椎名林檎×宇多田ヒカル。至上の”同期”コンビ再び。
本日0時、椎名林檎の新曲“浪漫と算盤 LDN ver.”の配信が開始された。
今回の楽曲のメイントピックは、やはり再び叶った宇多田ヒカルとの共演だ。”二時間だけのバカンス”以来、約3年ぶり3度目の実現となる。
1998年、東芝EMIから共にデビューした同期である二人は、この20年間にわたり、幾度となくJ-POPの歴史を鮮やかに更新し、僕たちを次の時代へと力強く導いてきてくれた。
だからこそ、2010年代が幕を閉じようとしている今、両者のタッグが再び実現したことには、あまりにも深い意義があるように思う。
今回の“浪漫と算盤”は椎名林檎が、前回の”二時間だけのバカンス”は宇多田ヒカルが、それぞれ作曲を手がけているが、並べて聴くと面白い。
お互いがお互いに愛と敬意を抱き合っているからだろうか。それぞれのソロ曲としても成立する強度を持ちながらも、二人の関係性そのものが、楽曲の軸でありメインテーマとなっていることに驚かされる。
椎名林檎の底深き情念と、宇多田ヒカルの透徹な祈り。その二つの間を縫いくぐりながら、心の奥底の本心に初めてタッチしてしまうような、圧倒的にスリリングな音楽体験がここにある。
《きっと、そう浪漫抱えたら算盤弾いて/両極のど真中狙い撃てお願い勇気をくれ》
これは“浪漫と算盤”の一節だが、ここでは、もはや感性や理性といった既存の概念では括り切れない、未知なる感情が歌われている。これほどまでにハイコンテクストな楽曲が、今、J-POPシーンのど真ん中で鳴らされることは、本当に凄いことだ。
《答え合わせ 貴方を知るほど/僕は正されて行く 捨てたものじゃない/ただ生きようと》
次の10年に向けて、彼女たちの次の変革の一手に期待したい。
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