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投機の流儀 セレクション

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メールマガジン配信大手の「まぐまぐ」で好評を博し、堀江貴文氏(ホリエモン)と並んで2年連続「メルマガ大賞」を受賞、殿堂入りした週報「投機の流儀」。 人生の前場をセルサイドとして、… もっと読む
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【投機の流儀 セレクション】現状では「失敗する可能性もないことはない万博」に見られる日本の政治・社会の特質

日本社会では、一旦物事を決めるとそれに固執し、状況が変わっても変化することができず、中止することもできないという特色がある。第二次世界大戦に踏み切ったこととその後の日本の態度はその典型であり、大きな歴史的教訓である。このことについては40年程前、筆者が組織の指導者としての基礎的教養として精読した「失敗の本質:日本軍の組織論的研究」(戸部良一・寺本義也・鎌田伸一・杉之尾孝生・村井友秀、中央公論新社 、1991年刊)に詳しい。 やってはいけない戦争を何故やったのか?とか、物流や

【投機の流儀 セレクション】投資の「終活」をどう進めるか?

これは日経ヴェリタス紙4月14日号の2頁を割いた記事の文言である。認知症への備え・相続への備え・高齢になった際の投資をどう整理するかという問題であるが、これは人それぞれによって違うから一概には言えない。 証券保管振替機構によると、個人株主全体に占める比率は60歳以上が43%だという。金融庁は75歳以上の高齢者に対する勧誘・販売ルールを設けている。75歳以上に対しての投資は役職者による事前承認が必要だという具合である。認知症と診断された場合には証券口座は凍結され、家族であって

【投機の流儀 セレクション】俗に言う「内憂外患」による国内景気に対するブレーキ

2019年10月~12月期のGDPは前年同期比▲6.3%となった(内閣府17日公表)。これは5四半期ぶりのマイナス成長である。19日発表の機械受注(設備投資の先行指標)も見通しは1~3月期は前期比▲5.2%となる。これは3四半期連続で落ち込んだ。言わずもがな設備投資はGDPの構成要素4つのうちの一つであり、しかもこれは所謂「ケインズの乗数」が掛かるからその影響度は1倍以上になる。消費税の影響が大きい。今年に入ってから例えば三越百貨店の株価は1,000円以上をキープしていたが、

【投機の流儀 セレクション】上海株総合指数のインチキ性

2月4日に春節の連休明けで開いた上海証券市場は大幅急落で大きな窓をつくって始まった。その後3本の短い陰線があっただけで、連続陽線を12本示現して窓を埋めてなお高いところまで戻ってしまった。 しかし「相場は相場に訊け」はこの際は通用しない。もし通用するならば、中国経済は短期間で復活するということになる。ここで筆者が金科玉条としてきた「相場は相場に訊け」が上海指数については否定するのは、中国共産党が売り注文を一切禁止してこの戻り相場を強制的に示現したからである。 普通は、先進国な

【投機の流儀 セレクション】史上最長期政権の安倍政権はオリンピックは「花道」になるのか「追い込まれ解散」になるのか、「実績なき長期政権」、「挑戦目標なき長期政権」

史上最長期政権の安倍政権はオリンピックは「花道」になるのか「追い込まれ解散」になるのか、「実績なき長期政権」、「挑戦目標なき長期政権」 オリンピック招致が決まったのは安倍政権就任後9ヶ月目のことで、安倍首相は自ら国際オリンピック委員会のアルゼンチン・ブエノスアイレスの総会にまで乗り込んで勝ち取った。「外交の安倍」が何か一つの効果をもたらしたならば、目に見える範囲としてはこれだけであろう。お祭り気分として国中が高揚するという意味では確かに「外交の安倍」の成果の一つとしても良かろ

【投機の流儀 セレクション】長期の見方の一つとして上場来安値を付けた日銀株

日銀株は現在ジャスダックに上場している。21日に3万300円を付けて上場来の安値を更新した。 将来のためにここでひとこと付言しておく。 日銀株(8301)は普通の株とは少々違う。しかし、何年に一度は大きな投資妙味がある。1949年東証再開と同時に再開し、店頭市場というところに上場したが今はジャスダックに上場している。資本金は1億円で政府が55%の筆頭株主である。したがって絶対に破綻はさせない。株が大暴落すれば今まで大量に買ってきたETFが下がるから債務超過になる可能性はある

【投機の流儀 セレクション】流動性相場の正念場――この難局の過ごし方

自らのカネで市場活動しないで評論だけをしている人たちは、相場下落して大底圏内に来ると「難局時代」「株式氷河時代」という。 だが、待ち伏せ組にとっては、そこが一番おいしいところなのだ。高値圏で張り付いている今の方こそ難局であろう。今の過ごし方が将来の「おいしいところ」へ来た時の行動を決める。一足一刀の間境(いっそくいっとうのまざかい)を意識して過ごしたい。 米国発のカネ余り相場である。まさしくそれであり、それでしかない。カネ余り相場を頼りにしてきた日本株市場は正念場に来ている

