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天風哲学で学ぶ社長のあるべき姿 12

今の業績は過去経営の証である(12)
現在おかれている自社の経営状態は、過去から現在まで経営に対し取り組んできた業績結果の証といえる。5年前、3年前の経営に対する考え方や経営に対する意気込みが時間とともに今日を創ったものであり、今の業績に現れたものである。

もし、5年前、10年前と比べて業績が落ち込んでいるならば、その間の努力が足らなかったのか、あるいは間違った考え方や行動だったのか、または景気や社会情勢など外的要因によって影響されてきたからなどであろう。
このような会社が今の考え方ややり方をそのままにして今後5年後、10年後まで引きずっていくのならば、さらなる業績の悪化は避けられないだろう。

経営における現状把握は重要であり、この把握・分析とそれに基づいた行動が将来や未来の方向性を決定づける要因になっていることは間違いない。
実は現在のおかれている「状態」が良くも悪くも過去経験がもたらした結果であることを認識しなければならない。また、業績が安定かつ順調であるならば「今のやり方を続けなさい・・・」と、逆に業績悪化を招いていたのなら「今までのような経営をやっていては大変なことになりますよ・・・」とのアドバイスであると耳を傾け、気持ちを引き締め、あるいは対策を練らねばならない。

仮に5年前、10年前に遡って、その時点で将来に向かって夢や目標を描き、前向きに努力したなら、現在のような結果とはならなかったに違いない。夢や希望を抱くということは、それが潜在的な気持ちにインプットされ、結果として前向きな行動に結びつくものである。

したがって、今やるべきことは過去の振り返りではなく、将来に対する目標を明確に定め、それを実現するために具体的なアクションプランを立てることである。

過去結果が現在を招いたのであれば、将来のあるべき姿の実現は、今からスタートする必要がある。今からでも遅くはない、将来に向かって明確な夢や目標を定め、それに向かって努力していくことが、描いた目標や夢は実現するのである。

想い描くということは、日常の言動に知らず知らずのうちに働きかけ、その方向に動くからである。ある旅館の例えであるが、「私たちの旅館は顧客に安心とやすらぎを提供する」という堅い理念を抱いている。
そうすると、日々の行動が自然と、その方向に向かうのである。客と接すれば必然的に挨拶や言葉をかけ、ごみが落ちていれば拾い、居心地を良くしようと客室の清掃は徹底し、またおいしい食事を提供しようと手を抜かずに一生懸命になる…。

こんなことは当たり前だと思うかもしれないが、実は当たり前のことを当たり前のように行動している人は少ないのである。なぜ、行動できないでいるか、それは面倒だったり、やる気がなかったり、後回しにしていたり・・・という理由を挙げる人は多い。

まずは思い描き、そして行動しようとする意志を働かせることから始めなければならない。想い描くことがやがて形となって実現する。過去が現在を創ったように、今から実行に移すことはやがて近い将来の状態を創り出すことになる。

だから、今こそ明るい希望のある将来像を描き、力強い一歩を踏み出すべきである。天風先生は次のよう言葉を残している。
たとえ事業がうまくいかない時でも、間違いがあったのを天が教えてくれてると考えなさい。例えば事業に失敗したときは、“俺は運が悪い”と思わないで、“事業する場合の心構えなり、方法なりに、大きな間違いがあったことを、天が教えてくれているんだなあ”と思うこと、蒔いたとおりに花は咲く」・・・。


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