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投機の流儀 セレクション

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メールマガジン配信大手の「まぐまぐ」で好評を博し、堀江貴文氏(ホリエモン)と並んで2年連続「メルマガ大賞」を受賞、殿堂入りした週報「投機の流儀」。 人生の前場をセルサイドとして、…
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【投機の流儀 セレクション】NYダウの長期の見方──10万ドルに達するのは、あながち荒唐無稽な話しではない

筆者が社命により4人でウォール街を訪れた1972年の秋、キーストーンファンドというファンドを日本国内で売ろうということでキーストーン社に行った。歓迎を受けたが、その時にNYダウの創始以来のグラフを見せられてびっくりした。創始以来と言っても1972年の話しだから、創始以来76年間である。長期的にはずっと右肩上がりであった。今、これを創始以来128年の流れで見てみると次のようなことになる。 中期的に見ると、こうなる。 1. NYダウの2万ドル超えが2017年1月 2.

【投機の流儀 セレクション】政局と株価──「丸呑み」に観る厭な既視感

政治資金問題で岸田首相が公明党と日本維新の会の案をそっくり受け入れた。つまり「丸呑み」した。丸呑みについて、筆者には非常に嫌な既視感がある。もちろん、株式相場に影響する話しだ。 1997年の日本の金融危機とは、11月の1ヶ月で国際的な二大証券会社と大都銀1社であった北海道拓殖銀行と数社の地銀がいっぺんに破綻した。その翌年、小渕内閣は発券銀行であった日本長銀を野党の一時国有化案を丸呑みして、バブル崩壊後の金融再生に一応の道筋を付けた。 その数年前の与野党の党首会談で、細川政

【投機の流儀 セレクション】日本国衰退の最大の問題である人口減少について、本稿はこう考える

長期的に見ると、日本国衰退の最大の問題は人口減少である。この現象は働き手が減って、老人が増える(つまり、支え手が減って、支えてもらう側が増える)ことである。 古代ローマ以来、人口が減って栄えた国は一つもない。この問題は、税制改革や子育て問題の改善などでは解決できない。人口が減っても、1人当たりの生産性が増え、1人当たりのGDPが増えれば、それはそれで幸せではないかという意見も大いにあるが、それは根本的に縮小均衡の考え方であって正しくはない。 国際通貨研究所理事長の渡辺博史氏

【投機の流儀 セレクション】現状では「失敗する可能性もないことはない万博」に見られる日本の政治・社会の特質

日本社会では、一旦物事を決めるとそれに固執し、状況が変わっても変化することができず、中止することもできないという特色がある。第二次世界大戦に踏み切ったこととその後の日本の態度はその典型であり、大きな歴史的教訓である。このことについては40年程前、筆者が組織の指導者としての基礎的教養として精読した「失敗の本質:日本軍の組織論的研究」(戸部良一・寺本義也・鎌田伸一・杉之尾孝生・村井友秀、中央公論新社 、1991年刊)に詳しい。 やってはいけない戦争を何故やったのか?とか、物流や

【投機の流儀 セレクション】宇宙開発関連株、日本に勝機

アストロスケールホールディングスは世界に先駆けて、宇宙開発の三分野のうちの一つに成功した。日本に勝機はある。宇宙開発を三分野に分けると以下のようになる。 第1の分野は人工衛星。市場規模は大きい。稲の発育管理や魚群探知のためにも使われる。上場予備軍と言われる日本企業がいくつかある。東証は22年12月から宇宙などの新市場開拓を目指す企業の上場を支援する姿勢である。 第2の分野はデブリと呼ばれる宇宙ゴミの除去技術である。6月5日上場予定のアストロスケールホールディ

【投機の流儀 セレクション】基調は弱含み往来相場であり、調整中であるが、資金は潤沢

4月は日本株投信に資金の流入が6年ぶりの高水準となったという。6年前の2018年は「つみたてNISA」が始まった年であり、個人投資家による投信の積み立てが増えた年だ。それ以来、6年2ヶ月ぶりの資金純増となった。日本株が調整局面に入ったタイミングで、押し目買いが入ったようである。 2018年は指数に連動するタイプの投資信託が次々とでき、日本株投信には1月から8ヶ月連続で資金が流入したという経緯がある。今回も5ヶ月連続して、資金が流入した。基調はやはり往来相場であり、調整中であ

【投機の流儀 セレクション】「悪い円安」論のレベルに一旦は入った

円安騒動の陰で、植田総裁は連続利上げに向けた布石を着実に打っていると思う。円安に追い込まれたフリをしながら、金融政策の正常化への脱出の舞台を整えるというタヌキ植田総裁の高等戦術が透けて見える。 「2%インフレ」が2023年に実現して、アベノミクス時代から10年間の力投で達成できなかったものが海外要因からのマグレで成立し、これを「基調的な物価上昇率」という表現を植田総裁はするが、この言葉は分かりにくい。 「2%目標」が達成された喜びなのか、将来の不安を宿し、異常金利の脱出とし

