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天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 7-1

社長の心構えと必要な考え方(7-1)
中小規模企業の盛衰の原因を追っていくと、最終的には社長の心構えや考え方に起因している例が多い。一方、経営管理や知識、技術、手法などノハウツー的な知識も重要な要素となる。
前者を経営者の「人間力」、後者を「経営力」というならば、この両者がバランスよく確立されていなければ安定経営は難しい。特に前者の人間力が安定経営の前提条件となる。
では、どのような社長が安定的な経営を行う人間力を持っているのかをみると、これまた共有点がある。これを天風哲学からみてみると、次のような点に集約できる。
 
① まず人間をつくれ、それからが社長である
 天風氏の言葉に次のような文言がある。「事業をしている人、その心に信念があるか、どこまでも人間をつくれ、それからあとが経営であり、あるいはまた事業である」という内容である。
 
国内の企業数は約382万社、うち中小規模事業数は約320万社と言われ、法人のうち約70%弱が赤字というデータがある。この原因はいろいろ考えられるが、特に小規模企業になればなるほど社長の考え方や心構えが大きく影響することは間違いない。
 
前述した天風氏の言葉を借りれば、経営の良し悪しは社長の人間性にあるといっても過言ではない。しかし、現実的な経営の実態をみると、技術や管理、知識などハウツーを優先し、社長の人間性を問うことは少ないのではないだろうか。
 
② 経営の目的をどこに置くか
経営の目的を「儲け」や「売上高」を上げるという点を掲げることは特に問題はないが、それが自分の欲望実現や自己都合のためであってはならない。あくまでも経営の対象者となる顧客や取引先に対する貢献や役割が先にあるべきである。
その結果として適正利益が獲得され、相手とする顧客などに満足等を与え、広く世の中に貢献することが目的とならなければならない。
 
また、天風氏の言葉を借りれれば、「人間は進化と向上のために生まれてきた」とあるが、企業経営でも同じ考え方であり、現在の経営が成り立っているとすれば、それは少なくとも自社の経営が維持できる利益が得られているのであり、同時に相手(顧客等)にも役立っているのである。
 
③ 社長自身の性格に積極性はあるのか
 特別なケースを除いて一定期間など期限を設けて行う経営はない。一般的には永続的に続けていくことになり、場合によっては後継者に引き継いでいくのが経営である。故に一時的な好成績という状態ではなく、常に安定的な成績を維持していく必要がある。
 
そのためには、会社のトップである社長の気持ちや考え方が重要となる。まず、弱音とか悲観や否定的な消極的な態度などは、絶対に排除しなければならない。常に前向きで積極的な心構えと考え方が必要となる。
 
仮に厳しい状態に追い込まれても、前向きに心持ちっで対応する必要がある。例えば売上高や利益確保が厳しくなり、資金繰りが悪化したとしてもひるまず、このような状況に置かれたのは今後の良い方向に向かうための試練だと、前向きに捉える必要がある。
 
このような状態を天風氏は、「心ひとつの置きどころ」と表現しているが、どんな苦しい状態に追い込まれても前向きに考えることが重要だと説いている。

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