試し読み:つるる&とき子のぬか床日和
9月10日(日)開催の文学フリマ大阪のブースが決定いたしました!
L-09~10 です!!
9月10日開催で、ブースが9~10って……。
覚えやすすぎやしませんか?
もし私たちのブースの場所を忘れてしまったときは、「今日の日付は…」と手帳を開いてください。
とりあえずどこかしらの09~10に向かっていただいて、そこから並行移動してくだされば、どこかのタイミングでL-09~10にぶつかるはずです。
そしてお隣はなんと、ウミネコ制作委員会さん!!
前回noterさんたちを右往左往させてしまったことを反省し、「お隣よろしいですか?」とお願いしたのです。
さてあらためて、文学フリマ大阪の開催日時・場所を確認しておきましょう。
うかうかしていたら、もう一か月を切っている!!!信じられない!!
まだまだ書きたいこと、宣伝したいことが山ほどあるのに……!!
というわけで本日は、文フリ大阪で販売する小冊子『つるる&とき子のぬか床日和』の試し読みを公開いたします。
私つる・るるるととき子さんが、一編ずつぬか漬けエッセイを書き下ろしたこちら。
なんと表紙絵は、KaoRu IsjDhaさんです。
こんなに超豪華なのにお値段なんと、100円ぽっきり!
大出血、大サービスでございます。
さて、とんでもなくお買い得なこちら。
作るきっかけとなったのは、みなさんご存じミムコさんの『noter Collection Book(ノトコレブック)』でした。
5月の文フリ東京で大人気を博したノトコレブック。
事前にミムコさんのnoteを読んできたnoterさんたちが「このディスプレイを生で見られて嬉しい!」「こんなぴったりな商品棚、どこで買ったの?」とそのこまやかなブースを褒めたたえてじっくり見ていた一方で、足早に、かつ適度な距離を保ってブースを回っている一見さんも足を止めて作品をゲットしているのが印象的でした。
目当ての作品を入手するべくマグロのように機敏に会場を泳ぎ回り、かつ野良猫のように警戒心で毛を逆立てている一見さんを立ち止まらせることは、容易なことではありません。
特に私の作品は、『春夏秋冬、ビール日和』800円、152ページ)、『「お邪魔します」が「ただいま」になった日』1000円、162ページ)と、どうしてもたまたま出会えた初対面の人に買ってもらうには、やや金銭的にも分厚さ的にもハードルが高くって。
そんな人に向けた自己紹介的な、安価で気軽に手に取れるような商品を作ろう。
そして完成したのが、こちらです。
かわいすぎて鼻血が出ちゃう!!!
気になる内容を紹介すべく、以下に1ページ分を掲載いたします。
全8ページ、一人当たりの文章量は3ページ。
普段の記事はペロッと2〜3000字以上書いちゃう私たちが、ピリカグランプリ並みに削りに削って頭を絞って文字数を1500字以内に収めました。
(※ピリカグランプリの上限は1200字なのです)
そんな血の滲むような努力も、読みどころの一つかもしれません。
さっきから私たち、血ばっかり出してるな……。
ではでは、いよいよ試し読みの始まりです!
☆ ☆ ☆
ぬか床に一泊した豚肉の話
つる・るるる
鶏肉ほど庶民的ではないが牛肉よりは気さく、そんな豚肉をぬか床に招待してみた。普段使っているぬか床にそのまま招くのは衛生上よろしくないので、ジップロックに別室を用意しての特別待遇である。
自分を食卓の主役だと思っている豚ロースは、ぬか床に招かれたことにちょっと不服そうな様子を見せていた。ぬか漬けといえば副菜じゃないかと早合点してしまうのも無理はない。けれどあなたは、明日のディナーの主役になるのだ。豚肉をなだめすかして、ジップロックに薄く伸ばしたぬか床に横たえる。さらにその上から、ぬか床の布団もかけてあげよう。安心させるようにジップロックを閉めて、豚肉にぬかがしっかりフィットするようにギュッと押さえつける。そのまま安らかにお眠りいただいて、一日。
「チェックアウトのお時間ですよう」という声を聞くや否や、豚肉はジップロックから引きずり出され、全身をきれいに洗われる。起きぬけに冷水を浴びせられて目をパチクリさせている豚肉を今度は油を引いたフライパンにご案内。
【続きは冊子にて!】
***
真の聖母はナスを漬ける
とき子
母のぬか漬けは、いつも漬ける期間の長い古漬けだった。とりわけきゅうりとナスがお気に入りらしく、幼い私はどうにもそれが苦手だった。特にナスだ。あのぐにゃりとした歯触りと、酸っぱしょっぱい何とも言えない香りの汁が、噛んだ瞬間溢れ出るのは、今なおどうにも苦手である。時折浅漬けも出た。私はそのきゅうりは好きだったのだが、それは母に未熟者の烙印を押され、次に取り出されるきゅうりは、酸味で舌がピリリとするほど長くぬか床に沈められる運命だったと記憶している。
そうしてぬか漬けに苦手意識を持ったまま成長したはずだったが、年齢を重ねるにつれ嗜好は変化する。次第に実家に帰って口にする、炊き立ての米とぬか漬けの芳醇な香りは、私を癒すまでになっていった。これが家で食えたなら。
しかしぬか床のイメージといえばだ。幼な子を抱くように甕を抱え、あやすように撹拌を繰り返し、愛しき思いを囁きつつ育てあげる、それはまるで聖母マリアの所業。
【続きは冊子にて!】
☆ ☆ ☆
著者紹介
つる・るるる:
1994年生まれ、湘南育ち。
みみっちい日常を綴りがちなぬか好き。
著書にエッセイ集『春夏秋冬、ビール日和』『「お邪魔します」が「ただいま」になった日』があり、
2023年11月に『羽ばたく本棚』を刊行予定。
好きなぬか漬けは、カブとゆで卵。
とき子:
1977年生まれ、茨城育ちの転勤族。
北海道、九州、四国を経て現在大阪在住。
何弁でもすぐマスター出来る自信あり。
著書にエッセイ集『なけなしのたね』『にじいろの「はなじ」』。
好きなぬか漬けは、丸く薄切りにした切り干し大根。
KaoRu IsjDha:
1980年生まれ、2002年9月よりチェコ共和国在住。
元アニメーターの絵描き。
漬けてみたいぬか漬けは、カシューナッツ。
ネットショップ&文学フリマ東京について
『つるる&とき子のぬか床日和』は文学フリマ大阪後に、つるる書店のSTORESでも販売します。
ただいま予約受付中です!
そして新刊を引っ提げて出る気満々の文学フリマ東京(11月11日)は、うかうかしていて申し込むのが遅れたため、抽選対象に入ってしまって出店できるかどうかがわからない状態です。
出店の可否が決定し次第、またご報告します。
抽選とはいえ8月29日まで申し込みできるので、もし出店者側に興味のある方はぜひ!
【8月31日追記】
無事に抽選に通りました!11月の文学フリマ東京にも出店します!
文学フリマ大阪での販売物などの紹介はこちら。
お読みいただきありがとうございました😆