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真夜中の森を歩く

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昔に書いた小説です。重め、暗めの近代小説です。お暇がある方は、読んでみてください。
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記事一覧

【新連載】真夜中の森を歩く 参考文献

参考文献 『聖書 新共同訳』 日本聖書協会 『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』…

takayama
3年前

【新連載】真夜中の森を歩く 最終話

よく晴れた日だった。ミツロウは持っている携帯電話の画面を眺めた。黒田と高橋からの連絡はま…

takayama
3年前
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【新連載】真夜中の森を歩く 8-4

部屋の明かりは全て消えていた。デジタルの時計が午前3時35分を示していた。ユキはまだ帰ら…

takayama
3年前
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【新連載】真夜中の森を歩く 8-3

居酒屋での口論以来、吉川は姿を見せなくなった。黒田は「あいつは臆病者だ」と言いながら高橋…

takayama
3年前
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【新連載】真夜中の森を歩く 8-2

テーブルには食い散らかされたあとの皿が何枚も並べられていた。唐揚げの皿にはレモンが転がり…

takayama
3年前
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【新連載】真夜中の森を歩く 8-1

ユキとのセックスは日々の進行と共に日常の中に埋没していった。はじめてユキの身体の中に入っ…

takayama
4年前
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【新連載】真夜中の森を歩く 7-4

夕方から振りだした雨によって冷え込んだ空気にミツロウは身体を震わせた。布団の隅で丸まっていた毛布を引き寄せ、素っ裸の身体にかける。素肌に触れる毛布の感触が気持ちよく、小さく息を吐く。同じく裸で布団に俯せで寝ていたユキは頬杖をつきながら女性誌を読んでいた。 「寒くない?」 「まあちょっと」 ミツロウはユキの隣に移動し、自分のかけている毛布を半分かけてやった。肩が触れ、ユキの熱い体温が伝わった。微かに化粧水のにおいがした。ミツロウはユキが眺めている雑誌に視線をおとした。真っ

【新連載】真夜中の森を歩く 7-3

ユキとの同棲によって女性との身体的接触の際に感じるミツロウの罪の意識は少しずつ薄らいでい…

takayama
4年前
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【新連載】真夜中の森を歩く 7-2

夏の夜のにおいがした。アスファルトが日中にため込んだ熱気を発している。ミツロウは額から流…

takayama
4年前
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【新連載】真夜中の森を歩く 7-1

高橋の恋人アリサの母親が経営するスナック「エイミ」にミツロウは足繁く通った。最初こそ高橋…

takayama
4年前
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【新連載】真夜中の森を歩く 6-4

店内は煙草のにおいで充満していた。薄暗い照明にゆらゆらと煙の筋が浮かんでいた。カウンター…

takayama
4年前
4

【新連載】真夜中の森を歩く 6-3

ミツロウは休日も高橋と過ごすことが多くなった。高橋の強引なまでの誘いを断るのは難しかった…

takayama
4年前
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【新連載】真夜中の森を歩く 6-2

就業時間を過ぎた建設現場は人気もなく荒涼としていた。冷たい風が吹き、資材を覆っているビニ…

takayama
4年前

【新連載】真夜中の森を歩く 6-1

日々は遅滞なく進んだ。ミツロウはそれが不思議なことのように思えた。深夜の教会での出来事以来なにもやる気が起きず、倦怠感が身体を支配していた。前田さんもナナちゃんもその顔を見たくなく、携帯電話が揺れるたびにそれを見えないところに隠した。 仕事に対しても以前のような情熱を持つことはできずただ毎日をなんとなくやり過ごしていた。 朝目覚めるのがつらく、日中も眠気と憂鬱な気持ちに悩まされた。ときおり吐き気が込み上げてくることもあり、それは決まって夕方だった。頭は空虚さで満たされ、身