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レジの話① アルバイトのバカヤロウ!

永年小売業に従事し、その後別業態や飲食店舗でも働いてきたが、働く側からみても、客側からみても、様々な「バカヤロウ」がお店にはいる。

コンビニのレジなんかは、はた目にもやることが多く大変そうであるものの、時折出会う「私アルバイトなんでわかりません」と客を突き放すアルバイトには閉口する。

レジ会計中に「わかりません」と言い切られても、こちらがどうする話でもないのだが、それ以上何も動く気配がなければ「じゃあ、これはまた今度にするので、その他のお会計をお願いします」と客側が大人の対応をする始末である。

何とも言えない落胆と疲労感を感じつつも、永くその業界で働いた私には少しの罪悪感が沸き上がる。そんな話をしたいと思う。


レジとは単純作業の代名詞

レジ担当者は、売り場づくりや商品に関する客対応、商品をお勧めする接客応対に比べると、クリエイティブさを感じることは少なく、従業員の中で短い時間の労働者である主婦や学生バイトに割り当てられることが多い。1990年代から2000年代にかけて、特にその傾向が顕著になっていた。

1970年代に勃興したチェーンストア企業群

彼らの隆盛が流通産業全体へ及び、標準化や単純化、システム化という言葉が現場作業を単純化させていき、それに合わせて物流や商品が変わって行った。

分かりやすい変化としては、バーコードを商品に表示するというのは最低限のルールとなった。

チロルチョコがバーコードを表記するために商品サイズと価格を変えたのは有名な話だ。

商品は段ボール箱輸送に集約されていき、運びにくいものや特殊形状のものは売り場に並ぶ商品の主流からは外れていった。

食品表示も変わった

この手の話で語られることは少ないが、食品表示の分野においては、それまで個別に規制されていた各法が2013年に食品表示法に集約され一元的に管理されるようになった。

それもこのチェーンストア企業や製造各社が大量生産・大量消費の時代を作り、「パート・アルバイト」という「素人たち」が、流通業の最前線の中核を担う時代が訪れたことに起因している。

売ってる側がその商品のことを知らないのが原因だ。せめて最低限の情報は商品に表示してしまおうという考えが各分野で起こり、発生的に対応し、規制されてきたJAS法などが食品表示法として集約された。

PL法とコーポレートガバナンス

非食の分野では時代の求めに応じて、取扱説明書や警告表示など生まれてきたが、そこからPL法(製造物責任法)へとつながっていき、商品・提供サービスについては、製造者や店舗の提供や表示の仕方にその責任が求められるようになっていった。

責任の所在を明確化し企業としての取り組みを求める「コーポレートガバナンス」という言葉に象徴される非常に有益な社会の潮流である。

問題が起きた時に「現場の作業員が」「現場の責任者が」「作業ミスで」と店舗現場に押し付けれれていた従前とは大きく変わってきた。

さぁ、いい時代になった? 

問題、事件で切り捨てられてきた「現場の従業員」にとって、環境が非常に改善されたと言える。

しかしながら、それが行き過ぎた現場には「人」がいなくなった。

従業員は同じように働いているのに「人」はいなくなり、標準化されたルールやマニュアルに則り、動く「人型ロボット」ばかりとなった。

小売業に従事していた私もその現場を作った一人で、何か起これば「人」を責めるのではなく、そうなった背景を冷静に分析し論理的に考え、仕組みや心理的誘導による対策を講じるべきと考えていた。

今後はこの通り作業しこの言葉を使って発言すれば同様の事例の発生率が大きく下がると、新しいマニュアル手順の教育、徹底を図ることで現場が単純に働きやすくなると信じていた。

その日々にあることに気付いた。

従業員が「バカ」になってきた

何も考えずに働き、思うとこがあってもマニュアルとルールを守ること求められた結果、余計なことは言わず、マニュアルに異は唱えず、黙って従うだけの従業員が「良い従業員」として蔓延していった。

ちょっと考えればわかりそうなことも考えない習性が身に付いた。

仕事中には、決められた通りの動作で作業をし、よりよい接客手法として決まり文句を一字一句たがわずに唱えることを繰り返し行い、頭の中では仕事のことではなく、プライベートの計画などをぼんやり考え時間を過ごすのが当たり前となっていた。

これがチェーンストアのレジに顕著に表れて、どうせ同じ時給ならとレジを希望する主婦パートが増えた。

いや、「バカ」なふりをしておくのが立場上、最良の仕事術なのだと考えるパートタイマーが増えた。

たまに現れるセクハラ親父やストレス主婦達の通りすがりの罵詈雑言をメンタル0でスルーすれば、日中の時間を有効活用して1日4~5時間の労働の対価が得られる。

月々の家賃分くらい、もしくは外食にちょいちょい行けるほどの収入が得られるのだ。

パートに必要なものは「意欲」でも
「経験」でも「コミュ力」でもない

パートに必要な絶対スキルは、外にも内にも
「全て作り笑いでスルーする能力」だと勘違いさせたのは誰だ…


・・・「バカヤロウ」を生んだのは私たちだ

つづく


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