こま|はたなかかなこ

こまった人、こまったさん

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記事一覧

20240720/1756

電子書籍を買ったことがない。電子のものが書籍であるというふうにまだ感じられていない。感じることを感じるままにしている。 わたしが本を感じる条件のうち最初に思いつ…

20240712/1115

身体地図の本を読んでいた。メディアでなかなか普段見ないような言葉のやりとりを目にして、これは何が起こっているのだろうと問わずにはいられない。多くの人が同じように…

20240712/0938

上野先生の話を聞いていて、穏やかさな中にある鋭さ、ユーモアに痺れ、なんて美しい議論をする人なのだろうと思った。議論とはかけはなれた議論が席巻する中で、こどもたち…

20240710/2056

ものに記憶が宿りすぎる。触れるとそれが蘇る。たいていは苦い記憶で、その時なんとなく感じた居心地の悪さがありありとよみがってくる。それによって足が止まる、手が止ま…

20240710/2335

リュックからイヤホンを取り出して、ねじれをなおす。わたしは何年もこうしている気がする。あの時は何人もの人がそうしてた。だが、今では見かけない。ものはそんなふうに…

20240709/2053

ぺてん師が持っていたのは定型文とスーツだった。一方で、専門家が持っていたのも定型文とスーツだった。この社会は、定型文とスーツの魔法にかけられている。彼らは言葉と…

20240709/1859

小説を読んでいたら3行ごとに眠くなる。床の上で座していたわたしは、ベッドの上に吸い込まれる。すると、今度は1行ごとに眠くなり、もうどこを読んでいるかわからない。そ…

20240708/2336

【救う】力を貸して悪い環境、困難、危険、苦痛な状態から逃れさせる。助ける。 わたしは書くことに救われていると思う。人はそれぞれ、自分を救う術を持っている。持って…

20240708/2048

言葉が王さまの歴史を語るものになったことが、言葉の誤用、過用につながっているのではないか。そう思って、言葉を優劣をつけるために用いないようにしようと試みる。しか…

20240708/2008

ことばの場所は、戦いの場所でもあった。歴史の言葉は、戦いの末の勝利の物語でもあった。歴史の教科書は時代ごとの王のー権力者のー変遷だった。「いいくにつくろう、かま…

20240707/2147

公式の現実が56ある。現実が56あることが明らかになった。これを1つにすることは現実の矯正である。56のものを1つとして知覚する。56を同時に見ることはできないので、目の…

20230707/2131

面接に落ちることが得意の無職の人。値段をみてカフェにいくお客さん。病院に通うことをやめた患者。トワの部屋の掃除婦。両親から文句を言われることから逃げる人。これら…

20240706/1627

きたろう「いや昨日3ヶ月に一度薬をもらいに病院に行くのね。あの、その、そんな大きなとこじゃないけど。廊下でみんなずーっと待ってるんだけど、順番をね、中に入ってね…

20240708

わたしが蛍光灯が眩しい部屋にいると頭が痛くなる、と言うと、トワは暗い部屋にいると気分が下がるという。わたしの感覚は理解されない。わたしは孤独を感じて落ち込むが(…

20240707

人の考えは、その時にいる時間・空間に占める声たちのvolumeによって決められる。しかし、当人は自分の頭で考えていると思っている。自分で考えた財産だと思っている。個人…

20240706

日本には制度のとしての民主主義はあるが、各人の自覚としてのそれは希薄だといわれてきた。長いものにまかれることが生存の技術であるような圏だからだ。「まったく勝ち目…

20240720/1756

電子書籍を買ったことがない。電子のものが書籍であるというふうにまだ感じられていない。感じることを感じるままにしている。

わたしが本を感じる条件のうち最初に思いつくのは、は継承不可能性だ。たとえば、政治的、社会的要因で今読んでいるものが、未来に読めるとは限らないという感じがある。Amazonでは取り扱う映画が消えたり、現れたりする。それは作品の公開を企業が調整できることを意味する。あるいは、公開状

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20240712/1115

身体地図の本を読んでいた。メディアでなかなか普段見ないような言葉のやりとりを目にして、これは何が起こっているのだろうと問わずにはいられない。多くの人が同じようにこの事態に問いを立て、言語化していた。診断しているものもあった。わからないものには興味が惹かれる。落ち着かなさが発生するから。そこでの解決は、あくまでも当人の解決である。言語化、つまり名付けることは、情報を分類し、コンパクトにすることである

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20240712/0938

上野先生の話を聞いていて、穏やかさな中にある鋭さ、ユーモアに痺れ、なんて美しい議論をする人なのだろうと思った。議論とはかけはなれた議論が席巻する中で、こどもたちは議論を誤解していく。議論は、大きな声を出すもの、人を蹴落とすもの、都合の悪いことは黙るものだと。議論に大きな声は必要ない。大きな声が小さい声をかき消すものとしないために、論証という技術がある。議論に夢中になるほど感情が入り込む。議論に過度

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20240710/2056

ものに記憶が宿りすぎる。触れるとそれが蘇る。たいていは苦い記憶で、その時なんとなく感じた居心地の悪さがありありとよみがってくる。それによって足が止まる、手が止まる。わたしは困っているかもしれない。でも、生活はそういうものだと思う。ものと在るとはそういうことだと思う。すこし想像してみる。可能な限りデジタル化して、すっきりした部屋ですごすことを。そのとき、記憶はどこにいくのだろう?部屋と同じくすっきり