【投機の流儀 セレクション】今の相場の基本的なトレンド

2020年3月19日に大底を付けた「コロナショックの大暴落」から1年強で1.8倍になった相場は、1万円の大台を2度超えて1.8倍だったから、或る意味で「大相場」だった。これはコロナショックを収めるために多くの流動性を世の中に出した、このコロナ流動性の相場である。故に、仮称「コロナショック流動性相場」としておこう。これが約1.8倍になって30700円でダブルトップを突いた後、約2年強の往来相場があり、2023年5月から28000円どころを起点として、新しい相場が始まったと見る。

【投機の流儀 セレクション】投資の「終活」をどう進めるか?

これは日経ヴェリタス紙4月14日号の2頁を割いた記事の文言である。認知症への備え・相続への備え・高齢になった際の投資をどう整理するかという問題であるが、これは人それぞれによって違うから一概には言えない。 証券保管振替機構によると、個人株主全体に占める比率は60歳以上が43%だという。金融庁は75歳以上の高齢者に対する勧誘・販売ルールを設けている。75歳以上に対しての投資は役職者による事前承認が必要だという具合である。認知症と診断された場合には証券口座は凍結され、家族であって

【投機の流儀 セレクション】大幅下げがあっても、右往左往しない方がいい。むしろ、買い場探しだ

先々週末5日(金)は一時、日経平均900円幅を下落した。今年二番目の下落だった。米景気は底堅いとされ、インフレは沈静化するとし、日本はメガトレンドの変化を買う相場だとしてきたが、この楽観相場は一瞬冷や水を浴びた形であった。 しかし、本稿では「3ヶ月で7000円上がった分のスピード調整だ。値幅調整ではなく、時間調整であり、日柄整理だ」と4月7日号でも述べ続けた。原油の一段落で、シナリオの修正を迫られた投資家もいたかもしれない。そうなると、瞬間的にパニックに入ったかもしれない。

【投機の流儀 セレクション】今はバブルではない。自分が儲けていない人々が、嫉妬でバブルというだけだ。「嫉妬は正義の仮面を冠って主張される」

日本は今年になってから年初来7000円幅を上昇して、他の先進国の市場を上上回った。それは決して説明できない上昇ではない。平成バブルの時に比べて経常利益は3倍近い。PERは16倍前後で、89年バブル当時の4分の1である。PBRは当時の3分の1である。バブルが崩れて一番底を付けた後の95年と比較するとしても、一株当たり利益は当時の8倍ある。決して不合理な値段ではない。また、日本株を支える基本的な要因も不合理なものではない。 一つは明らかに数字で出ている春闘である。昨年、春闘が3

【投機の流儀 セレクション】今はバブルの欠片もないが、将来は必ずバブルめく時が来る。その時のために、今から心構えを練っておきたい

世界のバブルの歴史に関心を持って調べてみると、一つのことが言える。記録に正確に残っている最も古いものでは、1637年にアムステルダムで大天井を突いたチューリップバブルである。 それから後、ニュートンも大損したという1700年の南海泡沫会社、あるいは大正末年の日本のウサギのバブル。あるいは1929年のアメリカフロリダ州の土地バブル。また、平成元年の日本国内の株式・不動産・土地・ゴルフ会員権・絵画等の史上最高のバブル・・・。 これらを全部合わせて言えることは、そのバブルの真っ最

【投機の流儀 セレクション】25日線との乖離率も騰落レシオも、未だ「過熱」の境地ではない

週末現在、25日線は乖離率4.04%で「買われ過ぎ」のレベルではないし、騰落レシオは1 30.4%である。120%超は一応「買われ過ぎ」のレベルとされているが、騰落レシオは140%〜150%と進んでも、全員参加型で好相場を呈することも多い。 25日線は毎日上がっているから乖離率は小さい。半導体先導で日経平均が上がるから、全銘柄 一斉高と違って、騰落レシオもあまり上がらない。4日連騰で2000円以上も上がったとは言え、直近15営業日で上昇日は9日、下落日は6日である。 【今

【投機の流儀 セレクション】デフレマインドを脱却して、インフレマインドへ移る

「成長と分配の好循環」は、平たく言えば「分配」は「賃上げ」である。「ほど良いインフレ」が起こって「それを上回る賃上げが起こる」これが「成長と分配の好循環」だ。 ところで、大手は5%超の賃上げが続いている。順調である。春期交渉は人材確保に配分して、どこの企業でも賃上げをほとんど(8割)が満額回答である。特に、製造業の8割が満額回答である。 植田総裁が睨んでいるのは「2%インフレ」の実現と「それを上回る賃上げの継続」である。これが「好循環」である。これが順調に行きそうになってき