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20240618 イラストエッセイ「私家版パンセ」0017 「魂について」(教育論)

 人間の中には「魂」が宿っていると思うのです。
 魂とは、意識でも精神でも感情でもなく、ユング心理学的な意味で、人間の中心にあってその人をその人たらしめている何か。
 ユング心理学者の河合隼雄先生は売春について、法的意味でも、倫理的意味でもなく、魂を損なう行為だ、という風におっしゃいましたけれど、ぼくはこの言葉に、なるほどと納得したことがあります。
 ぼくの個人的なイメージは鉢植えです。
 人の心の中には、小さな鉢植えがあって、世話をしてやらないと枯れてしまう。大切に育てれば豊かに育つ。河合先生が言うように人は図らずも自分の魂を損なうことがあります。
 ぼくの大好きな映画に「レオン」があるのですが、彼が大切にしている鉢植え。あれはレオンの魂だって思います。
 余談ですが、マチルダはレオンのアニマ(ユング心理学の元型)ですね。
 このお話はまた稿を改めてお話ししたいと思います。

 さてその「魂」ですが、人間の内側にあるものだけれど、「表現」されることを欲しているんじゃないかって思うのです。
 そうだとすると、ぼくたち人間の、あるいは生き物、あるいは万物と言っても良いのですが、使命は「魂」に表現するための手段を与えてやることじゃないかと思います。
 それが絵筆であろうと楽器であろうと言葉であろうと仕事であろうと何でもよい。自分なりの方法で魂に表現手段を与えてやらなければなりません。
 そうすると魂は喜んで、自分を表現し始めるんです。
 そして魂は、上手に表現されればされるほど喜ぶ。
 それが、修練、技を磨くことの意味だと思います。

 自分なりの表現手段を見つけ、その手段を磨くこと。それが、「学び」なのではないかと思います。
 教師の仕事は生徒が自分の魂を損なわず、むしろ大切にはぐくむ人生を送るように、気づかせサポートすることなのではないでしょうか。

鉢植えを世話するレオン




私家版パンセとは

 ぼくは5年間のサラリーマン生活と、30年間の教師生活を送りました。
 その30年間、子供たちが元気になれるような言葉はないかなと考え続けて来ました。
 そんな風にして考えた小さな思考の断片をご紹介します。
 これらの言葉がほんの少しでも誰かの力になれたら幸いです。

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