見出し画像

トラウマ級ラスト『MEN 同じ顔の男たち』を鑑賞しました。

こんにちは。ぽんずです。

怪作を鑑賞してきました。
題にある通り『MEN 同じ顔の男たち』(2022)です。

トラウマ級のラストが話題の本作。
ホラーでありながら、社会派なメッセージ性も含んだ密度の高い本作。
作品を簡単にご紹介し、感想を述べていこうかと思います。

『MEN 同じ顔の男たち』(Men)

公開日:2022/12/9
上映時間:100分
ジャンル:ホラー、スリラー
監督:アレックス・ガーランド

あらすじ

ハーパー(ジェシー・バックリー)は夫ジェームズ(パーパ・エッシードゥ)の死を目の前で目撃してしまう。彼女 は心の傷を癒すため、イギリスの田舎街を訪れる。そこで待っていたのは豪華なカントリーハウスの管理人ジェフリー (ロリー・キニア)。ハーパーが街へ出かけると少年、牧師、そして警察官など出会う男たちが管理人のジェフリーと全く 同じ顔であることに気づく。街に住む同じ顔の男たち、廃トンネルからついてくる謎の影、木から大量に落ちる林檎、そ してフラッシュバックする夫の死。不穏な出来事が連鎖し、“得体の知れない恐怖”が徐々に正体を現し始めるー。


監督について


1970年5月26日生まれ。
イングランドの小説家、脚本家、映画プロデューサー、映画監督と多岐にご活躍。

『MEN 同じ顔の男たち』は彼にとって3本目となる監督作であり、同作の最初の脚本は2005年に書いてます。
過去作は、『エクス・マキナ』(2015)、Netflixオリジナル『アナイアレイション-全滅領域-』(2018)。
高い評価を受けながらも、近い将来監督業から引退し脚本家に専念することを示唆しています。

また、監督は本作の根底にある考えとして、「男女の違いや差は無い」と話しています。
女性らしさと男らしさ。定義は人それぞれであり、社会が決めることではない。そのような、強いメッセージ性が映画に隠されています。

感想

常に心理的負荷をかけられる、ジメジメとした物語でした。
ジャンルは、フォークホラーに付随するでしょう。
ジャンプスケア的な要素もありますが、陰湿な怖さが際立っています。

フォーク ホラー:民間伝承の要素を使用して恐怖と予感を呼び起こすホラー映画のサブジャンル

何となく、『ミッド・サマー』を想像してい頂けると間違いないです。
神話やスピリチュアルなテイストや、明るくても怖いとか。
陰部も平気で映りますし、「グロさ」よりも「キモさ」が勝った映像表現が多数見受けられました。(ちなみにR15作品です。)

一方で、ガスライティング・スリラーの一面もあります。
洗脳によって相手を支配する虐待行為は、「ガスライティング」と呼ばれ、本作にも主人公が過去に夫に暴力を振るわれたシーンや口論するシーンなどが出てきます。
こちらは、違った意味で精神的に来るものがありますよね。
何故、そうなったのか詳細な理由は描かれないものの、普段からモラハラがあったのではないかと想像出来ます。そのため、主人公が別れを切り出すのですが、結果、夫が目の前で飛び降り自殺をしてしまう。
そして、トラウマを負った主人公は癒しを求め田舎町へ向かうのです。

ガスライティング:映画『ガス燈』(1944)が大ヒットしたことで、劇中で描かれた虐待の形が、いつしか「ガスライティング」という名称で知られるようになった。

ともあれ、本作の一番の見所としては、「何故、同じ顔の男が居るのか?」です。
同じ顔の男たちがあの手この手で主人公に嫌がらせをしていきます。女性蔑視のような発言など、男の嫌なところを詰め合わせているような奴らなんです。しかし、主人公は嫌がるものの、同じ顔という部分には全く興味がなさそう。(個人的にそう見えた。)
「え?同じ顔だよ?」と何度も思いますが、そんなことはつゆ知らず、主人公は顔が同じことに触れません。

そもそも、同じ顔の男たちは存在しているのか。主人公が負ったトラウマが見せている幻覚なのか。謎は深まりながら物語が進んでいきます。

個人的には、男達の不快感も去ることながら、主人公のトラウマの表現が本作の見所だと感じました。いわば心の傷や罪の意識、それらと一生付き合っていく事への茫々たる気持ち。そして割り切りなどなど。
そのように、捉えると同じ顔の男達の執拗な嫌がらせが、何となく腑に落ちる気もしました。

そして、ラストです。
ラストシーンが脳裏にこびり付いて離れません。
かなり、攻めた映像表現で、目を覆いたくなるシーンが長々と続きます。超絶気持ち悪く、トラウマになる人も居そう。
無事、ラストシーンを終えると割とスッキリしたエンディングを迎えます。
難しい表現は多々あれど、ラストはスッキリ着地したと個人的に見ています。皆さんどうでしょうか?
一度、観ただけでは全てが腑に落ちないですが、全く理解が出来ない訳でもない。非常に、考察しがいのある作品でした。

最後になりますが、本作を鑑賞し一番感じたことは、トラウマへの克服に関して。(主題は別にあると思いますが個人的に。)
自分自身が深い傷を負った場合、どのように向き合えるか気になりました。一生トラウマと向き合い続けながら、生き続けれるのか自分ではわかりませんが、少なくとも本作の主人公は1つの答えを見つけています。

相変わらず、A24は気味悪い映画を製作するなーと思いましたね。
(気づいたらクセになってるんですが。)

A24:映画財務・映画製作・配給の専門家3人によって2012年に設立。質と話題性を兼ね備えた映画会社として注目されている。

心に余裕があるときに見ましょうね。
余談ですが、隣席のカップルどんな気持ちで見ていたのだろうか?
その後のデートは盛り上がっていたのか気になる所です。

以上です。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?