マガジンのカバー画像

会計学は何のための学問

54
運営しているクリエイター

2020年9月の記事一覧

経済は魔物、会社は生き物、会計はカメラ:実践しながら学ぶ

経済は魔物、会社は生き物、会計はカメラ:実践しながら学ぶ

経済は魔物、会社は生き物、会計はカメラ。

経済は魔物。自然災害を含めて予期しないできごとにより変化していきます。そして会社はその中で何とか生き残ろうとしていきます。それを捉えようとするのがカメラである、会計というわけです。

経済に関して言えば、最近はますます予想が出来ない、と強く感じています。

そんなことを言っていたら投資はできない、わけですが、政治や災害、テロなどの突発的なことで容易に変化

もっとみる
親子上場廃止が加速する?:NTTドコモのTOB

親子上場廃止が加速する?:NTTドコモのTOB

えらいことが起きました・・・・。

というと大げさかもしれませんね。

9月28日未明にNTTによるNTTドコモのTOBが発表されました。

NTTはドコモ株の66.2%を保有している。残る約34%の株式をTOBで一般株主から取得する。NTTの6月末の手元資金は約1兆円で、買収資金の多くは負債で調達するとみられる。

【関連記事】
ドコモ社長に井伊基之副社長 4年半ぶり交代へ
完全子会社化により、

もっとみる
実務の結晶である有価証券報告書・四半期報告書への観察・考察力を高めよう

実務の結晶である有価証券報告書・四半期報告書への観察・考察力を高めよう

インゴルドの「学びの狩人」の話、探究だけでは何か足りないのではないか、という今の心にピッタリとくるフレーズです。

インゴルドの分野は文化人類学であり、観察・考察力を培うことが求められる分野です。つまり、自らの観察から得られたもの、データに対してどのような意味付けを与えていくのか。そこに何を見出すのかを考えていかなければなりません。

この考え方を、『会計学の学び』に置き換えて、有価証券報告書・四

もっとみる
感覚を身につける:AIに置き換えられない会計の要素

感覚を身につける:AIに置き換えられない会計の要素

会計学の学びはどこまで定式化できるのでしょうか?

知識、技術として学ぶことが可能な部分とそうでない部分があるはずです。

そうでない部分は、感覚といってもよいかもしれません。

学問を学ぶのに「感覚」の話?

というと怒られるかもしれません。

会計学だけでなく他の学問もそうかもしれませんが、各分野において土地勘、というか定式化されていない部分がある気がします。特に社会科学、人文科学においてはそ

もっとみる

貨幣(お金)で測定するのが会計:将来、非財務情報も財務情報になる?

「会計って何?」と聞かれれば、

企業の活動をお金(貨幣)で数値化し、表にまとめる仕組み、と私は答えています。

表の形式は、財務会計だったら、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、になるわけです。株主資本等変動計算書も含まれますね。

表にまとめる、というところは管理会計も同じかもしれません。ただ、管理会計の場合は経営指標となる非財務の情報も積極的に取り入れているので、当てはまらないケ

もっとみる
投資と会計の勉強の違い

投資と会計の勉強の違い

雑談めいた話です。

投資の勉強をしたいから、会計を勉強したいです!という人がちらほらいます。

確かに会計を勉強することを通じて、自分が投資したい銘柄を選べる一助になります。

その一方で、投資目的で会計を勉強したい人、会計そのものを勉強したい人のニーズは、微妙にずれていることにも気が付きました。

投資を勉強したい人は、キャピタルゲインにせよ、インカムゲインにせよ、リターンをどのように得るのか

もっとみる
社会のインフラとしての企業会計制度の構築に貢献したい

社会のインフラとしての企業会計制度の構築に貢献したい

43歳を迎えました。

もう残りの人生も少ないです。

いや本当。

私が出来ることと言っても大したことは出来ないと思っています。

ですが、私という存在がいることで何か少しでも世の中を良くしたいな、という気持ちがあります。

会計学は、経済学のような政策的な「何か」を提供するツールではないと思っています。

会計、会計学の強みは何か?

実態、リアルを表す会計というツールを使いこなすことで、世の

もっとみる
モデルに依拠した時価情報が抱えるジレンマ

モデルに依拠した時価情報が抱えるジレンマ

会計情報においても恣意性が高い、裁量が大きい情報がいくつかあります。

例えば、非上場の株式(有価証券)については、一定のモデルを用いて見積もることになります。

株式、有価証券においては市場で取引されている価格で見積もるのが一番推奨されるやり方です。

例えば、株が一株100円なら帳簿上、100円と評価されて、その価格が貸借対照表上に計上されます。

これが値下がりして、価格が80円になれば、2

もっとみる
『信頼』で情報作成者と利用者を繋ぐ、公認会計士の役割

『信頼』で情報作成者と利用者を繋ぐ、公認会計士の役割

会計と人、社会を繋ぐ。

この観点から考えると公認会計士は信頼を創り出し、信頼という目に見えないもので財務報告と作成者、利用者をつないでいると、捉えています。

信頼とは何か目に見えないもの、です。積み上げていかないといけないもの、だと思います。そして壊れやすい。
だからこそ、公認会計士において求められる職業的倫理観は厳しく問われないといけない。

信頼のある情報とは単に不正がないというだけではな

もっとみる
IFRSと日本基準を繋ぐ考え方:『繋ぐ』をテーマにした研究

IFRSと日本基準を繋ぐ考え方:『繋ぐ』をテーマにした研究

少し今後のテーマを書き出しておこうと思います。

1. 繋ぐをテーマにした私のプロジェクト『繋ぐ』をテーマにした私のプロジェクト、です。決意表明を兼ねてこちらに書いておきます。

『社会(人、組織、企業)と会計を繋ぐ』

このことに私は貢献していきます。ツールでありながら、多くの影響を与える会計システム。その影響は見えないところに波及し、時に人の決断、意思決定に影響します。拡がりは持っていいですが

もっとみる
お金は魔物、会計を使いこなしそれを飼いならす。

お金は魔物、会計を使いこなしそれを飼いならす。

私が研究者としてなすべきこととして感じているのは、

「人と会計を繋ぐ」

事です。

なんでそんなことを意識する必要があるのか?

その理由は、会計が貨幣情報だからです。

お金は魔物。つまり魔物を飼いならすためにあるのが会計とも言えます。

誤魔化しはお金があるから発生します。企業の不正もお金が絡んでないものはほとんどないと思います。

もちろん、今では、利益≒キャッシュ、ですからお金の話では

もっとみる