『下山事件・暗殺者たちの夏/柴田哲孝』を読んで
叔母が何気なく放った言葉から大好きな祖父が下山事件に関わっていたという疑念を抱き、執念の取材からノンフィクション「下山事件最後の証言」を書き上げた著者が、フィクションとして書き上げた渾身の作品です。
ノンフィクションとしてはハッキリと書けない部分や埋まらない断片を、推理と想像でフィクションとして書ききっていました。
ノンフィクションの方を少し前に読んでいたので、流れも結末もわかっているのに、読んでる間、ハラハラしながら憤りながら、ずっと夢中でした。
これが、柴田哲孝さんの筆力なんだろなー。
邪魔者に圧力をかけて口封じをしたり、マイナス点を挙げて失脚させたりは今でも見受けられますけど(いいのか?こんなこと書いて)、殺してしまえという考え方なのが恐ろしい。
この考え方は時代なのか?それとも、政治や経済の世界では今でも…?
じゃ、あの事件も?とか危ない方向へ考えがおよびそうになりました。ヤバイヤバイ。
私の図書室は片道30分の通勤電車の中なので、片手で支えて立って読むにはこの分厚さは手が攣りそうでしたし、流石に読了に5日間かかりましたけど。
大満足の読み応えでした。