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天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 8-2

社長の気持ちの持ち方は重要(8-2)
 前回からの続き

③ 気の持ち方によっては命を落とす-その1
1883年、オランダで国事犯を使って一つの実験が行われた。ひとりの人間からどれだけの血液をとったら人間は死ぬものかというもの。医師団はブアメード(国事犯)をベットの上に縛り付けて周りで話し合いをする。「1/3の血液を失ったら人間は死ぬでしょう」という結論に達した。
医師団は「これから実験を始めます」といって、ブアメードの足の親指にメスを入れた。数時間が過ぎた。医師団は「どれくらいになりましたか」「まもなく1/3になります」。それを聞いたブアメードは静かに息を引き取った。実際は医師団は足にメスを入れたのではなく、痛みを与えただけだった。
 
 ②のがんの話では明るい希望を持つことで「病気を回復した」との例であったが、③では健全な人であれ、気の持ち方によっては命を落とすという逆の話である。
 
④ 気の持ち方によっては命を落とす-その2
  アメリカのある鉄道会社の作業員が、冷凍庫の中に入って作業をしていた。ところが、中に人が入っているとは思わず外から鍵をかけてしまった。それから1日後、作業員は発見されたが凍死していたという。しかし、実際は冷凍庫の電源は切れていた。 
 
④の例も同様であり、人は医者や権威のある人の話はすべて聞き入れてしまうという先入観がある。しかし、専門家の意見なども間違いや勘違いなど、あるいはお互いの意思のミスマッチによって勘違いや常識などが通じない例も多々見受けられる。
 
 重要なのは、自らの信念を持つことであり、参考程度に専門家等の意見を聞くにとどめることである。聞く耳は大切であるが、その意見に従うことなく自らの考え方や意思と比較し、場合によってはこれら専門家の意見も参考程度にして自らの信念を押し通す力がなければならない。
 
 経営の談に乗っていると、会社がうまくいっている社長には共通点があることがわかる。それは「他人の話をよく聞くと」ということである。その経験から言えば、「繁盛している会社」、「儲かっている会社」、「経営が伸びている会社」の社長は、相談時にはまず話をよく聞いてくれる。
よく聞いてくれるから、こちらも一生懸命答えようとする。一方、ダメな社長の共通点は話の途中で意見を挟み、できない理由に理屈をつけながら見事に反論する。これでは相談を受ける側も一生懸命に応じる気持ちが薄れてくる。
 
 また、話をよく聞く社長は、当方の回答をそのまま実行するかというと、必ずしもそうではない。共通しているのは、まず、相手の話をよく聞き、聞いたら内容を自ら咀嚼し、参考としながら自分でアレンジして回答を出して行動に移しているのがほとんどである。
 
社長自身がしっかりした信念を持つと、他人の意見を100%うのみにするのではなく、あくまでも自分の考え方や信念に付加してより強固な方向性を生み出しているのである。
 
 では、信念とは何か、中村天風氏の言葉を借りれば、次のようになる。
「自分の現在持っている心の中の考え方や思い方が、自分の今を作った。自分の念願や宿願、思うことや考えることが叶うとか叶わないとこととかは、その原因が自分の外にあるのではなく、すべて自分の中にある」と。

そして、さらに
「信念というものは、人間の各自の心の中にだれでも持っている、ああなりたい、こうなりたいというデザイヤーとホープというものを、それを現実な形にしてくれる原動力となるものだということをはっきり、疑わないで自分の心の中にしっかり持っている人間にならなければいけない」。要は経営におけるすべての結果は、社長自身の心構え、思い、考え方で決まるということはないだろうか。


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