矢口 季男(天風哲学を経営に活かす)

主に小規模企業を対象に経営コンサルタントを行っています。約35年間、1万人以上の社長さ…

矢口 季男(天風哲学を経営に活かす)

主に小規模企業を対象に経営コンサルタントを行っています。約35年間、1万人以上の社長さんと向かい合ってきました。 これらの経験から学んだことと天風哲学を学んだこと、この両方との関連性にはかなり多くの共通点があることを感じました。社長自身の資質や考え方に触れていきたいと思います。

記事一覧

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 7-2

社長の心構えと必要な考え方(7-2) ④ 経営がうまくいかない場合の責任 ダメな社長の共通点に経営がうまくいっていない場合の原因を社長自身以外に置いている。業種・業…

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 7-1

社長の心構えと必要な考え方(7-1) 中小規模企業の盛衰の原因を追っていくと、最終的には社長の心構えや考え方に起因している例が多い。一方、経営管理や知識、技術、手法…

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 6-2

社長、その考え方で大丈夫ですか(6-2)  次に小規模企業の社長の役割や責任について考えていきたい。下図は先ほどのピラミッド図の全く正反対の逆ピラミット図であり、小…

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 6-1

社長、その考え方で大丈夫ですか(6-1) 小規模企業に組織は必要か、その前に組織とは何かを考えてみたい。組織とは、企業などにおいて二人以上が共通の目的を遂げようとす…

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 5-2

当社の使命とは (5-2) したがって、企業は規模の大小、顧客層、市場、商品やサービスなどに関係なく、その企業を必要としている人達や企業などが存在している以上、価値を…

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 5-1

当社の使命とは (5-1) 企業が存在する意義はどこにあるのだろうか。同様に人間は何のために生まれてきたのだろうか。両方とも共通の課題が含まれており、回答も一つに集約…

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 4-2

正しい経営とは何か!(4-2) 一方、経営が成り立つためには、適正利益を獲得して企業の維持発展を行っていかねばならない。その中には人件費や光熱費などその企業が必要とす…

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 4-1

正しい経営とは何か!(4-1) 経営とは一般的に複数の人が協力して、その会社の目的・役割を果たすためにある。その目的や役割は何かというと、当社が扱う製品や商品そしてサ…

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 3-2

社長の仕事は「金の管理」と「人の管理」で十分(3-2) 人の管理とは、命令や指示をすることだけをいうのではない。従業員一人ひとりのモチベーションを高め、自ら率先して…

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 3-1

社長の仕事は「金の管理」と「人の管理」で十分(3-1) ここでは小規模企業の場合を例にとって述べる。極端なことかもしれないが、私の経験からいえることは、社長の仕事(…

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 2-2

なぜ、社長の責任は重いのか(2-2)  社長に問題があれば、従業員や取引先にも影響が波及し不幸な状況に追い込まれることになる。社長の舵取りの良し悪しは多くの人たちの…

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 2-1

なぜ、社長の責任は重いのか(2-1) 従業員は常に社長の言動を注目している。従業員からみれば、社長はその組織体のトップに立つ長であり、社長の考え方や手腕によって会社…

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 1

社長のあるべき姿を考える(1) 小規模企業の相談を36年間行い、その数は約2万社以上となる。同時に中村天風氏の教えや考え方を自己流で勉強し、その教えから社長の抱く哲…

相談事例と天風哲学(事例-19)24

(菓子製造業の例-19) 観光地に立地している当社は3代目と続く老舗の菓子製造・卸・小売業である。古くから土産品などの高級菓子なども扱い、品質、味、見た目とも優れた…

相談事例と天風哲学(事例18) 23

(太陽光発電装置工事業の例-18) 当社は太陽光発電装置の取り付け工事などを主体に行っている会社である。太陽光装置では国内でも有名メーカの代理店を早くから取得、県…

相談事例と天風哲学(事例17) 22

(自ら決断できない経営者の例-17)  突然の電話での相談、年齢は40代後半の男性からである。U商工会議所で5回の創業塾を経て、いよいよ卒業の段階になり、来週は各自…

