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小説 ひだまりの丘

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こちらは小説になります。 連載方式でアップしていこうと思います。 婚活や妊活について、セキララに触れる表現もありますのでご注意ください。 スキ♡いただけると更新の励みになります…
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#後輩

ひだまりの丘 13  終

ひだまりの丘 13 終

翌日、私は橘師長へ退職届を出した。

師長は「この人手が足りないときに…」と頭を抱えた後、
「でも、せっかく長く務めてきたんでしょ?今回のことが原因?だったら、私も大変だったわ。投げ出したいくらいだったわよ。」
と話した。
あぁ、この人はやっぱり自分のことばかりだなと思ったが、心を決めていたせいか私は案外落ち着いていた。
「それもありますけど、実は照子先生のクリニックに引き抜かれたんです」
師長は

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ひだまりの丘 10

ひだまりの丘 10

病棟では、なんとなく私に対するスタッフの風当たりがきつくなったように感じた。
報告や相談の数が減り、こちらをみてはひそひそとうわさ話をしているようだった。
表立って、反抗されることはないが皆よそよそしい。
おそらく、石井さんが噂を流しているのだろうと思った。
彼女は人一倍仕事をして、他の人の仕事も手伝うので受けが良いのだ。

一方、管理職は目の敵にされがちである。
「なんなの。あの人たちの態度。良

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ひだまりの丘 9

ひだまりの丘 9

しかし、私は後輩たちのメンタルのフォローもしなければならなかった。

石井さんはあれから、覇気や自信がなくなった様子で働いているし、田無さんに至っては出勤してこない。

一度、休み希望の電話を私が受けたときに、「迷惑をおかけして、もうしわけありませんでした」とか細い声で謝り、「だけど、私はもう看護師に向いていないかもしれません」と言い残して、電話を切られた。
橘師長に相談すると「逃げたわね…」とた

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