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「君は誰?」と聞かれたら、どんな風に答えようかな。

「君は誰?」と聞かれたら、どんな風に答えようかな。

#天知聡子 /大人になんてならないよアニソンベスト盤は、大人買いの象徴ですね。本作はお値段たったの6,000円。一家に1枚どうぞ。
エスパー真美や奇天烈大百科なんて、名曲の宝庫だと思います。

けどこのベスト盤の真価は、権利関係が揉めて杯盤になった「オバケのQ太郎」の曲が収録されている事にあります。

本曲を聴く前に抑えておくべき事実は以下3点。
① オバQがブームになったのは1960年代

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少しずつドヤ顔に見えてくる/Janis Joplin/Mercedes Benz

少しずつドヤ顔に見えてくる/Janis Joplin/Mercedes Benz

おぉ主よ、叶えたもれ ベンツおくれ
わが胞輩は こぞりて ポルシェ乗れかし
働きづめの毎日 誰の助けも借りず
我、神を愛す 御心のままに
神様あなたも私好きでしょ?
だから神サマ、叶エタマヘ メルセデスベンツ

なんというアホな歌詞でしょう。
これには牧師さんも思わずニッコリ怒り笑い。
冒頭の台詞も効いてます。

I’d like to do a song of great social and

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救いようがないくらい救われてる/The Smith/There Is A Light That Never Goes Out

救いようがないくらい救われてる/The Smith/There Is A Light That Never Goes Out

前回のアメリカのJohnさんに続き、今回はイギリスのSmithさん。どちらも超ベタな名前ですが、前者のファミリーネームが“Legend”なのに対し、後者は潔く“The Smith”という。。
このバンドの特徴の一つは、過激で自己憐憫まみれの世界観の歌詞です。

“Take me out tonight
Where there’s music and there’s people And they’

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John Legend and The Roots/Shine

John Legend and The Roots/Shine

オバマ政権が誕生した10年前の米国は、物事が徐々によい方向に変わっていきそうな、ポジティブな高揚感が少なからずあった気がします。ミュージシャン界隈でも、前向きな機運に満ちていたような。そんなムードを象徴するような、気骨あふれる名盤です。

ブラックミュージック界の第一線で活躍する巨頭同士が、1960~70年代の音楽から、とりわけ“社会派”な名曲を選りすぐってカバーしたもの。ソウルを中心に、ルーツレ

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じゃがたら/でも・デモ・Demo

じゃがたら/でも・デモ・Demo

前回のフェラクティは、日本の音楽界にも影響を与えました。その最右翼が、じゃがたら。
今回紹介する曲は、特に影響が顕著です。(ちなみに同じ時期によく似た楽器構成で活躍していたのが、かの米米CLUB。歩みは対照的でしたが)

曲の構成も歌詞も、エッジ立ちまくり。徹頭徹尾のアジテーションです。

”あんた気にくわない!”

と冒頭言い放ちざまにボーカルは退き、5分間はインストパート。その後、”くらいねく

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Fela Kuty and Africa70/Zombie

Fela Kuty and Africa70/Zombie

最近、ゾンビシーンが出てくる邦画の「カメラを止めるな」が話題になっているようですね。

そもそもゾンビとは、アフリカの土着信仰が、奴隷貿易によって米大陸いもたらされた、ニッチな概念でした。それが一般大衆の間で爆発的に有名になったのは、60年代に米国でゾンビ映画を発明した、ロメロ監督の功績です。雑な死体メイクとぎこちない歩行だけで作れてしまう抜群のさいさんせい。様々な社会批判(消費社会、戦争など)を

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天国でも、歳をとることができるんだろうかしら。

天国でも、歳をとることができるんだろうかしら。

#Toots Thielemans & #Elis Regina/Corrida de Jangada先日のW杯の決勝リーグ、ベストバウト候補は幾つかあるかと思いますが、身近な点でも、赤い選考・ベルギーVSカナリアイエロー王国ブラジルの対決は、特に記憶に鮮明かと思います。
ということで、夏にぴったりな、ベルギー人とブラジル人の共演作をご紹介。さわやかなハモニカと圧巻のボーカルが魅力の佳作です。

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贅を尽くした最高の違和感/大貫 妙子&小松 亮太/Tango

