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経済は魔物、会社は生き物、会計はカメラ:実践しながら学ぶ

経済は魔物、会社は生き物、会計はカメラ。

経済は魔物。自然災害を含めて予期しないできごとにより変化していきます。そして会社はその中で何とか生き残ろうとしていきます。それを捉えようとするのがカメラである、会計というわけです。

経済に関して言えば、最近はますます予想が出来ない、と強く感じています。

そんなことを言っていたら投資はできない、わけですが、政治や災害、テロなどの突発的なことで容易に変化しうるので、とても予想できるようには思えません。

金融危機もそうでしたが、今回の新型コロナ禍では経済の動態が大きく変わってしまいました。

経済は専門ど真ん中、というわけではないので、二次データになりますが、こうした調査レポートや新聞などを頼りに見ています。

4~6月期の法人企業統計季報によると、全産業ベースの売上高は前期比▲10.7%と、統計開始以来最大の落ち込み。新型コロナの感染拡大に伴う内外需要の急減を受けて、製造業、非製造業ともに大幅な減収。製造業では、内外の自動車販売の急減で主力の輸送用機械が大きく減収。非製造業では、緊急事態宣言の発令に伴い、小売、サービス、運輸などを中心に幅広い業種で減収。一方、全産業ベースの経常利益は同▲29.7%と、5四半期連続の減益。市況悪化を受けた鉄鋼や、外出自粛が直撃した飲食・宿泊、生活関連・娯楽サービス、教育・学習支援、運輸などは赤字転落。7~9月期の企業収益は、内外の活動制限緩和を受けて持ち直しに向かうものの、海外景気の回復が緩慢なうえ、国内でも引き続き3密回避など感染対策の継続が必要なことから、回復ペースは緩やかになると予想。

こちら見てみると、新型コロナ禍において日本経済は大きな打撃を受け、企業の業績にも表面化しています。

この状況の中でおそらく企業はあらゆる手を尽くして生き残りをかけて行動してくるでしょう。

NTTドコモのTOBはその始まりに過ぎません。2021年3月期の後半は、もっと驚くような業界再編が起きる可能性が高い、とみています。

また時に政治もそれを後押しします。規制緩和や業界再編を仕掛けます。新型コロナ禍のような状況では政治の果たす役割が大きいため、どうしても政治の影響力が強くなってしまいます。そして政治は予想が出来ない、というわけです。なぜならば、政治は合理的な判断では動いていないから、です。

AIで経済の動きを予測する。

いくつかはあるようですね。ただ、AIによる経済予測分析は、おそらくアナリストの予測レポートのプラスアルファと考えるべきでしょう。つまり、現在の経済状況、政治状況、規制環境に基づいて判断されるでしょうから、これから起こる将来のことを予測できるわけはありません。

政治的な予測でいえば、大統領選挙がトランプ、バイデンになるかで大きく変わってきます。

バイデンさんが優勢となると規制が厳しくなるのではないか?ということで市場が動揺していることが分かります。

今回、首相交代により菅総理が誕生しました。安倍さんはこうした形で退任することを予測できたでしょうか?

そして菅総理が目玉として挙げている携帯電話料金の値下げ要求により、業界が動きました。NTTの事業再編、NTTドコモのTOB(公開買い付け)による、完全子会社化です。


この状況を一年前のAIが経済予想できたでしょうか?出来ないでしょう。また新型コロナ禍における政治決断においても、緊急事態宣言や臨時休講要請、など予想できない要素が多く発生しました。もちろん、予測できないファクターとしては自然災害も、ですね。不確実な出来事で大きく経済のあり方が変わってしまいます。

では、将来予測が意味がないのか?

といえばそうではありません。むしろ、予測に含まれるファクターを様々な角度から検討すること、に価値があります。

将棋・囲碁をAIで予想させ、最善手を導いたとしても、「なぜその手が最善手なのか?」という答えは説明できないそうです(少なくとも現状は)。となると、その検討プロセスや内容について、人によって考えなければならないところになるでしょう。

藤井二冠は将棋ソフトを使って最善手の検討をしていることを知られています。ですが、いくら最善手を導き出してもそれを解釈する力がないと活かせません。


 将棋ライター・松本博文氏はこういう。「高性能コンピュータが膨大な分析結果をはじき出しても、咀嚼して自分の力にできるかは別問題。超ハイスペックのCPUを使いこなせる藤井二冠の棋力こそ規格外です」

つまり、その場の状況に応じて柔軟に判断できる能力がなければならない、訳です。

その判断の能力を培うために、もちろん、データ分析能力と合わせて企業を分析できる能力も必要でしょう。

この企業の分析に必要なのが会計の力、です。会計を通じて企業の状況を把握することは、動き回る被写体を、会計というカメラで映す行為、に近いものがあります。

被写体である企業を正確に写すためには、前提知識として、経済のことも知っておくとよりよい、です。なぜならば、企業の行動は経済の状況に左右されるから、です。

今回のことがまさに証明していますね。そして会計を通じた企業情報の意味を知るためには、経営学(戦略論、組織論など)、マーケティングを学んでいることが望ましい、でしょう。

そして、会計はカメラです。カメラでどういった絵が取れるかは、カメラ自体の性能、つまり解像度に依拠しています。

性能がいいカメラほどよく映ります。一方で、使いこなすのも難しい、わけです。

企業の売上、収益を見るのがスマホでの写真とすれば、基本となる会計基準や仕組みを知った上での分析がミラーレスのカメラ、より専門性の高い基準を理解した上での分析は高性能レンズを装着したカメラ、といったところでしょう。

企業の動きはダイナミック、です。

その動きを捉えるためには、カメラの技術がいりますし、その企業の生態も、企業が活動している経済のことも勉強していく必要があります。

色々分かっておかないといけないなんて・・・と気が重たくなるかもしれませんが、まずはスマホレベルで見ていけばよいのです。

いきなり高性能なカメラは使いこなせん。まずは映すことに慣れていき、それから徐々にステップアップしていく。経済、企業、会計の知識も付けながら、というのが望ましい、会計の学習のあり方でしょう。

何もかも準備してから!ではありません。

実践しながら学ぶ。

実際の企業のデータを有価証券報告書・四半期報告書等からみて、観察力・考察力を培っていく。少しずつ。

その姿勢こそが現代の会計の学びに必要なことではないでしょうか?




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