見出し画像

【多様性って何?】映画『そばかす』を鑑賞してきました。

絶賛上映中、映画『そばかす』
新宿シネマカリテにて鑑賞してきました。平日お昼過ぎで半分以上劇場が埋まっており、半分以上は女性客でしたね。

繊細なテーマでありながら爽やかなテイストに仕上がった本作は、鑑賞後は前向きになれるような作品。また、価値観について考えさせられる事も多かったので、紹介がてら感想を述べていきます。

『そばかす』


公開年:2022年
上映時間:104分
ジャンル:ドラマ
監督/脚本:玉田真也/アサダアツシ
キャスト:三浦透子、前田敦子、伊東万理華、三宅弘城etc…

本作は「(not) HEROINE movies」というプロジェクトの中で作成され映画だそう。本作はプロジェクトの第三弾で、第一弾『わたし達はおとな』第二弾『よだかの片想い 』が制作されてます。

「(not) HEROINE movies」
『勝手にふるえてろ』『寝ても覚めても』『愛がなんだ』『本気のしるし』を手掛けたメ〜テレと、制作会社ダブがタッグを組み、“へたくそだけど私らしく生きる”、等身大の女性のリアルをつむぐ映画シリーズであり、次世代を担う映画監督と俳優たちを組み合わせ、それぞれの感覚と才能を思う存分発揮できる場を生み出し、輩出するプロジェクト。

HP引用

(半数以上が女性客だったことが腑に落ちました。)

あらすじ

物⼼ついた頃から「恋愛が何なのかわからないし、いつまで経ってもそんな感情が湧いてこない」⾃分に不安を抱きながらも、マイペースで⽣きてきた蘇畑佳純(そばた・かすみ)は 30 歳になった。⼤学では⾳楽の道を志すも挫折し、現在は地元に戻りコールセンターで苦情対応に追われる。妹の結婚・妊娠もあり、⺟から頻繁に「恋⼈いないの?」「作る努⼒をしなさい!」とプレッシャーをかけられる毎⽇。ついには無断でお⾒合いをセッティングされる始末。しかし、そのお⾒合いの席で、佳純は結婚よりも友達付き合いを望む男性と出会う…

Firmarks引用

感想

結婚や恋愛だけが幸せの形ではないと、旧来の遅れた価値観を否定するにとどまらず、所謂、世間に蔓延る「一般的」という価値観について考えさせられる映画でした。

ちょっと小難しく考えすぎましたが、
映画全体として、スローペースではあるものの、笑えるシーンがいくつもあったので間延びせず楽しめました。基本会話劇でも飽きがこないのは、俳優さんの演技の賜物だろうと思いつつ、主役の三浦透子さんは特に印象に残りました。『ドライブ・マイ・カー』にも出演し、歌手としても活躍しているそうで(本作の主題歌も担当)、劇場で観る機会も増えそうですね。あとは、前田敦子さんも印象的で、改めて声が良いなと思いましたね。
声って大事ですよね。『ラストナイト・イン・ソーホー』主演で有名なトーマス・マッケンジーも声可愛くて大好きなんですけど、声が特徴的だと印象に残るな~とふと思いました。
脱線すみません。

物語の基本線としては、あらすじの通りです。
恋愛感情を抱けない主人公が、世間一般的な感覚との相違で葛藤しながらも、本当の自分を探していくといった物語。
先程も紹介しましたが、本作は「(not) HEROINE movies」の作品という事で、基本は女性視点で描かれています。その為、逆説的に男性の嫌な部分も見せてきます。男の自分としては同じような事してないかと冷や汗を感じましたね。特に、男性が女性にアプローチするときの、下心が前面に出ちゃってる感じ。悶々としていて気持ちの悪さがにじみ出てるような。
最悪でしたね(笑)
女性視点で描かれる映画ではありながらも、フェミニズム側に傾倒した映画というよりは、「多様性」の視点に一歩切り込んでいる作品だとも感じました。

結局の所、私は、俗に「一般的な恋愛」をこれまで経験し、ある程度の性欲を備えているので、恋愛感情と性欲をもたない(もてない)本作の主人公には共感できませんでした。。恐らく、今後も共感はできないでしょう。
ですが、共感せずとも理解することは出来ます。理解を促すために「一般的な価値観」をどれだけ排除できるかが大切なんだと、本作を通して一番に感じたことです。
だからこそ、「多様性」と一括りに少数派を守ろうとしてる人間の姿勢は野暮であるし、傲慢なんだなと感じます。

似たようなテイストで浅井リョウさんの『正欲』という本がありますが、こちらは、救いようのない展開で沈みます。(勿論、面白かったです。)
この本は、特殊性癖を題材にした本ですが、本作と同様「世間一般的な価値観」を持てずに居る登場人物たちが苦しみながらも、生きる希望を探していくといった物語になってます。
何が言いたいって、本作を鑑賞して『正欲』のストーリーとダブりました。そして、多様性を認めるといった時代に、少数派の人々が余計に息苦しくなっているという問題提起を秘めた映画や作品が今後も増えていくのではないでしょうか。
そう考えると、多様性という謳い文句であったり、言葉そのものの意味を再認識しないとなと考えてる次第です。

長々、失礼しました。
映画の趣旨とはだいぶ方向性の違う感想文ですが、作り手と受け手の想いが必ずしも一致してなくても良いって言いますし、許してください。(笑)

以上です。







この記事が参加している募集

おすすめ名作映画

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?