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note投稿作品から見る『お買い物&お店』にまつわる消費者動向 総まとめ2023

私たち東芝テックCVCはnoteさんとのコラボによるお題企画を過去3回にわたって開催してきました。

買い物をするときの“マイルールや大切にしていること”などを募集した「#買うときのこだわり」。“お気に入りのお店の魅力やエピソード”などを募集した「#このお店が好きなわけ」。“新しいお店との出会いや体験”などを募集した「#最近行ってよかった店」。

それぞれの企画で、お店や買い物に関する魅力的な作品が集まり、皆さんのこだわりや想い、印象的なストーリーの数々に多くの共感と発見をいただきました。

3回のお題企画を通して投稿いただいた「買い物」や「お店」にまつわる作品には、人がどのような体験を求め、何が購買や来店のきっかけになり、どんなところに心が動かされるのかなど、体験にまつわるインサイトがたくさん詰まっています。

そこには、小売の未来を考える上で大切なヒントや気づきがあるのではないか?そのような想いから、投稿作品の傾向を様々な角度から分析・考察してみました。購買や体験づくり、店舗運営や接客などの参考になれば幸いです。


1. データで振り返るお題企画

noteコラボお題企画3テーマともに投稿数は毎回1,000件を超え、「買い物」や「お店」など、お題企画としてはテーマがやや限定的であったものの、一定数投稿いただくことができました。

最も多くの作品が集まったのは「#最近行ってよかった店」です。「#このお店が好きなわけ」も同じく「お店」をテーマにした企画でしたが、おそらく「こだわり」や「好きなわけ」を書くことよりも、日常で体験したお店でのエピソードや「最近」というタイムリーな話題を書くことのほうが、投稿のハードルが低かったのではないかと考えられます。

また、平均投稿文字数がいずれも1,200文字を超えているところも興味深い点です。実際に1万字超えの大作からコンパクトにまとめられた作品、写真やイラストの投稿まで様々なものがありましたが、買い物やお店に対する想いやストーリーをしっかりと伝える作品が集まったことでこのような結果になったのではないかと思います。

2. ジャンルから作品の傾向をひも解く

次に3テーマそれぞれのジャンル傾向と、お店にまつわる2テーマの傾向を調査しました。

全体の傾向として、「#買うときのこだわり」は洋服を購入する際の様々なこだわりを語っていただく投稿が集まった結果、「ファッション」が一番多く、次にファッションに関連した靴やカバン、アクセサリーといった「ファッション小物」に関するストーリーが多く語られていました。(スライド1)

「#このお店が好きなわけ」「#最近行ってよかった店」では共に「飲食」に関する話題を取り上げた作品が多くを占めました。その中でも気軽に訪れることができる「カフェ」が圧倒的。様々なメニューや店内の雰囲気などからお気に入りのお店を見つけたり、印象的な体験やエピソードを得られる機会が多いことがうかがえます。

次に「ラーメン・中華」「カレー」「居酒屋」に関する作品が集まりました。一方で、「#最近行ってよかった店」では、多国籍料理や専門店などの数も増え、多彩な作品が取り上げられた印象です。(スライド2)

その他では「#このお店が好きなわけ」は“好きな理由”を語る傾向にあることから、お店の世界観が特徴的であったり、一定のファン層が存在する「本屋」「パン屋」「サウナ・銭湯・温泉」への愛着やこだわりを感じさせる作品が集まりました。(スライド3)

一方、「#最近行ってよかった店」では、気分転換にふらっと散歩したり、家族や友人と出かけたり、外出先や旅行中にいろんなお店をはしごしたりとバラエティ豊かな作品が集まりました。(スライド4)

3. リピート/初来店の傾向

投稿企画では多くのお店や場所について紹介いただきましたが、noteで綴りたい(紹介したい)と思うのは「何度も訪れているお店(場所)」なのか?それとも「初めて訪れたお店(場所)」なのか?傾向を見てみました。

「#このお店が好きなわけ」については、今までの人生の中で思い出のお店を紹介したり、ファンなったお気に入りのお店を紹介する傾向が見られたことから、「何度も訪れているお店(場所)」が多く語られていた印象。
一方で「一度は行ってみたい」「ご褒美」といった観点から普段はなかなか行けないお店に訪れた初来店に関するストーリーも見られました。

「#最近行ってよかった店」では、久しぶりに訪れたお店や常連店の投稿も見られたものの、旅先で訪れたお店や、SNSでたまたま見つけたお店、出かけたついでに新しく発見したお店など、誰かに教えてもらったお店を訪れるといった初来店に関する作品が目立った印象です。

