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【投機の流儀 セレクション】現状では「失敗する可能性もないことはない万博」に見られる日本の政治・社会の特質

日本社会では、一旦物事を決めるとそれに固執し、状況が変わっても変化することができず、中止することもできないという特色がある。第二次世界大戦に踏み切ったこととその後の日本の態度はその典型であり、大きな歴史的教訓である。このことについては40年程前、筆者が組織の指導者としての基礎的教養として精読した「失敗の本質:日本軍の組織論的研究」(戸部良一・寺本義也・鎌田伸一・杉之尾孝生・村井友秀、中央公論新社 、1991年刊)に詳しい。

やってはいけない戦争を何故やったのか?とか、物流や戦略の敗北とか、そういうことではなくて、旧日本軍の組織の問題を研究した本であり、ビジネス組織のリーダーたちに広く読まれた。

復活の見込みがない国内半導体企業に血税を投入して、20年に渡って失敗を重ねた国策半導体企業への支援策や国産旅客機の開発計画やそれらは一度始まると途中で変更もできないし、止めることもできない。これは組織としての責任の所在が明確でなく、事なかれ主義が横行していることに外ならず、山本七平氏が「空気の研究」で述べた通り、空気を読み発言できないという弱さが戦前も現在もあるのではないか?

ビジネス組織が失敗するのは知能指数の問題ではなく、組織風土に問題があるというのが40〜50年前からの筆者の見解であり、今も変わっていない。そこで、筆者は暴論と言われても「ドラッカーを読むよりは新撰組の組織運営を学んだ方がまだ勉強になる」などと真顔で言うことが多かった。その言い方は大学内に広く伝わり、経営学の教授達から酷く嫌われているが、聴講生が多いからクビにならずに言いたい放題でやってきた。しかし、それによって筆者の真意が組織に伝って、効果的な組織に成長していくことも多かった。

【今週号の目次】
第1部;当面の市況
(1)日本企業の年度始めの業績(4月からの第1四半期)の見通しは、極めて保守的になる傾向がある。
(2)海外投資家が3週間連続で買い越し、日本の個人投資家は3週間連続で売り越し
(3)日経平均の移動平均線と指標との関係
(4)年明けからの上げ幅、8000円の半値押し水準より上での往来相場
(5)海外投資家の日本に対するムードは弱まった。
(6)調整相場の中でやっておきたいこと その1─将来にやがては来るであろう、東電株の第2幕に備えて
(7)調整相場の中でやっておきたいこと その2─プライム市場の中で、未だ大勢下限に在る銘柄がまだまだあるという事実、来るべき「TOPIX型市況」に備えて拾う。
(8)新NISAで、個人投資家は何を買っているのか?─NTT株で「失敗体験」と採らないことを望む。
(9)2024年3月期の自社株買いが10.25兆円の影響は大きい。
(10)「覆面介入」ラインは、どの辺りか?
(11)「過度な円安」を阻止するために試される政府と日銀
(12)植田総裁発言と通貨マフィアの「匠の技」

第2部;中長期の見方
(1)今が肝心の正念場の往来相場
(2)「いよいよ、日本が変わるぞ」と信じた海外投資家が大幅に日本株を買い越してきたことは今までも時々あったが、今回のこれのパンチ力は以前ほど大きくはない。
(3)今回の相場は、自ら市場のうねりをつくって上げていく地合いではなかった。本当の意味の盛り上がりは欠いているように見える。
(4)経済成長を軽んじる風潮がこの30年満ち満ちてきた。そして、日本は高い授業料を払って、それが誤りであることを学んだ。
(5)日銀が買い込んだETFの処理について、具体的に議論ができる環境になりつつあるという状態
(6)世界企業の業績は、踊り場に差し掛かっている。
(7)プーチンの戦術核使用は分からない。
(8)「もしトラ」か「ほぼトラ」か「ややバイ」か?
(9)「真の脅威はロシアではなく、中国だ」
(10)資源高が揺らす適温相場─コストプッシュ・インフレは拙い。
(11)岸田首相の腹中にあるのは「再軍備」
(12)主力企業の栄枯盛衰
(13)現状では「失敗する可能性もないことはない万博」に見られる日本の政治・社会の特質
(14)小池百合子はどう延命するか?東京では、小池が支援した候補が勝つという選挙神話が大きく揺らいでいる。

第3部;読者との交信蘭

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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