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20240710/2335

リュックからイヤホンを取り出して、ねじれをなおす。わたしは何年もこうしている気がする。あの時は何人もの人がそうしてた。だが、今では見かけない。ものはそんなふうに、当たり前ものものからかつてのものへと姿を変えていく。関わるものはいつも消えかかっている。そこには生死がある。ものに対して、死ぬという感じを抱く人がいる。死にはそこから永遠にいられるという意味がふくまれる。ものには心臓がない。しかし、人はそ

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20240709/2053

ぺてん師が持っていたのは定型文とスーツだった。一方で、専門家が持っていたのも定型文とスーツだった。この社会は、定型文とスーツの魔法にかけられている。彼らは言葉と容姿(服装)で凡人と距離をとり、凡人を眺めている。両手を後ろにまわして、自分は手を汚さないというそぶりを添えて。

本人がしたについて回答を求められたぺてん師は、スーツを着て、したともしていないともいわず薄ら笑いを浮かべた。ぺてん師は熟知し

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20240709/1859

小説を読んでいたら3行ごとに眠くなる。床の上で座していたわたしは、ベッドの上に吸い込まれる。すると、今度は1行ごとに眠くなり、もうどこを読んでいるかわからない。そもそも、読んでいるのかわからない。読んでいるというより文字に触れているというほうが近い。わたしは目を閉じた。わたしは小説を読もうとしていたが、からだは読まなくていいという。

あの日の教科書はよく眠れた。教科書の文体は、体が反応しない文体

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20240708/2336

【救う】力を貸して悪い環境、困難、危険、苦痛な状態から逃れさせる。助ける。

わたしは書くことに救われていると思う。人はそれぞれ、自分を救う術を持っている。持っている、と断定したのは、すべての人にこども時代があったからだ。自分を救うもの、それはこどものとき楽しかったことだ。楽しさという感情とその経験が、そのあと何年にもわかって自分を救うものになっていく。こどものときは、それがわたしを救う術だとわか

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20240708/2048

言葉が王さまの歴史を語るものになったことが、言葉の誤用、過用につながっているのではないか。そう思って、言葉を優劣をつけるために用いないようにしようと試みる。しかし、慣習のなせる技は圧倒的で、わたしの口からは優劣の構造が無意識に発動されてしまう。歩ける人が、歩くことに注意を向けることが難しいように、脳はできてしまうことに関して自動化する。また、やってしまったと反省する。数えきれないほど失敗しながら、

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20240708/2008

ことばの場所は、戦いの場所でもあった。歴史の言葉は、戦いの末の勝利の物語でもあった。歴史の教科書は時代ごとの王のー権力者のー変遷だった。「いいくにつくろう、かまくらばくふ」と暗唱させられていたわたしは、それがいいくにづくりの物語だと思っていた。しかし、それはどうでもよいことでもあった。人名を覚えることが苦手なわたしには、そんな人がほんとうにいたのか、肖像と一致するのかどうかさえ問う余地もなかった。

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20240707/2147

公式の現実が56ある。現実が56あることが明らかになった。これを1つにすることは現実の矯正である。56のものを1つとして知覚する。56を同時に見ることはできないので、目の合った1つを現実にすることにする。そんなふうにする。表面上は。しかし、56あることも現実なので、56も存在し続ける。1の現実の周りでうごめき続ける。これは現実の分裂ではない。もともとわかれたものが複数あった。これは現実の分裂である

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20230707/2131

面接に落ちることが得意の無職の人。値段をみてカフェにいくお客さん。病院に通うことをやめた患者。トワの部屋の掃除婦。両親から文句を言われることから逃げる人。これらの点と点をあわせたところから世界を見ると、ここは地獄かなと思うことがある。

面接に受からないことは不幸なのかと考え、第一印象がとりえの営業の人を観察する。すると、アイロンのかけられた服を着て、黒光りする靴を履いている人の口から、論理だけは

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20240706/1627

きたろう「いや昨日3ヶ月に一度薬をもらいに病院に行くのね。あの、その、そんな大きなとこじゃないけど。廊下でみんなずーっと待ってるんだけど、順番をね、中に入ってね、先生のね。隣にね、ものすごい綺麗な人がね、待合室いたのよ、若い人で。その、でね、何の病気なんですか?ってのをね、聞きたいのをどれだけ抑えたか。苦しかったよ」
おおたけさん「なんだそれ」
(2024年7月3日大竹まことゴールデンラジオ)

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20240708

わたしが蛍光灯が眩しい部屋にいると頭が痛くなる、と言うと、トワは暗い部屋にいると気分が下がるという。わたしの感覚は理解されない。わたしは孤独を感じて落ち込むが(ただトワという一人に理解されなかっただけである)、トワは落ち込むわたしを何も気にする様子がない。

わたしは一人になるしかないと思う。自分の味方は自分しかいないのだと腹を括って、自分を味方のいる場所にいさせてあげるしかないと思う。わたしにと

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20240707

人の考えは、その時にいる時間・空間に占める声たちのvolumeによって決められる。しかし、当人は自分の頭で考えていると思っている。自分で考えた財産だと思っている。個人の思想というものは、多くの場合その人がどの位置を占めているか、ということしか表しえない。それは環境によって規定されるものであり、環境は各人を超えたところにある。各人を超えたところにあるものを、自分のものであると思い込み、わたしの思想と

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20240706

日本には制度のとしての民主主義はあるが、各人の自覚としてのそれは希薄だといわれてきた。長いものにまかれることが生存の技術であるような圏だからだ。「まったく勝ち目のない強い相手には、抵抗するより諦めて従ったほうがよい」

強いものは少数派で、弱いものは多数派だ。強いものの仕事は、弱いものが適当に死なない程度に弱いままでいるようにすること。弱いものが強くなっては困るのだ。弱いものが強くなる戦略として最

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