見出し画像

天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 9-2

経営は単純に考えるべき(9-2)
今年に入り、同じような(9-1の内容と)相談が続いており、その内容は「儲からない」という企業からの相談である。ある建設業からの相談であるが、この会社は前社長(現社長は前社長の妻)の死去後社長となり9年が経っている。決算書をみると6期連続赤字、金融機関からの借入も増加し、今はニューマネーも難しくなり社長本人の個人資金を会社に入れている。
 
一般住宅などの新改築工事を主体としているが、受注後はほぼ100%外注に頼っている。したがって、赤字の原因は明白で経費を賄う利益が取れていないことである。建設業であるが実行予算などによる原価管理は必要なく、単純に外注に依頼するなら受注額に適正利益をつけて発注すれば何ら問題はないのである。
しかし、それができない。当たり前のことをできないのなら経営者失格といっての過言ではないだろう。しかし、このような単純なことができないのである。
 
また、地方の青果市場の仲卸業の例であるが、この会社は市場から青果物を仕入れて地元のスーパーマーケットなどの量販店を相手に納入している。卸売りなので小売業などと比べても売上高は大きい。
その中でも主力となる量販店に対し、販売促進費いという名目でバックマージンを支払っているが、この販売促進費は売上高に対し3%となっている。
 
卸売業は薄利多売の業種であり、1%の利益率が業績を左右するほど大きな額となる。当社はこの販売促進分が赤字となり、毎年このような状態が続いている。そのため資金繰りは悪化、現在は金融機関に対する返済も条件変更して減額している。
 
この二つの例を見てわかるように、経営悪化の原因は単純明快で何ら難しいことはなく、この対応策もハッキリしている。なぜ改善できないのだろうか、と思うのは素人でもわかる。
しかし社長にとっては難しく複雑な案件なのである。簡単にいえば、もしこれ以上利益を取ると取引停止となり商売の継続ができないのではないだろうかと心配なのである。
 
ここで商売とは何だろうか、商売の原点について考えてみよう。商売や事業は必ず顧客など相手が存在し、自社の商品やサービスなどを通じて顧客に利便性や必要性などを提供して対価を得るものである。
この関係が続く限り、双方の取引は永続的に続くことなる。しかし、どちらか一方にこの関係を続けことができない事象が起きたら、取引はストップすることになる。
 
今回の事例では、両社とも取引き先との継続が難しくなる事業が起きてしまったことになる。すなわち、事例の2社とも赤字続きで事業の継続ができなくなってきたのである。もし、このままこの状態が続けば双方(自社、取引会社)にとって不幸なことである。
この不幸な状態を避けるには、適正利益を獲得し、赤字からの脱皮であった。こんな簡単なことが、なぜできないのだろうか、適正な利益をつけて商売をすべきであったのにやらなかったことが問題なのである。
 
仮に適正利益をつけた場合に納入価格が上がってしまって取引ができないとなれば、当社は潔くこの取引から撤退すべきなのである。それ以上に低価格で取引ができる努力を双方で行えばよいのであって、マイナス利益で取引を続けていくことこそ問題なのである。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?