返してみたこの本。 やっぱりいい。優しい気持ちにさせてくれます。 「ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない」 「きみのバラをかけがえのないものにしたのは、きみが、バラのために費やした時間だったんだ」 そうなんですよね〜。 平易な言葉で胸にスッと入ってきます。 余裕のない自分勝手な大人にならないようにも気をつけなくっちゃ。

    • 『ツバキ文具店(&海街diary)』をオタク的に楽しむ旅

      先日、ツバキ文具店シリーズの3作目を読みまして、この丁寧な空気感、やっぱり好きだなぁ〜っとしみじみと思いました。 ツバキ文具店リスペクトのオタク旅をしたことがあります。(海街diaryも含む♡) とってもとっても楽しかった思い出を反芻していきます。 心がすれ違ったまま亡くなった先代からツバキ文具店と代筆屋を引き継いだ鳩子の1年間のお話しです。鳩子はポッポちゃん、ご近所さんはバーバラ婦人、男爵、QPちゃんとか、呼び名がとてもしっくり可愛い。 ご近所さんとの優しい交流と丁寧な

      • 『椿ノ恋文/小川糸』を読んで

        大好きなツバキ文具店の3作目です。 ポッポちゃんが子どもを2人産んでいて、QPちゃんを含めて3人のお母さんになってました。そして、可愛かったQPちゃんは中学3年生になってて受験生で反抗期! 時の移り変わりを感じました。 代書の依頼も順調ですっかり板についてきていました。 代書については、余命宣告を受けている方からの依頼だったり、老いた父親に免許返納をお願いするものだったり。タイトルにもなってるように最大の主題は、亡くなった先代の秘められた恋文のことだったり。 全体的に老い

        • 『人間標本/湊かなえ』を読んで

          表紙を捲ると、蝶に見立てられた美少年たちの美しく耽美でグロテスクな標本の絵が6枚。 標本それぞれの表現の解説をするのは、子どもの頃に蝶に魅せられ大人になってからは蝶博士になった榊史郎。 全ての始まりは、大自然で舞うように飛ぶ蝶達に魅せられた史郎が蝶の標本を作ったことから。 それが、長い年月をかけて巡り巡って歪な影響を与えてたのです。 サイコパスな史郎が逮捕されたのは物語の中盤ほど。この後、二転三転、四転と、どんどん真実が明らかになっていくんですけど、えーっ!ええーっ!ええ

        『星の王子様/著者:サン・テグジュペリ/訳者:河野万里子』を読んで

          『下山事件・暗殺者たちの夏/柴田哲孝』を読んで

          叔母が何気なく放った言葉から大好きな祖父が下山事件に関わっていたという疑念を抱き、執念の取材からノンフィクション「下山事件最後の証言」を書き上げた著者が、フィクションとして書き上げた渾身の作品です。 ノンフィクションとしてはハッキリと書けない部分や埋まらない断片を、推理と想像でフィクションとして書ききっていました。 ノンフィクションの方を少し前に読んでいたので、流れも結末もわかっているのに、読んでる間、ハラハラしながら憤りながら、ずっと夢中でした。 これが、柴田哲孝さんの

          『下山事件・暗殺者たちの夏/柴田哲孝』を読んで

          『翻訳できない世界のことば』を読んで

          著者:エラ・フランシス・サンダース 訳者:前田まゆみ ある国ではひとつの単語で表せる言葉でも、他の国の言語に翻訳するとひとことでは言い表せない言葉の単語集絵本です。 日本語もいくつか載ってました。 「ぼけっと」「侘び寂び」「木漏れ日」「積ん読」です。木漏れ日って他の国の言葉にないのは日本人の美的感覚を自慢に思いましたし、積ん読が日本語だけと言うのには自分の積読本棚を思い出してちょっとだけ反省しました。 「バナナを食べている所要時間」とか「トナカイが休憩なしで疲れず歩け

          『翻訳できない世界のことば』を読んで

          『ミステリと言う勿れ14/田村由美』「読んで

          整くんは、いくつかあるうちのお気に入りのコミックのうちのひとつなのです。 単行本新刊が出たらすかさず読まなくっちゃなのです。 今回も楽しみました。 エア整くんって!笑笑 字面はアレだけど、池本刑事が整くんだったらどう考えるかと思考を真似て事件を解決したスピンオフが大部分を占める巻でした。池本刑事は仕事も夫としても成長してて良かったなあ。 そして、ガロくん、巽さん、天達先生、喜和さん、整くん、みんなの繋がりにピキっと驚きました。星座の謎がそろそろ…なのかな。 大学で過去

          『ミステリと言う勿れ14/田村由美』「読んで

          『完璧じゃない、あたしたち/王谷晶』を読んで

          イヤミスのアンソロジーで初読みして、文章の気持ちよさにやられて気になった作家さん。 解説で紹介されてたのがこちらです。 女同士の出会いと関わりと思いを描いていました。大半はショートショートで短編もあり、なんと戯曲もありの23遍。 王道の百合ものの「Same Sex, Different Day」でもついてくるところがその隙間?!すごいっ!って思いましたし、友達以上百合未満の関係性を描いた「夢で見た味」や「カナちゃんは足がない」なども発想が奇抜で面白い。 田舎住みのヤンキ