【投機の流儀 セレクション】相場を的確に言い当てた本、大きくはずした本

筆者は毎年12月になると書棚から何十冊かの本を選んで、大学の図書館に寄付するか、ゴミとして処分するかのいずれかにしている。今それをしている最中だが処分する前にパラパラとめくってみる。 絶対処分しないのは所謂古典である。あるいは古典についての解説本である。これは毎年毎年書棚に残る。流行本の100冊から得るものよりも古典の1冊から得る方が大きい。 ところで今年処分する本をめくってみると、アベノミクス相場について言い当てていた本に下記のようなものがある。 【的確に言い当てていた本

【投機の流儀 セレクション】長期政権と株価

安倍政権時代の株価上昇率は日経平均で見ると2.3倍ということになっていて歴代3位だということになっている。在任期間中に一番上がったのは佐藤栄作政権(3.1倍)、2番目が中曾根康弘政権(2.9倍)となっていて、安倍政権は2.3倍で歴代3位ということになっているが、実際に筆者がアベノミクス相場と見ているのは12年11月14日の衆院解散が決まった日である。あの日に安倍政権が成立したわけではないが、誰もが、政治が民主党という素人の手のから自民党という玄人の手に移ると見て株を買い始めた

【投機の流儀 セレクション】異常金融緩和の副作用の申し子たる地銀56行の最終減益か赤字

上場地銀の76行のうち7割にあたる56行の最終減益が赤字である。リーマンショック後に支援を続けた中小企業の経営難が響いたという。 18年に巨額な赤字だったスルガ銀行が、株価としては先行復活する地銀株の目玉ではないかと筆者は述べたり書いたりしてきたし、自分でもスルガ銀行株を保有しているが、スルガ銀行株を300円台まで買い下がったが、不動産向け融資で不祥事があったスルガ銀行は昨年4月から9月に巨額の赤字に陥った。ということは、これ以上悪くならないという株価の先行性が示現される時期

【投機の流儀 セレクション】ファンドマネージャーの「買わざるリスク、持たざる恐怖」

<1>海外要因、<2>ファンダメンタル、<3>需給要因、この三つで上がった日本株に対するファンドマネージャーの「買わざるリスク、持たざる恐怖」 2019年という年は1月安く始まり、11月に年内最高値を付けた。年足で言えば今のところ長大陽線である。 この背景は、<1>海外要因=米中貿易問題の緩和、<2>ファンダメンタル=株価指標で割安、すなわちPERは世界市場と比べて割安、予想配当利回りは世界市場と比べて高い。<3>需給要因で言えば、海外投資家が日本株を買い越した。それは国

【投機の流儀 セレクション】来年アメリカ大統領選挙は日本にとって好都合な大統領が誕生することはあり得ない。だが、ヒラリー・クリントンガ出れば急変する

トランプが勝ってもウォーレンが勝っても同じことが言える。トランプはこの3年間、国際秩序を破壊してきた。まず、日米含めた膨大なGDPの量で中国を取り囲み、太平洋を持っていない中国に対する巨大な包囲網を構築するというオバマのTPP構想をトランプは就任早々破壊し、ついで米中貿易戦争を仕掛けた。それに対して中国は「(大航海時代より半世紀以上前に)6世紀前に俺たちがやったことだ」と16世紀前半の鄭和艦隊(ていわかんたい)が2万人を率いてインド洋・太平洋を7回航海してアフリカまで行った。

【投機の流儀 セレクション】日本は「豊か」か?

平成になって30年、実質GDPは16%増えているにも拘わらず、国民の可処分所得は下がり続けている。ではGDPの成長分はどこへ行ったのか? 70歳以上が総人口比22%になるという。70歳以上も働く場を拡大推進しようという意見は実際には「食っていけないから」である。世界の中で時給が下がってきたのは先進国では日本だけだ。バブルのお裾分けが少々残っていたから「豊か」に見えるが、実際にはそうではないと思う。ジム・ロジャース著「日本への警告」によれば、日本がジリ貧となる主因は少子高齢化で

【投機の流儀 セレクション】4ヶ月に及ぶ香港デモと市場

筆者は約4ヶ月前に香港大型デモが市場に及ぼす影響を読者の質問を受けて恒例によってこれを公開し、私見を述べたことがある。それを、ひとことで要約すれば、民主化のための動きであり結構なことであるが、ローカルな運動であり、世界金融市場全体の神経機能を揺るがす問題ではないという旨を答えた。 今、「勘定」を「感情」と切り離して敢て述べると次のようになると思う。年初来上昇率を見れば、一番は上海総合株指数で年初来上昇指数19%、二番はNYダウで年初来上昇15%、三番が日経平均で年初来12%