4. エリアで見る作品傾向

3テーマの投稿作品からエリアの傾向を調べてみました。いずれのテーマでも共通して多かったのは「東京」に関する投稿。お店の数も多く、より多くの体験ができることが要因ではないかと考えられます。そのほか、大阪、神奈川、と店舗数の多いエリアが続き、次に北海道・京都・長野エリアのエピソードも。
作品には旅先で訪れた場所について語っていただくこともありますが、例えば北海道や京都ではその土地に住んでいる(た)からこそ知る自分たちならではのおすすめを教えてくれるエピソードが多かったように感じます。観光の際に役立ててほしい、そんな思いが垣間見られました。

noteには参考になる情報も多いため、noteをきっかけに行ってみたいお店が発見できることもあるかと思います。
それ以外にも、購買や来店には様々なきっかけがあったように思います。

5. 購買・来店のきっかけ

今回、商品やお店を誰かからおすすめされたり、情報をキャッチしたことが、購買や来店のきっかけになったというエピソードも多く集まりました。

おすすめや情報の入手元として、家族や友人、知人、職場の人などの「リアル接点がある人」、SNSやウェブサイトのクチコミ、テレビ、本、Googleマップなど「リアル接点がない人」という2つの軸で見てみました。

テーマ別に見てみると「#最近行ってよかった店」の場合、様々なところに出かけたり多くの人と接点があったことから、「リアル接点がある人」からのおすすめがやや多い印象でした。

また、「#このお店が好きなわけ」と「#最近行ってよかった店」では普段利用するSNSで興味がある内容に惹かれて来店する傾向があるのに対し、「#買うときのこだわり」では、商品検討の際に、ウェブサイトの評価をチェックすることから、SNSだけではなく「クチコミ」が多く見られました。

実際に作品を読んでみると、「クチコミをくまなくチェックして商品を比較する」「気になるものを見つけたら、必ずクチコミを調べる」など、能動的に情報を取りに行くのに対し、SNSに関しては「Instagramで目に入って気になった」「SNSのタイムラインで流れてきた」など、受動的にキャッチした情報が行動変容につながっているようです。

いざ買いたいものを見つけると、まずは数か月かけて店頭で下見をしたり、インターネットやパンフレット、チラシ等で、購入者の口コミやコメント、最新情報を徹底的に調べてから購入。

#買うときのこだわり」より:石橋を叩いても渡れない?|megumi baby💙さん

買い物をするときは評判をチェックすることが多い。

そこには生の声が集まるので信憑性も高いと思われる。
色々なサイトを比較して、同じ意見があればそこは皆が共感するポイントであり、買物の重要な決め手になりえる。

#買うときのこだわり」より:買うときのこだわり|マックスさん

出会いはインスタで。
投稿されているのを見かけて、「食べに行きたい」と思ったのがきっかけ。
(中略)
行けるときに行くしかない。
予約制ではないので朝早く起きて準備してワクワクしながら向かった。

#最近行ってよかった店」より:夏はまだ続くよ。|あいりさん

ある日、何気無〜くYouTubeを見ていた。

その時、ひとつの動画に目は釘付けになった。

「どうしてもここに行きたい」

と思った。

#このお店が好きなわけ」より:〜言葉の魔法にかけられて〜何度でも訪れたくなるカフェ|日々を食べるさん

SNSから情報をキャッチする傾向が見られた一方で、「#このお店が好きなわけ」では来店したお店で思わず写真を撮りたくなるような商品や店内の雰囲気に触れ、“SNS映え”というポイントを取り上げるケースも印象的でした。来店客から発信されるお店の情報が増えることで、SNSをチェックする人にとってはお店の情報が得られる機会につながると感じました。

御膳、ランチ、定食、あえてネーミングを統一しないのは、船木さんの遊び心。写真映え!な可愛らしい器の数々も注目。長年趣味でコレクションした愛着の器である。お料理に 器に、SNSのおしゃれな1コマになる。

#このお店が好きなわけ」より:ひととひと。食材と人の架け橋。山口県周南市「結び musubi」|chii 周南市を書く。市民ライターさん

昭和レトロ感を感じる可愛いグラスに入ったシュワシュワのメロンクリームソーダ。

背景もピンクでとってもSNS映えするドリンクです!