          『完璧じゃない、あたしたち/王谷晶』を読んで

          『あなたの涙は蜜の味』イヤミス傑作選を読んで

          パッとしない子/辻村深月 福の神/宇佐美まこと コミュニティ/篠田節子 北口の女/王谷晶 ひとりでいいのに/降田天 口封じ/乃木アサ 裏切らないで/宮部みゆき 豪華なメンバーのこのアンソロジーはハズレ作品がありませんでした。 みんな違ってみんないい。 辻村さんの「パッとしない子」と篠田さんの「コミュニティ」は既読でしたけど、再読でもやっぱりちゃんとゾワゾワ気持ち悪くて抜群に面白かったです←変態 嫉妬とか承認欲求とか歪んだ優越感とか、おんなって怖い。だけど、傍目から冷静に読

          『あなたの涙は蜜の味』イヤミス傑作選を読んで

          『下山事件・最後の証言/柴田哲孝』を読んで

          「あの事件をやったのはね、もしかしたら、兄さんかもしれない」と大叔母から言われたことが、柴田氏が下山事件の取材を始めたきっかけだったそうです。 大好きな祖父、だけど、祖父なら有り得るかもと思いつつ、関係者に取材をし、調査し続けます。 祖父が勤めていた亜細亜産業は単なる貿易会社ではなかったことがわかってきます。 どうやら、亜細亜産業を軸に下山事件が起こっているのではないか…。 調べていくうちに見えてくるのは、国鉄の利権と汚職、GHQにCIA、満州鉄道と満州での人脈、731部

          『下山事件・最後の証言/柴田哲孝』を読んで

          『君と宇宙を歩くために2/泥ノ田犬彦』を読んで

          2巻も良かった〜! 勉強もバイトも人と同じようにはできない小林くんが出来るようになるよう頑張ることを楽しいと思い始めました。 宇野くんは人と長い時間を一緒に過ごすことが苦手なのに、小林くんと一緒にいたいと思うようになり始めました。 すっごい成長です。すっごい進化です。 だけど、その反面、自分より出来てる人を羨む気持ちと自分がずっとこのままだったらどうしようという不安な気持ちも感じていました。マイナスっぽく感じるけど、こう思うことも成長です。ちゃんと自分自身に向き合ってるんで

          『君と宇宙を歩くために2/泥ノ田犬彦』を読んで

          『こんがり、パン・おいしい文藝』を読んで感じたこと

          著者は津村紀久子・穂村弘・江國香織・他38名の作家さん達。 パンについてのエッセイが40篇、解説もエッセイだから合計41篇。 パンにまつわる楽しい思い出や悲しい思い出、パンに関する考察、パンの歴史、パンに対しての思い、等等。 美味しそうなパンが沢山登場します。登場した中では、フランスのバゲット、お父さんが作るフレンチトースト、木村屋のあんぱんが私のトップ3です。うっとりです。 笑かさられたのは、やっぱり、ホムホムでした。夜中にお腹がすいたホムホムはベッドの中で、固まった

          『こんがり、パン・おいしい文藝』を読んで感じたこと

          『無人島のふたり・120日以上生きなくちゃ日記/山本文緒』を読んで

          こちらは心して読みました 膵臓癌が発見された時は既にステージⅣ、 抗がん剤治療をしないことを選び余命4ヶ月と宣告された山本さん。 闘病記ではなく逃病記と言って緩和ケアを受けながら綴られた日記は2021年5月から10月まで。 最後の日記の10日後、山本さんは亡くなりました。その最後の文章の締めは飄々としたものでした 「明日また書けましたら明日」 120日以上生きるという目標は達成しました。享年58歳。悲しい。。。 病状のつらさを語りつつも、どこかユーモアが感じられる文章

          『無人島のふたり・120日以上生きなくちゃ日記/山本文緒』を読んで

          「花屋さんが言うことには/山本幸久」を読んで感じたこと

          めっちゃ良かったーーー! ブラック企業で心身ともに疲れ果てていた紀久子。ひょんなことから花屋さんのオーナー李多さんに救われて、その花屋さんで働くことになりました。 一緒に働く個性的な人達、お客様、商店街の人々、そしてお花達と関わり合いつつ、やりたかったことを再認識して夢に向かって行動していくお話しです。 章が花の名前になっているのがまず好き。 花にまつわる短歌や俳句、花言葉がたくさん出てきてワクワクしました。 花屋さんの実際のところのお仕事内容も知ることができて興味深かっ

          「花屋さんが言うことには/山本幸久」を読んで感じたこと

          「変な絵/雨穴」を読んで感じたこと

          雨穴さん、初読みです。 本文が始まる前に、母親を殺害した少女が描いた絵を見せられます。人間と木と家の絵なのですが、まず受ける印象が不安、不穏、なんか変なんです。 そして本文に入ると奇妙なブログ、不思議な絵。謎が解かれてゾーっとして、さあ次はと読み進めていくと、、、短編集じゃなくて全部繋がってました。ゾワゾワゾワ。 感情が暴走するとこんなにも狂気になってしまうものなのか。邪魔なものは殺してしまえばいいという考え方も怖いし、そんなことくらいで殺すのかというのも怖いし、殺し方

          「変な絵/雨穴」を読んで感じたこと

          「凪に溺れる/青羽悠」を読んで感じたこと

          「凪に溺れる」は霧野十太が長く歌い続けていた歌。聴く人の心を強く振るわせる歌。 この歌が誕生した中3から27歳で亡くなった翌年までの間で十太と関わり大きく影響を受けた6人を描いた連作短編でした。 皆、何者かになりたくて、目標に向かって、苦しい現状をどうにかしたくて、悩み迷いもがいています。諦めたものも又悩んでいたり。 十太の語りはありません。6人の語りで十太の人柄や生き方が浮かび上がってきます。人付き合いが苦手で、音楽に真摯で、寡黙だけど優しい。 プロローグから共感しま

          「凪に溺れる/青羽悠」を読んで感じたこと