矢口 季男(天風哲学を経営に活かす)

主に小規模企業を対象に経営コンサルタントを行っています。約37年間、2万人以上の社長さ…

矢口 季男(天風哲学を経営に活かす)

主に小規模企業を対象に経営コンサルタントを行っています。約37年間、2万人以上の社長さんと向かい合ってきました。 これらの経験から学んだことと天風哲学を学んだこと、この両方との関連性にはかなり多くの共通点があることを感じました。

最近の記事

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 12

今の業績は過去経営の証である(12) 現在おかれている自社の経営状態は、過去から現在まで経営に対し取り組んできた業績結果の証といえる。5年前、3年前の経営に対する考え方や経営に対する意気込みが時間とともに今日を創ったものであり、今の業績に現れたものである。 もし、5年前、10年前と比べて業績が落ち込んでいるならば、その間の努力が足らなかったのか、あるいは間違った考え方や行動だったのか、または景気や社会情勢など外的要因によって影響されてきたからなどであろう。 このような会社が

    • 天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 11

      心ひとつの置きどころ 11 毎日、夜寝るときに必ず部屋のガラス戸の鍵をかけ、朝起きてウォーキング時に鍵を開けるのが習慣である。今日は朝起きて「ふっと」と思ったことがある。それは鍵が開いていたのだ。てっきり閉めて寝たつもりが開いていたのだ。 もし、空いていることがわかって寝ようとしても心配が先に立って熟睡はできなかったと思う。知らなかったから心配せずに熟睡できたのである。このことは心の働き、すなわち自分の意識が心配を感じたり、あるいは感じさせないという思いや行動を起こす原因と

      • 天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 9-2

        経営は単純に考えるべき(9-2) 今年に入り、同じような(9-1の内容と)相談が続いており、その内容は「儲からない」という企業からの相談である。ある建設業からの相談であるが、この会社は前社長(現社長は前社長の妻)の死去後社長となり9年が経っている。決算書をみると6期連続赤字、金融機関からの借入も増加し、今はニューマネーも難しくなり社長本人の個人資金を会社に入れている。 一般住宅などの新改築工事を主体としているが、受注後はほぼ100%外注に頼っている。したがって、赤字の原因

        • 天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 10-2

          成長とは変化すること(10-2)  企業にあてはめてみれば、社長が変らなければ会社は変わらないし、変化しない会社は衰退する。「変わる」には「動く」(アクション)ことが絶対条件であり、動けば成長する確率も高くなる。 また、例え動いた結果が失敗しても、動いたことで問題点や課題が明らかになり、次の成功への糧となる。だから動くことが必要なのだ。  「石橋を叩いても渡らない」人がいるが、これらの人たちに共通点がある。私の経験からみると、学歴が高くインテリ的な人たちが多く、ま

        天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 12

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 10-1

          成長とは変化すること(10-1)  ある行動や動きをしようとすると、そこには労力や時間を費やすることになり、できるだけやらない、楽をする・・・と思うのは誰でもが考えることである。好きなことであれば、多少の苦労は何とも思わないで積極的に取り組むし。しかし、嫌なことや面倒なことならはできるだけ避けようとするのが人間の性である。  経営者(社長)が会社経営の窮境状態に陥ると、とりあえず今の状態から脱却するため手の届く範囲内での行動に移る。しかし、本来取り組むべき重要案件である「

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 10-1

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 9-1

          経営は単純に考えるべき(9-1)  私の最近(2023~2024年)の相談経験から話してみたい。県北のある和洋菓子製造販売業の件であるが、この会社は創業100年以上の老舗会社で観光客などを対象とした土産店として発足。その後事業拡大に波に乗り、現在の売上高の70%以上は首都圏の量販店など向けの卸売業である。  当初は観光地である当地に2店舗を出店、取り扱う菓子類は味や見栄えが良く、ネームバリューもあり、また老舗ということから安定的な商売がなされていた。しかし、さらなる売上拡大の

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 9-1

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 8-2

          社長の気持ちの持ち方は重要(8-2) 前回からの続き ③ 気の持ち方によっては命を落とす-その1 1883年、オランダで国事犯を使って一つの実験が行われた。ひとりの人間からどれだけの血液をとったら人間は死ぬものかというもの。医師団はブアメード(国事犯)をベットの上に縛り付けて周りで話し合いをする。「1/3の血液を失ったら人間は死ぬでしょう」という結論に達した。 医師団は「これから実験を始めます」といって、ブアメードの足の親指にメスを入れた。数時間が過ぎた。医師団は「どれくら

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 8-2

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 8-1

          社長の気持ちの持ち方は重要(8-1)  今回は堅い話から離れ、「眼からウロコが落ちる本」(笠巻勝利著)から引用してリラックスしてみたい。すべて実話に基づいています。 ① アメリカの心理学者エルマ・ゲイツ博士の人間の吐き出す息を使った実験  ■ 健全な人間の吐き出す息は無色  ■ 怒っているときの息の沈殿物の色は栗色  ■ 悲しんだり、苦しんだりしているときの息の沈殿物は灰色  ■ 後悔して苦しんでいるときの息の沈殿物は淡紅色   栗色の沈殿物を水に溶かしネズミに

