「君は誰?」と聞かれたら、どんな風に答えようかな。
#天知聡子 /大人になんてならないよ
アニソンベスト盤は、大人買いの象徴ですね。本作はお値段たったの6,000円。一家に1枚どうぞ。
エスパー真美や奇天烈大百科なんて、名曲の宝庫だと思います。
けどこのベスト盤の真価は、権利関係が揉めて杯盤になった「オバケのQ太郎」の曲が収録されている事にあります。
本曲を聴く前に抑えておくべき事実は以下3点。
① オバQがブームになったのは1960年代
② この曲が主題歌になった1980年代のアニメは、そのリバイバル版
③ 「劇画版オバケのQ太郎」の悲哀
当時の漫画界は、ゴルゴ13みたいな「劇画」が大流行。大人も楽しめる内容と濃ゆい劇画。時流にのり、20年前に大ヒットしたオバQも、20年前に子供としてオバQを楽しんでいたシニア層を対象とした、まさかの劇画化の対象となったのです。
・・・ある日大人になった主人公のもとに、昔のままの姿でQ太郎がやってくる。
「やあ、久しぶり!」再開を喜ぶ2人。だが、家庭を持った主人公は、昔のように朝から晩までバカ騒ぎをすることはできず。大食らいの居候への家族の冷たい視線。やがてQ太郎は、涙を流し、ひっそりとオバケの国へ帰っていく・・・
1980年代のリバイバル版アニメの主題歌である本曲は、このほろ苦い劇画版への「カウンターソング」といえます。曲名やサビの歌詞↓からして、これは確信犯でしょう。
“大人になんかならないよ らしくないのがいいところ”
歳をとらない生き物はいません。身体も、そして内面も。けど、君の本質は、あのときから変わってないよね?
底抜けに明るい曲調にのせた鋭い問いかけは、アニメを見る子供たちの親たち、すなわち“1960年代当時の子供たち”に向けた、熱いメッセージのように思えてなりません。
“Question Question 君は誰?
Question Question ぼくオバQ!”
それにしても、なんという皮肉でしょうか。この名作アニメの版権が、他でもない「オトナの事情」によって埋没し、日の目を見ない状態にあるとは・・・。
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