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歴史本書評

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オススメ歴史本の読書記録。日本史世界史ごちゃ混ぜです。
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2022年4月の記事一覧

【書評】曽村保信『地政学入門』(中公新書)

【書評】曽村保信『地政学入門』(中公新書)

 書店に行けば、「地政学」とついた書籍が平積みされています。帯にはたいてい、「地政学は、現代のビジネスマンに必要な教養」という意味の宣伝文句がついています。

 北朝鮮問題や沖縄の基地問題など、地理の観点から明快に説明してしまえるのが人気の秘訣でしょう。しかし、気軽に読めてしまう入門書は物事を単純化しすぎていたり、地図が不正確であったりします。より深い理解に至るには、もう少し難しめの本にも挑戦した

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【書評】関幸彦『刀伊の入寇』(中公新書)

【書評】関幸彦『刀伊の入寇』(中公新書)

 近代以前の日本の対外危機といえば、鎌倉時代に起きたモンゴルの襲来(元寇、蒙古襲来)が挙げられるでしょう。

 しかし、平安時代後期の1019年に起きた異民族襲来事件である「刀伊の入寇」の一般的知名度は高くありません。

「刀伊の入寇」のあらまし「刀伊」とは現在の中国東北部~ロシア沿海州に住んでいた狩猟民族・女真人を指すと考えられています。
 刀伊の賊が50隻余りの船団で対馬・壱岐・北九州を襲撃し

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