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 7-2

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 7-2

社長の心構えと必要な考え方(7-2)
④ 経営がうまくいかない場合の責任
ダメな社長の共通点に経営がうまくいっていない場合の原因を社長自身以外に置いている。業種・業態にもよるが一般的には自分以外の他人などであり、それが競合店であったり、立地であったり、景気であったり、あるいは従業員や取引先に起因していると判断している。

逆に経営がうまくいっている社長は、例え今回のコロナ禍においての業績不振であ

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天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 7-1

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 7-1

社長の心構えと必要な考え方(7-1)
中小規模企業の盛衰の原因を追っていくと、最終的には社長の心構えや考え方に起因している例が多い。一方、経営管理や知識、技術、手法などノハウツー的な知識も重要な要素となる。
前者を経営者の「人間力」、後者を「経営力」というならば、この両者がバランスよく確立されていなければ安定経営は難しい。特に前者の人間力が安定経営の前提条件となる。
では、どのような社長が安定的な

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天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 6-2

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 6-2

社長、その考え方で大丈夫ですか(6-2)
 次に小規模企業の社長の役割や責任について考えていきたい。下図は先ほどのピラミッド図の全く正反対の逆ピラミット図であり、小規模企業における社長の責任の重さを表している。すなわち社長が企業全体を支えている。従業員が少ないため組織化の必要性はなく、むしろ社長の意思決定力が会社の存亡を決定づける。

小規模企業や創業間もない一部の企業などはいつ倒れてもおかしく

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天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 6-1

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 6-1

社長、その考え方で大丈夫ですか(6-1)
小規模企業に組織は必要か、その前に組織とは何かを考えてみたい。組織とは、企業などにおいて二人以上が共通の目的を遂げようとする場合に必要な「分業」と「調整」の仕組みといえる。
社内での部門や役職の相互関係、また指揮系統や予算の配分、役割や権限を明確にすることといえる。また、組織図の作成目的は、組織管理のために役立たせ機能をスムーズにするためともいえる。

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天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 5-2

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 5-2

当社の使命とは (5-2)
したがって、企業は規模の大小、顧客層、市場、商品やサービスなどに関係なく、その企業を必要としている人達や企業などが存在している以上、価値を果たしているといえる。ただ、ここで考えなくてはいけないのは、企業の存在価値と存続とは違うことである。いくら価値を果たしていると思っていても、業績不振で存在が危ぶまれる企業もある。いわゆる企業存続のため資金を稼ぐことができない場合は、必

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天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 5-1

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 5-1

当社の使命とは (5-1)
企業が存在する意義はどこにあるのだろうか。同様に人間は何のために生まれてきたのだろうか。両方とも共通の課題が含まれており、回答も一つに集約できるのではないだろうか。

私たちが生まれてきたことは偶然でもなく必然的でかつ必要だから、すなわち生まれるべきして生まれたのであって明確な目的があるはずである。
この問いに対する回答は人それぞれの解釈があり、どれが正解であるかどう

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天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 4-2

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 4-2

正しい経営とは何か!(4-2)
一方、経営が成り立つためには、適正利益を獲得して企業の維持発展を行っていかねばならない。その中には人件費や光熱費などその企業が必要とする経費が維持でき、さらに税金や社会保険、あるいは借り入れがあれば返済原資なども賄わなければならない。
ということは、必要経費を賄うだけの利益を獲得しても顧客が十分に満足できる商品やサービスを提供していかねばならないことになる。
ここに

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天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 4-1

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 4-1

正しい経営とは何か!(4-1)
経営とは一般的に複数の人が協力して、その会社の目的・役割を果たすためにある。その目的や役割は何かというと、当社が扱う製品や商品そしてサービスなどを通して、これらを必要とする人たちに適正価格でスムーズに提供することにある。その結果は満足を伴うものでなければならない。

こう考えると、あらゆる会社は、その会社の提供するモノやサービスによって社会全体、あるいは個々の人た

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天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 3-2