#このお店が好きなわけ」より:【京丹波】アメリカのレトロポップをイメージしたプールサイドカフェ、“cafe bruxa”|森の京都Tabiインフルエンサー+【森の京都DMO公認ライター】さん

また、「#最近行ってよかった店」では「推し」がおすすめしていたお店が行動・体験の動機になることを紹介してくれたクリエイターさんもいました。
「推し」に関しては3テーマを通して推し活に関する投稿や、日常の買い物を推し活と捉えることを紹介してくれた投稿など、“推し”という概念や価値観が浸透しつつあり、買い物や体験に影響を与えていることが垣間見えたことも新たな発見でした。

予定が立った時点で絶対行きたい!と心に決めていたのが、推しがオススメしていたレストラン。念願叶って行けました〜!!

#最近行ってよかった店」より:推しが勧めてくれたお店がドストライクだった話|ウロうろこさん

ん?応援の気持ちで購買…これって…

推し活なんではないだろうか、と。

自分たちの「推し」商品やお店にお金を捧げる。推しに頑張ってほしいから、推しに幸せになってほしいから。

#買うときのこだわり」より:其れは”推し活”とやらに似て|長谷川誠@とうほぐらしさん

さわやかはわたしにとってのご褒美です。
さわやかのためなら頑張れる。推しですね。笑
毎回「また会いにくるね」と心の中で言いながら食べています。

#このお店が好きなわけ」より:時間をかけてでも会いに行く推し〜さわやかのハンバーグ〜|るみぃさん

6. 来店客が求める店舗体験

「買い物」をする際、商品との出会いを大切にし、直感で選ぶ人。背景やストーリーを知り納得して購入する人。あるいは、「お店選び」の際、お店の雰囲気やコンセプトに「共感」してその空間で過ごす時間を味わいたい人、店内でのコミュニケーションを大切にしたい人。と、顧客が求める「体験」はいろいろと存在します。投稿作品からどのような「体験」が求められているのか、いくつかのジャンルをピックアップして傾向を見てみました。

(1)ファッション
ファッションに関しては、「自分に似合うものを買えた」「ワクワクする買い物ができた」という満足度の高い買い物体験についてのエピソードが多い傾向にありました。安いから良い、高いから良いではなく、自分にとって合うものなのか?それを買うことでワクワクしたり、理想に近づけるか?といった観点で取捨選択をしている印象です。
また、本当に欲しいものだけを買い、大切に使い続ける「ミニマリスト」的な購買体験も傾向の一つとしてありました。

最後に大事なのは買ってワクワクするかどうかです。

(中略)

買うときにこだわるべき最も大事なのはフィーリングに戻りワクワクして自分が使えるかどうかが私は非常に大事だと思っています。

#買うときのこだわり」より:買うときのこだわり|Touch.comさん

今の自分の身の丈にあったものばかりではなく、靴やカバンといった小物や家具家電といった生活に直結し、長く使えるものに関しては少し背伸びをして買ってみると後後買ってよかったと思えることもあると感じています。

#買うときのこだわり」より:買うものと買わないもの|もねさん

(2)スーパー
スーパーは「無駄のない買い物」を体験できたエピソードと、「いつもと違うものを買ってみる」というプチ非日常を体験できたエピソード、2つの方向性が見えてきました。
時間が制限されていたこともあり、安いものをじっくりその場で考えて買うというよりは、短時間で買い物をすませるには、どのルートが一番早いかを優先する傾向にあるようです。

時間をかけて選ぶというよりは、どれだけ効率よく回れるかが大切になってきます。

買い物に行く前は、メモをして、行くお店の順番を考えてから出発するのは当たり前。

そのお店で買うリストを見ながら、どう回れば最短距離&最短時間で買い物ができるか常に考えています(笑)

#買うときのこだわり」より:短時間で買い物を終わらせることがゲームのようになっている♬|チョコさん

だから、今日も、普段なら選ばないお弁当を買うし、あるメーカーのマスクが自分に合うと思っていても、スーパーの安価なマスクを試してみる。新しい体験を得て、新しい感情が生まれて、新しい考えに出会うために、「普段と違うことをする」を慣らいにしたい。

#買うときのこだわり」より:いつもなら買わないはずのメロンパンを買ってみる|のーどみたかひろさん

(3)飲食
投稿数が多かった「#このお店が好きなわけ」と「#最近行ってよかった店」。
「#このお店が好きなわけ」は癒しやリフレッシュ、モチベーションがアップした、など気持ちに変化をもたらす体験や、記憶に深く刻まれているお店や店主の生き方・考え方を知り、自身の心情に影響を与えるような体験が多く、「#最近行ってよかった店」では料理がおいしい、サービスや雰囲気が良いなど、期待どおりもしくは期待以上の体験ができたお店に関する投稿が多い印象でした。