贅を尽くした最高の違和感/大貫 妙子&小松 亮太/Tango

前回に続き、異ジャンルの両雄による企画ユニットのアルバムを紹介します。

僕は2人とも大好きなので、2人が組むというニュースを耳にして以来、ソワソワ楽しみにしていたものです。しかしいざ、リリースされた作品を聴いた最初の率直な感想は、「贅を尽くしたギクシャク感」でした。もちろん、両雄がガップリ四つに組んで、お互いの技量や持ち味を惜しみなく発揮した、紛れもない名盤です。しかし滲み出る、隠しようのないギ

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外に出られないのなら、部屋の中で、夏蜘蛛にでもなろうか。

外に出られないのなら、部屋の中で、夏蜘蛛にでもなろうか。

#スピッツ /プール”君に会えた 夏蜘蛛になった”

というシュールなフレーズから始まるミディアムテンポナンバー。当時英国で最先端だったシューゲイザー(ギタリストが自分の靴を見ながら黙々と奥行きのある音響の演奏をてんかいするスタイル)を意識したサウンドは絶品。

英国の動向への目配り力もさることながら、特筆すべきは、その歌詞のセンスです。

”夏蜘蛛”とは、いったい何か?
蜘蛛は肢が8本。人間は

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Caetano Veloso/Livros

Caetano Veloso/Livros

独特な曲です。流麗なオーケストラで始まった矢先、変形サンバのような独特のリズムパターンが重なり、さらに不穏なブラスとノイジーなギターが上乗せされてくる、万華鏡のような音世界。そんな中でも、ボーカルはあくまで端麗で涼やか。こんなアレンジ、どうやって思いつくのか、不思議でなりません。

歌詞がまた、摩訶不思議な世界観で。

”星の間で、不吉にも君は躓いた
僕らの家には ほとんど本がなかった しかも町に

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ボス猿とゴリラが、共演した日/Gorillaz/Latin Simone

ボス猿とゴリラが、共演した日/Gorillaz/Latin Simone

最近知ったのですが、ゴリラの社会は「並列社会」だそうです。

対極にあるのが、サルの「階層社会」。勝った負けたの闘争の果てにボス猿が君臨し全てを牛耳る。これに対しゴリラ社会は、相手をコテンパンにはやっつけず、日々のパフォーマンスの中で穏やかに優劣関係を構築する仕組みだとか。

同じく最近知ったのが、ゴリラ社会の生物的なユニークさ。生物の世界では、「似通った種同士は、同じ地で共存できない」という原則

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Home Grown/Sound Terrorist

Home Grown/Sound Terrorist

前回紹介したStone Rosesの曲で、彼らが対峙したBadman(クソ野郎)とは、「目的のために手段をえらばない」精神そのものでした。今回の曲は、一切のオブラートにくるまず、はっきりとBadmanを名足しちゃった、気骨ある曲です。

"貿易センタービルに突っ込んだアルカイダはテロリスト イラクにトマホーク・ミサイル落としたアメリカもテロリスト 邪魔な奴はどんな手を使っても消すのが奴

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答えは、フレンチキスを投げる事/Stone Roses/Bye Bye Badman

答えは、フレンチキスを投げる事/Stone Roses/Bye Bye Badman

アートワークに出てくるレモンは、パリの5月革命(1986年)を意識したもの。大学生が、自治や自由権を求め、当時のドゴール政権と戦った。飛び交う催涙弾の煙から目を守るために使われていたのが、レモンの果汁なのだとか。

この曲の歌詞は、まさに5月革命が触媒になっています。冒頭からしてそう。

“Choke me, smoke the air In this citrus-sucking sunshi

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すれっからしで、強くて、哀しい/高田 渡/私は私よ

すれっからしで、強くて、哀しい/高田 渡/私は私よ

この人の歌は、生活する人の歌。なので、日本の「フォークソング」が悪く言えば「時代と寝た」印象があるのに対して、手垢にまみれた家具が年季を経て艶光りしてくるみたいに、今なお現役で使える、味わい深い趣きがあります。

ユニークなのは、楽曲の作り方。まず詩を古今東西の詩人たちから拝借し、それに曲をつける。ときにはアメリカのブルースやフォークの曲を縦横無尽に組み合わせ。それをケレン味のない飄々とした歌声に

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