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 8-1

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 7-2

          社長の心構えと必要な考え方(7-2) ④ 経営がうまくいかない場合の責任 ダメな社長の共通点に経営がうまくいっていない場合の原因を社長自身以外に置いている。業種・業態にもよるが一般的には自分以外の他人などであり、それが競合店であったり、立地であったり、景気であったり、あるいは従業員や取引先に起因していると判断している。 逆に経営がうまくいっている社長は、例え今回のコロナ禍においての業績不振であっても、自らの判断ミス、対応ミスによって回避できなかったと前向きに捉え、社長自ら

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 7-2

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 7-1

          社長の心構えと必要な考え方(7-1) 中小規模企業の盛衰の原因を追っていくと、最終的には社長の心構えや考え方に起因している例が多い。一方、経営管理や知識、技術、手法などノハウツー的な知識も重要な要素となる。 前者を経営者の「人間力」、後者を「経営力」というならば、この両者がバランスよく確立されていなければ安定経営は難しい。特に前者の人間力が安定経営の前提条件となる。 では、どのような社長が安定的な経営を行う人間力を持っているのかをみると、これまた共有点がある。これを天風哲学か

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 7-1

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 6-2

          社長、その考え方で大丈夫ですか(6-2)  次に小規模企業の社長の役割や責任について考えていきたい。下図は先ほどのピラミッド図の全く正反対の逆ピラミット図であり、小規模企業における社長の責任の重さを表している。すなわち社長が企業全体を支えている。従業員が少ないため組織化の必要性はなく、むしろ社長の意思決定力が会社の存亡を決定づける。 小規模企業や創業間もない一部の企業などはいつ倒れてもおかしくない状態にあり、またその支えとなっているのは社長一人である。したがって、社長の意

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 6-2

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 6-1

          社長、その考え方で大丈夫ですか(6-1) 小規模企業に組織は必要か、その前に組織とは何かを考えてみたい。組織とは、企業などにおいて二人以上が共通の目的を遂げようとする場合に必要な「分業」と「調整」の仕組みといえる。 社内での部門や役職の相互関係、また指揮系統や予算の配分、役割や権限を明確にすることといえる。また、組織図の作成目的は、組織管理のために役立たせ機能をスムーズにするためともいえる。 しかし、小規模企業でも社長に就くと、社屋の有無、従業員数や売上規模、さらに自らの

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 6-1

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 5-2

          当社の使命とは (5-2) したがって、企業は規模の大小、顧客層、市場、商品やサービスなどに関係なく、その企業を必要としている人達や企業などが存在している以上、価値を果たしているといえる。ただ、ここで考えなくてはいけないのは、企業の存在価値と存続とは違うことである。いくら価値を果たしていると思っていても、業績不振で存在が危ぶまれる企業もある。いわゆる企業存続のため資金を稼ぐことができない場合は、必然的に市場から去らなければならない。 ここに企業の存在価値だけではなく企業存

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 5-2

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 5-1

          当社の使命とは (5-1) 企業が存在する意義はどこにあるのだろうか。同様に人間は何のために生まれてきたのだろうか。両方とも共通の課題が含まれており、回答も一つに集約できるのではないだろうか。 私たちが生まれてきたことは偶然でもなく必然的でかつ必要だから、すなわち生まれるべきして生まれたのであって明確な目的があるはずである。 この問いに対する回答は人それぞれの解釈があり、どれが正解であるかどうかは定かではないが、経営に携わる人間であれば、この点を明確にして対応していくこと

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 5-1

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 4-2

          正しい経営とは何か!(4-2) 一方、経営が成り立つためには、適正利益を獲得して企業の維持発展を行っていかねばならない。その中には人件費や光熱費などその企業が必要とする経費が維持でき、さらに税金や社会保険、あるいは借り入れがあれば返済原資なども賄わなければならない。 ということは、必要経費を賄うだけの利益を獲得しても顧客が十分に満足できる商品やサービスを提供していかねばならないことになる。 ここに正しい経営の根幹は、企業が維持するための必要最低限の経費等を賄うだけの利益を獲得

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 4-2

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 4-1

          正しい経営とは何か!(4-1) 経営とは一般的に複数の人が協力して、その会社の目的・役割を果たすためにある。その目的や役割は何かというと、当社が扱う製品や商品そしてサービスなどを通して、これらを必要とする人たちに適正価格でスムーズに提供することにある。その結果は満足を伴うものでなければならない。 こう考えると、あらゆる会社は、その会社の提供するモノやサービスによって社会全体、あるいは個々の人たちに役立つことを行ない、強いてはこの行為が社会全体の進化と向上をもたらしているも

          天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 4-1