無題112-1

Watcher #2

以前、あれに名前をつけようとしたことがある。

あれを全てひっくるめて呼ぶ名前。

だけど、しっくりくるものは思いつかなかった。

どの呼び方にも違和感があった。

個別の名前なら、まだマシなものはつけれたけれど···

同じものを見たことは、今のところない。

だから、個別につけてもなあ··といったところだ。

そして、あれについて誰かと共有することはあきらめた。

なので、あれの総称はいらないことに気づいた。

なので、名づけることもあきらめた。

「名付けがたきもの···」

ダメだ、『名伏しがたきもの』のパクリじゃないか。


またか

全身タイツみたいなノッペラボウだけど、今までみたやつのなかで、一番人間にちかい。

でも、違うのはあきらかなんだ。

見た目が、ということではなくて。

わかるんだ。

感じが。
 

露出魔かよ。

まあ、人間と同じ感覚なんて持ってないだろうから、自覚はないだろうな。

それにしても、うちポケットに灯った火がきれいだ。

あの火は前にも見たことある。

違うあれのときに。

動かないやつだったから、近寄ってみたけど、熱くなかった。

マジか···

スカートの中から、なにかヒモみたいなものが見えてる。
 

腹にラインが浮いた···


 

 


魅せてくれるね。


魅せてくれるやつは、たまにいる。


夜空に昇って消えていく“腹クラゲ”を目で追っていたら。

“露出魔”はいつの間にかいなくなっていた。


 

 
 

 
 

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