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天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 7-2

社長の心構えと必要な考え方(7-2)
④ 経営がうまくいかない場合の責任
ダメな社長の共通点に経営がうまくいっていない場合の原因を社長自身以外に置いている。業種・業態にもよるが一般的には自分以外の他人などであり、それが競合店であったり、立地であったり、景気であったり、あるいは従業員や取引先に起因していると判断している。
 
逆に経営がうまくいっている社長は、例え今回のコロナ禍においての業績不振であっても、自らの判断ミス、対応ミスによって回避できなかったと前向きに捉え、社長自ら新たな構造などの対応を積極的に実行して乗り切ったという例もみられる。
 
天風氏は、「たとえ事業がうまくいかない時でも。間違いがあったのを点が教えてくれると考えなさい」という言葉を残している。
 
また、因果関係というものは原因無くして結果はないということである。会社経営において、その業績には波があり、常に安定して続くことはあり得ない。業績悪化を招いても、その原因は自らまいた種に花が咲いたように、自ら行ってきた行動や意思決定などの結果であると判断や理解できるかどうかも重要である。
 
これを自分以外の原因とするか、自らまいた種に原因があったと判断できるかどうかは、次の経営にも大きく影響するものである。天風氏の言葉に「蒔いた通りに花が咲く」というのあり、もう一度かみしめてみたいものである。
 
⑤ 経営に対し自分の考え方や思うことが強いかどうか
 天風氏は「人間の心で行う思考は、人生の一切をつくる・・・」、と言っている。これは経営を行う上でも重要な言葉であり、「こうなりたい、こうしたい・・・」など、将来に対する思いを強く持つことが実現に近づくことを意味している。ただ重要なのは、自分の利欲や名聞、そして野心的な欲望にとらわれないことが前提となる。
 
このように積極的な思いを自らの利欲を離れて常に思い続けていくことで実現に近づく。具体的にいえば、願いや夢など自ら思うことは、知らず知らずのうちに潜在意識にインプットされ、行動や言葉となって具現化されるのである。
 
⑦ 計画の作成と達成の思いを強く持つこと
事業を行う上で重要な事項の一つに、「経営計画を立てる」ことが挙げられる。旅行をする場合でも、事前にどこに行くのか、何日かけるのか、それぞれの行程、そして予算など、いくつもの課題を明らかにして出発するのが一般的である。
 
同様に経営においても、会社の目的や目標、そして具体的な設備や人の投資などを事前に計画し、具体的に中長期計画書として作成していくのが経営計画書で、いわゆる経営の道しるべである。何の目的もなく日々の経営活動の積み重ねではなく、目標などを定め、その目標達成のための行動計画を作成し実行することにある。
 
計画書を作成しただけでは意味はない。作成後が重要である。その計画を必ず達成するという強い思いが必要となり、この思いが目標実現のための原動力となる。そして、この思いが強ければ強いほど達成の確立も高まることになる。天風氏は、「新しき計画の成就は、只不撓不屈の一心にあり、さらばひたむきに只想え、気高く、強く、一筋に・・・」と言っている。

⑧ 意思決定の重要性
 社長の仕事の中でも特に重要で頻繁に起きるのが意思決定である。経営の方向性やイエス、ノーの判断に迫われる機会はかなり多い。経営の方向性を左右する重要な意思決定は、社長自ら行う独占的な権限であり、その判断を専門家のような他人に聞いて判断するようでは社長の資格はない。
 
天風氏の言葉を借りれば、「自分で考えて考え切れないことはするな。経営において右に行くか、左に行くのか重大な岐路に差しかかたとき、他人に聞いて判断するようならやめてしまえ。できないこともやってみるという気持ちが継続されると、一つの理想になる」と断言している。
 
 また曖昧な態度や間違った判断では経営はうまく運ばない。まさに的確かつ瞬時の判断、いわゆる意思決定が必要となるのである。ただ、その意思決定が絶対的なものであるかどうかは、やってみなければわからないが、最良であるとの判断のもとに行われる。
例え、それが結果的に誤った判断だとしても、その時点で修正していけば良いのであって経営とはこのような意思決定の連続といえよう。
 
 

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