味だけでなく行き届いたサービスを受けられることで気持ちが穏やかに過ごせるプチ贅沢で、
また来られるように!と明日へのモチベーションになるのです。

五感で味わうことでそこに集中することで
私なりのポジティブ脳内リセットにもなる店
これが、この店が好きなわけ、です。

#このお店が好きなわけ」より:このお店が好きなわけ〜虎屋で過ごす時間|greengreenさん

タンタン麺は想像していたのと違っていたので驚きもあり、もう一度あのスープを飲みたいと思わせてくれるクセになる味でした。行列していない時を狙って(笑)またぜひ食べに行きたいと思っています。(中略)

「鼎泰豊(ディンタイフォン)」は期待を裏切らない、いや期待以上の美味しい名店でした。

#最近行ってよかった店」より:「鼎泰豊(ディンタイフォン)」のタンタン麺は何度でも食べたくなるクセになる味でした!|章音さん

7. お店の接客に求めるもの

3テーマ共通して語られた「接客」について、どのような接客に好感をもつのか、印象に残るのか、などを作品からまとめてみました。

多く取り上げられた「飲食店」のケースでは、店員さんの「おもてなし」や「気遣い」「感じの良さ」がよく挙がり、「会話を楽しむ」ことに価値を見出す傾向がありました。
ファッションと家電は「おもてなし」や「気遣い」に加えて、「押し売りしないスタンスや距離感」、「商品知識の豊富さ」が購買のきっかけになっている印象です。
美容室は他と同じく「気遣い」が挙がるほか、「会話を楽しむ」「気が合う」など、コミュニケーションについて言及している投稿が目立ちました。
洋菓子・和菓子は「笑顔」や「人柄」が挙げられ、お菓子のおいしさだけでなく、ほっこりした気持ちに満たされることや癒しが求められているのが印象的でした。

テーマ別で見ると「#買うときのこだわり」では買うときに必要な「情報収集」という点を大事にしている傾向。その他「誰から買うのか?」「その店員さんの対応が良かった」など、店員さん個人の接客の良さにフォーカスしたものが多く見られました。

「#このお店が好きなわけ」ではスタッフの接客まで店舗のブランディングと捉え、「サービスがお店にも自分にも合っているか」を重視する投稿が集まりました。店員さんのホスピタリティや感じの良さが、お店そのものの評価や好印象につながっており、店員さんの接客がお店の雰囲気の一つとして捉えられているような印象を受けました。

そして「#最近行ってよかった店」では、そのお店に対して様々な期待値がある中で、「自分にとって良い気づきや発見があるか」など、今後も通いたいと思えるお店かどうかが評価基準になっているように感じました。
実際に「店員さんのホスピタリティやサービス力の高さに驚いた」「店員さんの心遣いに触れてリピートしたいと思った」など、期待以上の接客が「行ってよかった」という気持ちを喚起しているようなエピソードが多く見られました。初来店のお店に対する期待値は人それぞれだと思いますが、それを超えるような接客がお店の印象に大きな影響を与えているのではないでしょうか。

8. AIで見るトピック傾向

最後に、AI技術を活用し3テーマを通して言及が多かったトピックをまとめました。

全体的に見ると「商品」「店舗」「メニュー」の特性が多く語られているものの(スライド1)、「店舗」については「#このお店が好きなわけ」「#最近行ってよかった店」での投稿内容が多く、一方で「価格の適正さ」は「#買うときのこだわり」の投稿内容が多く含まれていました(スライド2)。

一方、テーマ別でも簡易的に調査してみたところ「#買うときのこだわり」では商品を選ぶときの「選択基準」「情報」や「購入の動機」といった具体的な内容が多く語られていることが分かり、「#このお店が好きなわけ」「#最近行ってよかった店」では料理の品質やメニュー、スタッフの対応、SNSでの情報発信など店舗を評価する項目が細分化されて明らかになりました。(スライド1~3)

  ※「8. AIで見るトピック傾向」は株式会社エモーションテックの「TopicScan®️」分析結果より作成


以上、「note投稿作品から見る『お買い物&お店』動向 総まとめ2023」をお届けいたしました。

皆さまからの投稿を通して、買い物や体験にまつわる多くの発見や気づきを得られたことはもちろん、一人一人のストーリーや想いを知り、共有する機会をいただけたことに改めて感謝いたします。お題企画にご応募いただいた皆さま、ありがとうございました。

私たち東芝テックCVCは、スタートアップ企業様への支援・共創を通じて、小売の未来をつくりたい。そんな想いで活動しているチームです。お題企画をきっかけに東芝テックCVCを知っていただけた方も多いと思いますが、引き続き“買い物”や“お店”にまつわる記事も発信していきますので、応援していただけると嬉しいです。

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