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 3-2

社長の仕事は「金の管理」と「人の管理」で十分(3-2)
人の管理とは、命令や指示をすることだけをいうのではない。従業員一人ひとりのモチベーションを高め、自ら率先して動くように仕向けることである。それには、会社の目的や理念を理解し、全員が一体として同じ方向に向かって動くようにすることである。
まず、社長自身が会社の目的や理念を明確に理解していなければ、社長の背中をみている従業員には伝わらない。当社の

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天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 3-1

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 3-1

社長の仕事は「金の管理」と「人の管理」で十分(3-1)
ここでは小規模企業の場合を例にとって述べる。極端なことかもしれないが、私の経験からいえることは、社長の仕事(管理)とは「金の管理」と「人の管理」で経営の80%以上をこなしたといってもよい。しかし実態は「金の管理」から逃げている姿が多く見受けられる。社長の奥さんや身内、あるいは従業員に経理を任せ、自らは営業や現場の仕事を優先している姿である。

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天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 2-2

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 2-2

なぜ、社長の責任は重いのか(2-2)
 社長に問題があれば、従業員や取引先にも影響が波及し不幸な状況に追い込まれることになる。社長の舵取りの良し悪しは多くの人たちの生活にも影響し、ひいては雇用や税金などを通して社会全体の貢献度にも影響する。
だから社長の考え方や資質は重要であり、そのことに対して十分な認識をもって行動しなければならない。失敗は許されないのであり、常に安定経営を持続させていかねばなら

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天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 2-1

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 2-1

なぜ、社長の責任は重いのか(2-1)
従業員は常に社長の言動を注目している。従業員からみれば、社長はその組織体のトップに立つ長であり、社長の考え方や手腕によって会社の将来が左右されてしまう。このような会社の舵取りを行う権限と責任を従業員が認めているからである。

従業員は社長の言動の一言一動が将来の行方を方向づける力があることを認め、常に会社の将来に対し希望や憂いを抱いている。だから、業界の動向

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天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 1

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 1

社長のあるべき姿を考える(1)

小規模企業の相談を36年間行い、その数は約2万社以上となる。同時に中村天風氏の教えや考え方を自己流で勉強し、その教えから社長の抱く哲学や心構えの大切さを身にしみて感じている。結局、企業経営の良し悪しは社長が抱く、哲学、考え方、心の持ち方、資質など(以下、考え方という)で決定づけられるということである。
特に企業のトップである社長の考え方は日常の経営活動を通じて、従

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相談事例と天風哲学(事例-19)24

相談事例と天風哲学(事例-19)24

(菓子製造業の例-19)
観光地に立地している当社は3代目と続く老舗の菓子製造・卸・小売業である。古くから土産品などの高級菓子なども扱い、品質、味、見た目とも優れた和菓子店である。この地に2店舗を構えていたが、観光地であるという立地条件から春先から秋頃までは安定しているが、冬場は客足が途絶える。この対応策のため卸売りを強化、売上拡大はできたものの利益が出ず、過去9年間のうち8年間が赤字となっている

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相談事例と天風哲学(事例18) 23

相談事例と天風哲学(事例18) 23

(太陽光発電装置工事業の例-18)
当社は太陽光発電装置の取り付け工事などを主体に行っている会社である。太陽光装置では国内でも有名メーカの代理店を早くから取得、県内を始め関東一円を市場としている。多い時の従業員は6~7名いたが、現在は社長と事務職1名となった。

 仕事は忙しくかなりの注文を受けていたが、従業員の定着は悪く、仕事をこなすことができなくなり業績は悪化、金融機関への返済も滞り、リス

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相談事例と天風哲学(事例17) 22

相談事例と天風哲学(事例17) 22

(自ら決断できない経営者の例-17)
 突然の電話での相談、年齢は40代後半の男性からである。U商工会議所で5回の創業塾を経て、いよいよ卒業の段階になり、来週は各自が自分の思いを発表するとのこと。

 奥さんに聞いてもらいたく、発表会に来てもらうよう話をしたところ大反対された。現在、サラリーマンで娘が大学生とのこと、お金がかかり安定収入を蹴ってまで創業することはないとの反対だったらしい。どう対応し

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